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永久我慢の狂想曲 CASE:浅川静菜7 


「…………」
 ごろん、と寝返りを打ち、静菜はすっかり暖まってしまった枕に頬を押しつける。
 できるだけ下腹部に負担が掛からない仰向けの姿勢から、身体を横にしたせいで、ぞわぞわっとお尻の上あたりを鈍い痺れが通り抜けてゆく。
(ぅ……)
 ちらり、と見上げた目覚し時計は、常夜灯のオレンジの光の中で、「00:36」の文字を点滅させている。
 お風呂に入って汗を流し、パジャマに着替えて部屋に戻り、気になるおなかを抱えたままベッドに横になって1時間。じわじわとおなかを圧迫するオシッコの重みは、静菜の下半身を間断無く、執拗に責め続けていた。
 一旦は心ゆくまで『おトイレ』を済ませことで落ちついていた下腹部も、夜の静寂の中で再び活性化をはじめている。
「眠れない……よぉ」
 枕にぐりぐりと顔を押し付けて、込み上げるあくびをあふ、と噛み殺す。
 いつもならもうとっくに夢の中の時間だ。眠気が無いわけではないのだが、オシッコのことが気になって目がさえてしまう。
 これまで、家の中でオシッコができないことなどなかった。家のトイレは静菜にとって世界で唯一の『オシッコのできる場所』なのだから、ためらうことなくトイレに立つことができたのだ。
 こうしてベッドの上で、眠気と戦いながらオシッコを我慢するような経験は、静菜にはない。
(……うぅ)
 すぅ、はぁ、と深呼吸をして気分を落ちつける。
 ちくちくとおなかの内側を刺激する濃縮された尿意は、忘れようとしてもなかなか忘れられない。ちくたくと時を刻む隣の部屋の秒針の音までがうるさいくらいだ。
 前にもこんな事があった、たしか、受験の前の日の夜だ。明日が本番、というプレッシャーに、静菜は今日と同じように眠れなくなってしまったのだ。焦っても気分が高まるばかりで、横になっているのがまどろっこしく、何度も何度も寝返りを打った。
 時計の針だけがゆっくり進んでいって、いつまで経っても目は開いたまま。
(あの時は確か、お母さんにお願いして、ホットミルク飲んだら、眠れたんだっけ……)
 瞬間、下腹部できゅうと膀胱が身をよじる。
 もはや、ちょっとした想像だけでも尿意の呼び水になってしまうようだった。慌てて楽な姿勢になりつつ、おなかをさすってむずがる下腹部をなだめる。おなかの膨らみはさらに大きくなり、パジャマの下腹部を緩やかに持ち上げていた。
 そっと撫でるたび、下腹部どころかおヘソの上近くまでじんっ、と鈍い痺れが走る。つまり、静菜の膀胱は小さな身体の中でそこまで大きく膨らみ、オシッコを溜め込み続けているのだ。
「う、あ、……だいじょうぶだいじょうぶ、平気っ……」
 まるで早産を気にする妊婦のようだ。そんな静菜のおなかの中で、排泄欲求は不安定に揺れ、尿意の安定期には程遠い。
 あれから何度か、軽い『おトイレ』をしているのだが、その効き目は芳しくなかった。そもそも物理的に不可能なあたりまで我慢をしているのだから当然と言える。いくら強靭な静菜の排泄器官でも、限界というものはあるのだ。
(はぁ……)
 ぼんやりとまどろみかけた意識が、下腹部の圧迫感によって引き戻され――閉じかけたまぶたは、ぴくりとそれに抗する。
 眠ってしまいたいけれど、そうなれば本当に我慢を続けていられるか不安で、けれどこの尿意の我慢から一時でも解放されるには、せめて夢の中に逃げ込んでしまうくらいしか方法がない。
 しかし、尿意は一時も休まることなく、一定の強さで静菜の下腹部を炙り続けているのだ。横になった姿勢ゆえに激しく鋭い大波にこそならなかったが、逆に込み上げてくる尿意は深く、途方もなく、長い。まるで高潮のように、ゆるゆると高まり続けては際限なく昇り詰め、いつ終わるとも知れない。
 わずかな身じろぎですらオモラシに繋がってしまうような、不安感を抱えながら、静菜はじっとそれを絶え続けるしかなかった。





 気がつくと、静菜は小さなドアの前にいた。
 見慣れたドアは、静菜の家のトイレのドアであり、ドアノブの下には自動販売機のような、硬貨の投入口が開いている。
 使用料は1回1000円だった。
「――た、高いよぉ」
 そうは思うが、壊れてしまったトイレを直すのに、たくさんお金がかかってしまったのだ。有料になってしまうのも仕方がない。
 ここのほかにトイレはない。静菜は仕方なしにお財布を取り出して、1回分の使用料金を入れてゆく。
 500円、600円、700円……
 ちゃり、とお財布の中身が軽くなる。
 残りの十円玉が9枚、ドアの前にある金額は900円だった。
 10円、足りない。
「あ、あれ? ちゃんと用意してきたのに――おかしいなぁ」
 慌ててお財布をひっくり返すが、中身は全部で990円。トイレの使用料にはやっぱり10円足りない。
 静菜はたまらずにドアを引っ張った。がちゃがちゃ、とドアが揺れる。
「うぅ、いいじゃないっ……せっかく直ったんだから、10円くらいおまけしてよっ……!! 全部じゃなくても、は、半分だけでもいいから、オシッコさせて!!」
 確かに1000円はないけれど、でも990円分は、オシッコができてもいいはずだ。そう思って静菜はドアを激しく叩く。
 がん、がん、というノックに耐えかねて、トイレのドアがまっぷたつに折れてしまった。
 その奥にはすっかり綺麗になった洋式便器が――静菜のためのトイレが、用意されている。
 喜び勇んで、中に掛けこみ、ぎゅうっとパジャマの前を抑えた瞬間――






 静菜ははっと目を開けた。
 途端、股間に走る猛烈な電流が、静菜の意識を無理矢理に覚醒させる。
「やぁっ……!?」
(で、でちゃ……っ!?)
 緩みかけていた排泄孔が、内側からの圧力に負けるかのようにぷくりと膨らみ、熱い雫を吹き上げようとする。股間には下着の股布がぴったりと張りついて、わずかな刺激にも反応せんばかりにひくひくと痙攣していた。
 いつの間にか姿勢はうつ伏せになり、自分の体重が股間を圧迫していたのだ。膨らんだ下腹部がベッドに押しつけられてぐっと潰される。膀胱を絞り上げるような尿意は、それが原因だった。
「ぁあっ、くううぅぅっ……!!」
 夢の中とは言え、家のトイレに入りかけていたのだ。静菜の排泄器官は完全に排泄モードとなり、膀胱はきゅうきゅうと収縮運動を繰り返している。ほんの少し力を緩めさえすれば、たちまちのうちにオシッコを迸らせそうになっていた。
 だが、目が覚めたことによって自律神経が活性化し、静菜の排泄孔はなかば強制的に括約筋を絞り上げ、オシッコの出口を閉めつける。
 その結果、行き場をなくしたオシッコは激しく少女の下腹部で渦巻いた。
「っふ、は、ぁっ、ぁ、ぅ、あっ」
 猛烈な尿意の奔流に、ぱくぱくと口を開いて声にならない声を上げ、静菜はまるで、何かに執り憑かれたかのごとく、激しく股間とおなかをさすった。
 太腿の付け根に手のひらを押し込んで、引きつる排泄孔を直接指でぐぅっと圧迫し、全身の力で暴走するオシッコを強引に塞き止める。
 オシッコの出口を強く塞ぎ、静菜はかろうじて一息ついた。
「はぁ、はぁっ…はぁ、はぁー……っ」
 荒くなった息をゆっくりと整えながら、ようやく本来の機能を取り戻し始めた括約筋に安堵しながら、静菜はどうにか最悪の事態だけは回避したことを理解した。
(や、やば……あのまま寝てたら、出しちゃってたかも……)
 予想外の伏兵に脅かされ、いまだ高鳴り続ける胸を撫で下ろし、落ち着きのない下腹部を静かに撫で、ゆっくりと深呼吸。
 いったん暴発しかけたオシッコを再度押し止め、屈しそうになった心を落ちつけるには、まだかなりかかりそうだった。
(良かった……目、覚めて……)
 できるだけ下腹部を刺激しないよう、姿勢を整える。
 どうも、うつ伏せになっていたのは知らず、脚の付け根に丸めたタオルケットを挟んで、ベッドに擦り付けようとしていたかららしい。
 もう一度仰向けになった静菜だったが、荒くなった息はいつまで経っても収まらない。それどころか、ちくちくと鈍い痛みが股間で疼き続け、排泄孔には細長い何かを突っ込まれたような異物感まで響いてくる。
 一度目を覚ましたことで、高まった尿意は、眠りに落ちるよりも張るかに存在感を増していた。
(や、やだ……トイレ……っ)
 我を取り戻した静菜の脳裏に――あと数歩のところまで迫っていた、夢の中のトイレが思いだされる。
 もしあのまま起きずに夢の中のトイレでパンツを脱いでいれば、オネショというかたちでオシッコを済ませることができたのかもしれない。夢の中とはいえ、静菜がオシッコをしようとしていたのは外の『おトイレ』ではなく家のトイレだったのだ。恐らく問題なくおなかをすっきりさせることができたに違いない。
 だが。
 それは全て、夢の中のことだ。
 今はまた、事情が違う。まったく身動きのできない状況で、静菜はぎゅっと目を閉じ身体を丸めて、長い長い尿意に耐え続けた。
 いつまでも途切れることのない尿意を無視して眠ることなど、不可能に近い。まる1日に及ぶ長い長い我慢の果て、疲れきった身体にやってくるまどろみに包まれては、反射的に緩みかけた下腹部を締めつけてしまう――そんな永久運動にも似た時間を、それこそ気の遠くなるほど繰り返して――とうとう静菜はそのまま朝を迎えたのだった。

[ 2008/07/29 23:12 ] 永久我慢 | トラックバック(-) | コメント(-)

永久我慢の狂想曲 CASE:浅川静菜6 

 当初の予定の帰り道を大きく迂回し、二つ先の交差点と歩道橋を回って、静菜はどうにか大通り側の公園へと辿り着く。
 この公園は前の学校通学路の帰り道だったこともあり、静菜も昔はよく遊びに来ていたものだ。ジャングルジム、砂場、鉄棒、シーソー、滑り台――ペンキは塗り変えられたりしていたが、ありふれた設備のどれにも、懐かしい記憶がある。
 だが。今夜静菜が目指したのはそれらの遊具のどれでもなく、これまで近づくこともなかった、公園の片隅の小さな建物――公衆トイレだった。
「……うぅ……」
 レンガ造りの建物の入り口で、しばしためらいがちに周囲を見まわしてから、静菜はそろそろとその中へ足を踏み入れてゆく。
 じじ、と点滅する薄暗い照明が、トイレの内部に複雑な陰影を造っている。
 正直に言えば、公衆トイレとしてはあまり綺麗な部類ではなかった。
 床も汚れ、窓には蜘蛛の巣がびっしりと張っていて、さらによく耳を澄ませば虫の羽音まで聞こえた。普通の女の子なら、よほど困っていない限りまず使うことは考えないような酷い場所だ。
 まして、家の外のトイレの使えない静菜にとっては、ここはこれまで無いも同然だった設備である。入るどころか近づくことすらなかった未知の場所でもあった。
 3つ並んだ個室のうち、一番手近な場所へと慎重に歩みを進める。
 個室の中はどれもしゃがみ込んで使用する和式のタイプであり、洋式のトイレに慣れた静菜にとっては、そういう意味でもあまり好ましい場所ではなかった。
「……えっと……」
 とりあえず個室に入り、後手に鍵をかけ、もじもじと足をすり合わせながら、困惑の中で静菜は視線を落とす。
 ここで――“なに”をするべきか。
 静菜は迷っていた。
 いつもの静菜ならなにも迷うようなことはない。ためらうことなく股間に手を添えて、ぐいぐいと尿意を和らげ、落ちつかせるための『おトイレ』をするまでだし、それ以外にすることなどない。
 だが――
(……どうしよう……)
 こうして冷静になって、明日まで直らない事が確実の家のトイレと、もう延々と何時間も我慢を繰り返してすっかり固く張り詰めている下腹部のことを考えると、果たしてそれだけで本当に大丈夫なのか、という気分になってくる。
 確かに、ここで『おトイレ』をすれば、またしばらくは我慢も持つだろう。だが――家のトイレが使えない以上、根本的な解決にはならないはずだ。
 いくら静菜が我慢強いとは言っても、それこそあと10時間以上もオシッコを出さずにい続けられるのかどうか。これまで何度も乗り越えてきた尿意を思い出してしまうと、本当にそれが可能なのかどうか疑問に思えてしょうがなかったのだった。
 外のトイレを静菜が本来の用途で使おうとするのは、いったい何年振りのことになるのだろう。『おトイレ』として、オシッコを我慢するのに使った事はあっても、静菜にとって家以外のトイレは排泄場所としての対象になっていない。
(うぅ……っ)
 しかし、下腹部にせり上がる尿意はそれを上回っている。
 今日のお昼から狭い膀胱に閉じ込められたまま、ぐつぐつと煮詰められた尿意は、段々と鋭くなって静菜の股間を疼かせる。
 オシッコは出したい。……むしろ、したくてたまらない。凝縮された恥ずかしい熱湯は、収まることなく静菜の下半身を占領し、切ないほどの排泄欲求を訴えていた。
「はぁ……ぅ」
 さりげなく腰をくねくねと揺すってみたり、ぎゅっと両手を膝で挟んでみたり、体重を左右に散らして、床のタイルをきゅきゅっと鳴らしてみたり。小さな我慢の仕草を繰り返してみたが、遠慮がちな我慢では中途半端もいいところで、かえって尿意を刺激してしまうばかりだった。
(やっぱり……しちゃおうかな、トイレ……)
 『おトイレ』ではなく、トイレ。
 長い長い逡巡の末に、静菜はようやくそう決断した。
 ざわざわと落ち付かない下腹部をなだめつつ、自分に言い聞かせるように、小さく口に出して繰り返す。
「そうだよね……別に、普通のことだもんね……。みんなちゃんとしてるんだし」
 静菜は覚悟を決めて、目の前の和式便器に向かい、下着に手をかけてしゃがみ込んだ。祖母譲りの潔癖な理性がわずかな不快感になって胸をよぎるが、あえて無視する。
 そして静菜は、トイレの上でオシッコの準備を整え終えた。
 むき出しになった股間をひんやりとした空気が撫で、おなかのなかでぐつぐつと沸騰するオシッコを刺激する。トイレの上でオシッコをするための姿勢を整えただけあって、きゅうっ、と張り詰める切ない感覚はあっという間に押し込められていた下腹から滑り降り、出口のすぐ近くの脚の付け根まで達する。
 けれど。
 さっきまで激しく身悶えしていた排泄孔は、ぴたりと口を閉ざし、止まってしまっていた。
「ふうぅっ……くぅぅんっ……」
 かすかな吐息が個室の中に響く。静菜はそわそわと足の位置をずらし、おしりを上下左右に揺り動かした。膀胱を膨らませるオシッコがおなかのなかでたぷたぷと揺れ、背中にまでその重みが伝わってゆく。
 だが、そうしてずしりと重い疼きが下腹部を支配しているというのに、静菜の股間は静かなままで、わずかの雫をこぼす様子もない。
 オシッコは、出てくれなかった。
「んぅっ……」
 静菜は股間に力を入れ、下腹部をさする。手のひらには石のように張り詰めた膀胱の感触が伝わってくるが、焦れば焦るほど股間の排泄孔は硬く口を閉じてしまう。
 普段に比べてもとんでもない量のオシッコが詰まっているのは間違いないというのに、静菜の身体は言うことを聞いてくれなかった。
 こんな時でも、静菜の下腹部はきっちりとその役目を果たし、排泄孔にまるで固いフタをしたかのようにぎゅっと口を締め付けている。しかしその皮一枚奥では、オシッコを詰めこんだ肉の管が熱い雫を吐きだそうとぴくぴくと震えているのだ。
(出てきてよぉ……せっかく決心したのにっ……さっきまであんなにオシッコしたかったのにぃっ……)
 これでは、まるで口を全て塞いだティーポットを火にかけているようなものだった。ぐらぐらと沸き立つ尿意は密閉された容器の中で際限なく圧力を高めてゆく。途方もない尿意は静菜に終わりのない苦痛を強いているのだった。
(……ここだって、ちゃんとオシッコしてもいい場所なのに……っ!!)
 きゅう、とあそこが疼く。
 きりきりと高まる尿意の波が、静菜の脚の付け根をこすってゆく。
 ――もう、限界だった。
(……やっぱり、わたし、お外でオシッコできないんだ……っ!!)
 そうして、諦めにも似た答えを悟ると同時。
「ふうぅっ……っく…!」
 静菜はたまらず、トイレのタンク指を伸ばしていた。
 激しく流れ落ちる音消しの水の音をバックに、静菜は剥き出しの股間に両の手のひらをかさね、ぎゅううっと握り締める。
「ぁあああああ……っ」
 高まり続ける尿意と、いつまでも出ないオシッコに耐えかね、とうとう静菜は尿意を解決するためのもうひとつの手段――『おトイレ』をはじめてしまった。
 硬く張り詰めた下腹部、ジーンズのあとをくっきりと残したおなかのを少女の指が『ぐいっ』と押さえ込む。重ねて押し当てられた両手はきつく排泄孔を塞ぎ、酷使され続けた括約筋にわずかな自由を取り戻させた。
「ふ……っふ…ぅっ…」
 体重を左右に揺らし、ぎゅうぎゅうと股間をさするたび、ボロいタイルの床がぎぃぎぃと軋む。活性化したアソコを鎮めるための儀式は、どこか荘厳、崇高にすら感じられた。
 壁すらも揺らしかねない大胆なオシッコ我慢は、まったく人気のないこの場所だからこそ許されたものだろう。恥をかなぐり捨てての『おトイレ』は、あまりにも激しいものだった。
「ぁ……はぁああ……」
 少女の唇から甘い響きを備えた吐息がこぼれる。
 解放感に身を委ねた静菜の下半身を、これまでの緊急避難的な我慢とは比べ物にならないほどの満足が包み込んでゆく。
 本来なら、これは限界に近い尿意を抱えながらも、トイレという場所で排泄を行なうことができずいる、苦行にも等しい悲劇である。
 だが、静菜にとってはこれもまた『おトイレ』という排泄欲求からの解放だった。
 むしろ、ここでオシッコを済ませることができなかった――外のトイレを使えなかった静菜にとっては、いまや限界に近い尿意から自由になるたったひとつの方法なのだ。床がひとつ軋むたび、静菜は深い吐息とともにおなかの奥で煮え滾る尿意を飲みこんでゆく。
「ふぅぅ……っ……あ、あっ、ぁ……っ」
 ぐいぐいと抑えられる股間は、マッサージにも似た効果で磨耗した括約筋を回復させ、もはやどんな余裕もなく膨らんだ膀胱を丁寧に揉み解し、他の臓器の入るスペースをほんの少しだけ押し広げて、さらにオシッコを溜められるだけの余裕を作る。
 これは、もはやまぎれもなく排泄行為だった。
 静菜はこの『おトイレ』によって、自分のおなかの中にオシッコを済ませていると言っても過言ではない。
「っふぅ……はぁ……」
 静菜の『おトイレ』は、実に20分以上もの時間に渡って続いた。
「ふぅっ……すっきりしたぁ……」
 爽快感すら溢れさせる声で安堵の息をこぼし、静菜は公園のトイレを出る。
 無論の事ながら、静菜のおなかの中を占める大量のオシッコは一滴も外に排出される事はない。だが、なにしろここはきちんと設備の整った『おトイレ』だ。誰の目も気にすることなく『おトイレ』に入った女の子が、すっきりできないはずがないのだ。
 ちゃんと我慢できるようになるまで、静菜はきちんと『おトイレ』を済ませて、すっきりしていなければならなかったのだ。
 実際、『おトイレ』でたっぷりと我慢を済ませ、幾分余裕を取り戻した静菜の尿意はかなりのレベルまでやわらいでいる。今回の『おトイレ』をしているうち、はじめは見るのも嫌だった公衆トイレは、静菜にとって大切な心のよりどころにすら格上げされていた。
「……あんまり遅くなっちゃうと、お母さん、心配するよね」
 実はまだ、公衆トイレには後ろ髪を引かれるものがあったのだが――かるくそわそわと地面をこするつま先をできるだけ気にしないようにして、静菜は公園を後にする。
 気付けば11時近くになっている時計を気にしつつ、静菜は再び、トイレの無い我が家への帰路についた。

[ 2008/07/29 23:11 ] 永久我慢 | トラックバック(-) | コメント(-)

プールの日の順番待ち。 

 我慢の仕草のバリエーションを工夫してみる試み。





「うぁ……すっごい並んでるっ……」

 トイレの前にずらりと並ぶ紺色の水着姿に、ミノリは思わずつぶやいてしまった。
 給食の用意をはじめる、4時間目終了のチャイムまであと3分という時間、更衣室横のトイレの前で、紺色の水着に包まれた身体がぶるるっと震える。
 入り口から覗くふたつの個室はどちらもしっかりと埋まっており、その前には10人近い女の子がシャワーの近くまでずらずらと列を作っていた。
 これでも体操が終わって、まっすぐに飛んできたのだ。それなのにこのトイレの混雑ぶりはミノリにとってまったくの予想外だった。

(す、すぐに入れると思ったのにっ……)

 予定外の混雑に、オシッコを『おあずけ』されて、ミノリは小さく脚踏みをしながら、下腹部を刺激しないように内股のままよちよちと列の後ろに並ぶ。
 トイレはガラガラなら、ミノリはもうとっくに個室に入れていたはずだった。じんじんと疼く足の間を、そっと紺色の水着の上から押さえて、小さく足踏みを繰り返す。
 みんなが待ち望んでいた今年最初のプールの時間だが、7月はじめの曇り空、やや肌寒い気温の中での45分間によって、おもいのほか身体が冷えてしまった子が続出していたのだ。
 プールの授業は、隣同士の2クラス合同で行なわれる。そのため、普段の授業の倍近い女の子たちが、たった二つしかない個室に並んでいるのだった。そう考えればこの大混雑も仕方がないことと言える。
 ただでさえオシッコの近くなるプールの授業を終え、敏感で繊細な少女たちの膀胱は、年齢相応の活発な新陳代謝によって作り出された恥ずかしいホットレモンティーを縁ギリギリまで注がれていた。

「ん……ふっ」

 もぢもぢとおしりを左右に揺すり、ミノリは小さく声を漏らす。
 ぎゅっと噛み締めた唇からは艶めかしい吐息がこぼれ、汗の浮いたうなじには水泳キャップからはみ出した髪が張りつき、ぽたぽたと水滴をこぼしている。
 少女のあどけない頬は薄く朱に染まっていた。たんなる疲労や興奮だけが原因ではない。思春期の女の子にとって、オシッコを我慢する仕草なんて、本来は人前ではけっして許されないことだ。
 できるだけさりげない仕草を装って、そっと、濡れた水着の上からおなかを押さえる。ぱんぱんに固く張り詰めた膀胱は石のようで、こころなしか水着のおなかが膨らんでいるかのようにすら思えた。
 まださすがにはっきりとした前押さえまでしなくてもガマンはできそうだが、それもいつまで持つかわからない。事実、ミノリの爪先は落ちつきなく脚踏みを繰り返していて、おさまる様子は見られない。

「んんぅ……」
「は、くぅ……」

 男子のいない更衣室の中ということもあって、みんなのガマンの仕草も遠慮がない。爪先立ちになって壁に寄りかかったり、ひざをきゅうっと交差させてもじもじとダンスを踊ったり、大胆にしゃがんで、立てたかかとにぐりぐりと脚の間を押し付けたりと、普段ならまずすることがない、はっきりとした『オシッコ我慢』の格好までしてしまっている。中には閉じ合わせた脚の間に手を押しこんで、紺色の水着の上から指を使ってぎゅうっと脚の付け根を押さえてしまっている子までいた。
 トイレはすぐ目の前で、こんなところで万が一でも失敗してしまうわけにはいかないのだ。みんながみんなオシッコを塞き止めるために必死だった。

「あ……っ」
「ふぁ……う」

 真っ赤になって我慢を続ける女の子たちの手足を、浮かんだ汗が滑り落ちてゆく。
 ミノリのすぐ前でも、ボブカットの女の子がはぁ、はぁと荒い息をこぼし、頬を赤く染めながら、羞恥心と戦っている。ちょこんと突き出されたおしりは小刻みに揺れ、前かがみになって前の子の肩を借り、水着の股布のところを手で押さえてもぢもぢと腰を揺すっている。
 時折、その子の脚の間を水滴が伝って落ちてゆく。それが水着に染み込んだ水なのか、汗なのか、チビってしまった分なのかはわからない。
 彼女はただじっと爪先立ちになった不安定な姿勢のまま、ぎゅっと唇を噛んで上を向き、目を閉じていた。なんとか自分の番までダムの決壊を食い止めようと必死なのだ。

(すっごい、辛そう……)

 他人事のように思いはするが、ミノリだって彼女たちに負けず劣らずに辛い。開いているトイレが他にあれば、なりふり構わずにすぐさまそこに駆け込んでしまうだろう。
 けれど、列を作るクラスメイトにこうまで全身全霊での必死のガマンを見せつけられては、順番を譲ってくれとも言い出せない。ミノリは仕方なしに口元まででかけた『先、入ってもいい?』の言葉を飲み込んで、ぎゅっと口を閉じる。

(うぅ……ま、まだ……?)

 焦るミノリの気持ちとは裏腹に順番待ちの列はなかなか進まなかった。
 なにしろみんなプールから上がったばかりで、濡れた水着が身体にぴったり張り付いてしまっているのだ。ただでさえそんな水着を脱ぐのは簡単なことではないのに、さらにそれを不安定なつま先立ちになってやり遂げなければならないのだ。無事トイレが間に合っても、その後でもう一度水着を着なおさなければならず、オシッコの準備と後始末には普段の倍くらい時間がかかってしまう。
 だから、列に並ぶ子たちはいつもよりもずっと長い時間、トイレを我慢し続けなければならなかった。

「…………ぅ」

 特に列の先頭の子はもう待ちきれないのか、とっくに肩紐を外して、腰の辺りまで水着を脱ぎかけていた。個室が開いたらすぐに飛びこんで足元まで引き下ろし、すぐにオシッコが始められるように準備しているのだ。
 まるで50m走のスタート地点に立つみたいに、じっとドアを見つめながら、個室のロックが『閉』から『開』に変わる瞬間を見逃すまいと難しい顔をしている。
 その一方で、脱ぎかけの水着に包まった腰は、見えないなにかに擦りつけられるようにくねくねと蠢いていた。小さなおなかのなかでは今もオシッコが激しく暴れていて、その水面がたぷんたぷんと動くたびに腰が揺すられているのだ。

(んぅっ……)

 そんな必死のガマンを見せつけられていれば、自然ミノリのガマンの仕草も大きくなってしまう。
 左右の体重移動が激しくなり、ふらふらと上半身を左右に揺らしながらのその場脚踏みが繰り返される。
 濡れた水着からじわりと水滴がにじみ、脚の内側を伝っていく。
 腿の内側を伝う熱い感触は、きっと汗だと自分に言い聞かせて、ミノリは必死に個室が開くのを待った。

『あー、もうオレ我慢できねーっ』
『あ、ずりーぞ!! ちゃんと待てよ!!』

 不意にがやがやと表が騒がしくなった。
 どうも、隣の更衣室でも男子達が同じようにトイレの大混雑に巻き込まれる状況になっていたらしい。だが、彼等はおとなしく順番を守ることなく、水着のまま更衣室を出ていったのだ。その様子が更衣室の高い位置で開いたままの窓から聞こえてくる。

『うー、漏れる漏れるっ』

 聞き捨てならないセリフに続いて、ごそごそとプール横の茂みを踏み鳴らすサンダルの音、そして――じょじょおぉ、じょろろろ、じょぼぼぼぼぼ……と、あってはならない水音が響いた。
 ミノリはすぐにその意味を察し、はっと顔を赤くした。

(う、うそ……信じらんないっ……)

 男子たちは、あろうことか、プールの横の壁に向かってオシッコをはじめていた。

「や、やだぁ……」
「何やってんのよ、男子ってばっ……!!」
「……最低…っ!!」

 たちまち更衣室の中で次々と非難の声が上がる。
 女の子たちがみんなが列を作りきちんと並んでいる。できることならみんな、すぐにでもオシッコを始めてしまいたいのを必死に我慢して、トイレが空くまで順番を待っているのだ。それなのにそのすぐ横で、男子たちは勝手にオシッコを――立ちションをしているのである。

(みんな、こんなに我慢してるのに!!)

 ちゃんとトイレを使おうともしない、あまりにもデリカシーに欠けた男士たちの振る舞いに、恥ずかしさとやり場のない怒りが込み上げてきて、ミノリも拳を震わせる。

「んもう、あいつらっ……!!」

 我慢しきれずに叫んだのはミノリのクラスの風紀委員長だった。まだ濡れた髪のままでかけた眼鏡のレンズが、赤くなった頬の上でほんのり薄く曇っている。委員長もみんなと同じように膝をくっつけて順番を待っていたのだが、それでも男子の狼藉にはいい加減腹を据えかねたらしい。

「ちょっと、何やってんのよ男子!!」
『うお、なんだよ!? 見てんのかよスケベ!!』
「だ、誰がよ!! ちゃ、ちゃんとトイレいきなさいよ!?」
『うるせー、どこでションベンしたって俺の勝手だろー?』

 どうやら表の男子たちも、ミノリのクラスらしい。委員長は壁の向こうにいるのが誰なのかも分かっているらしく、言い合いを続けた。

「勝手じゃない!! あたしたちはみんなちゃんと順番守ってるんだから!!」
『……ふんだ、じゃあお前等もこっちきて一緒にすればいいじゃねーか』
「っ、で、できるわけないでしょっ!? 女の子はそんなことしないのっ!!」
『へーん。不便だよなー、女って。漏らすなよー?』
「う、うるさいっ!!」

 委員長の返事はほとんど悲鳴のようだった。
 けれど委員長の言う通りだ。女の子が、そう簡単に外でオシッコなんかできるわけない。今の今に限って言えば、ミノリは壁の向こうの男子たちがうらやましかった。あんなふうに構わずに外でオシッコができれば、こんな風に辛い思いをして順番を待つ必要もないのだ。
 男士たちにからかわれたせいで、列に並んでいるみんなは真っ赤になって俯いてしまった。委員長もとうとう言い返せなくなり、きゅっと下を向いて水着の前を引っ張り出す。恥ずかしさで我慢を刺激されてしまったようだ。

(…………)

 いっそ、シャワーを浴びながらこっそりオシッコもしてしまおうか、とミノリが本気で考え始めたところで、個室のほうでざぁあ、と水が流れる。
 ガチャガチャと鍵を弄る音が続いて、ドアが開いた。個室に入っていた子がぎゅっと水着を胸のところで抱き締めながら、よちよちと歩み出てくる。
 その子は水着を着てはいなかった。一応、胸の前は脱いだ水着で隠しているものの、その下からちらちらとハダカが見えてしまっている。目はちょっと赤くなっていて、いまもちいさくしゃくりあげていた。

「あ……」

 ミノリにもすぐに分かった。
 みんなの視線から逃れるように、その子は俯いてトイレを走り出、シャワールームに飛び込んでゆく。。
 タイルにはびちゃびちゃの足跡が残り、つんとした匂いがかすかに濃くなる。

(オモラシ……間に合わなかったんだ……)

 順番を守ってなんとかトイレまでは入ったものの、オシッコの準備が間に合わなかったらしい。たぶん、水着を履いたままオシッコがどんどん出始めてしまって、止まらなかったに違いなかった。
 汚れた水着をなんとか脱いで出ていったのだろう。ようく見ると、個室の床はその子が漏らしてしまったらしきオシッコでびちゃびちゃに汚れている。
 水着を半脱ぎにしてまで個室に飛び込む用意をしていた先頭の子は一瞬ためらっていたが、すぐに列の後ろの子のに肩を叩かれて、個室に入る。たとえどんなありさまになっていても、ここしかオシッコをする場所はないのだから。

(ふこうへいだよ……こんなの、ぜったい、ずるい……!!)

 男子はあんなに簡単にオシッコができるのに、女の子はどうしてあんなに面倒臭くて恥ずかしい格好をしなければオシッコができないんだろう。スクール水着の股間をぎゅっと押さえ、ミノリはくねくねと足を交差させる。きっと男子なら、こんなにも我慢しなくてもいいはずだ。
 順番が回ってきたら、もう水着なんて脱がなくていいから、股のところだけ横に引っ張ってそのままオシッコをしてしまおう。小さな子みたいだけど仕方がない。そう思いながら、ミノリはひとり分短くなった列を前に詰める。
 間の抜けた、4時間目終了のチャイムの音が聞こえてきた。



 (初出:書き下ろし 2008/07/29)
 
[ 2008/07/29 22:54 ] 小ネタ | トラックバック(-) | コメント(-)

夏休みの我慢の話。(図書館編) 


「……暑い……」
 言ってみたところで仕方がないが、それでも口にせずにはいられない。図書館を出てほんの数分で、冷房に慣れていた身体はあっという間に悲鳴を上げていた。
 夏休みに入ったばかりの通学路は、いつものような賑わいとは無縁に、通りがかる人もまばらである。
 じわじわと鳴く蝉の声は、強い陽射しの降り注ぐアスファルトから立ち昇る陽炎をいっそうくっきりと浮かび上がらせ、まるで熱したホットプレートの上を歩いているような気分にさせてくれる。
 首筋に浮かぶ汗の不快な感触を気にしながら、明日香はブラウスの襟を引っ張ってぱたぱたと風を送る。学校指定の夏服は、布地も薄く色も軽いものだが、それでも30度を軽く超える真夏の気候にはとても対応しきれていない。
(急がなきゃ……)
 早足で歩く少女の手は、そっと鞄を握り締める。
 明日香も、できることならこんな時間に表を歩きたくはなかった。勉強に身が入らず帰るにしても、もっと遅く――日が落ちて、もっと過ごしやすくなる夕方まで待った方がよほど利巧なやり方だ。
 だから――彼女がこんな中途半端な時刻にわざわざ快適な図書館を出て、外を歩いているのには理由があった。
「ん……っ」
 ぞわり、と込み上げてくる軽い衝撃。
 それを乗り越えようと身体をよじった拍子に軽くこぼれかけた吐息を、下唇を噛んで飲み込む。
 じん、と下腹部に拡がる甘い痺れが、身震いをするように、おなかの奥でざわめくのを感じながら、明日香はこっそりと息を吐いた。
(……っ、はやく……おトイレ……オシッコ……)
 制服の下腹部にぐっと飲み込んだ、切羽詰まった尿意。
 少女の繊細な膀胱をぱんぱんに膨らませた恥ずかしい液体に急かされながら、明日香は焼けたアスファルトの道を足早に進んでゆく。
 一歩を踏むたび、おなかの中で危険水域に達した水面がたぷんと揺れ、たまらずあそこにぐっと力を篭めてダムの出口を塞ぐ。





 図書館での勉強は明日香の日課で、毎年夏休みが始まると、明日香は一日のうち最も暑い時間を冷房の利いた自習室で過ごすようにしている。
 宿題はだいたい7月のうちに片付けてしまい、あとは気の向くままに本を読んだり、参考書の問題を解いたりして過ごす。クラスでも上の方から数えて何番目、にランクインする成績を維持できているのは、そのおかげでもあった。
 クラスメイトは夏休みの開始と同時に、最新の流行のお洒落をしてあちこちに遊びに行くが、明日香はそんないまどきの少女達とは対照的だった。わざわざ外出の時に、校則指定の制服を着ているのも、明日香の生真面目さによるものだ。
「……んぅ……っ」
(や、やだ……また来ちゃった……)
 さっきよりも強い波がきて、明日香は思わず立ち止まってしまった。
 ゆっくりしている暇なんてないが、動いているとなにかの拍子にちょびっと漏れ出してしまいかねない。さすがに往来で前押さえはできないので、鞄を持つ手をそっとスカートの前に寄せて、きゅきゅっと膝を寄せあう。
 これだけの仕草でも明日香にしてみればかなりの譲歩だが、なおも激しい尿意は少女の羞恥心を相手に一歩もひるまない。
 路傍のただなかで、より恥ずかしい我慢の格好を引き出そうと、膨らんだ尿意の塊がちくちくと少女のオシッコの出口を責め苛む。あそこが小さく引きつる気配と、背筋の粟立つ感触に、明日香はたまらずくねくねと腰を揺すってしまう。
「っ……」
(は、はやく我慢して……おトイレ、行かないと……)
 気ばかり焦るが、じりじり高まり続ける尿意の波のただなかでは思うように足も進まない。ここから家まではまだ10分近くかかるのだが、それもいつも通りのスピードで歩けていればの話だ。
 下腹部をぱんぱんに膨らませたオシッコを我慢しながらでは、わけが違う。
 きゅんと疼く甘い痺れが、おなかの方から徐々にその下へと移りだしていた。我慢の限界が近いのだ。
(……うぅ……おさまってよぉ……)
 鞄の下でおなかをさすり、どうにか荒ぶる尿意をなだめようとする明日香。
 緊張した括約筋がびりびりと震え、今にも熱い雫がすぐそこまで込み上げてきそうな緊迫感が、休むことなく続いている。
 下着の股布にじんわりと滲む湿った感触は、きっと汗なんだと自分に言い聞かせながら、明日香はまたのろのろと歩き出した。





 明日香はどちらかというとトイレが近いほうだ。
 夏の間はきちんと水筒で麦茶を持参して喉を潤すようにしているが、冷房の効いた図書館では結構な頻度でトイレに立つことになる。
 だが、今日の図書館ではあいにくなことに、婦人用のトイレが改装工事中だった。
 そのため、図書館側の配慮で紳士用トイレが一時的に共用のトイレになるという措置が取られていたのだった。が、人一倍羞恥心の強い明日香が、男の人も利用するトイレを使えるはずもない。
 もちろん、明日香も最初からそれを知っていればそもそもこんな状態になる前に図書館を出ていただろう。
 だが明日香は不幸なことにそれを知らないまま、いつもの調子で宿題に熱中し、数学の問題集を一区切りつくまで解いて、だいぶ我慢がきつくなってきたところで慌ててトイレに立って、現実の大問題に直面したというわけだった。
(……やっぱり、恥ずかしくても図書館で、おトイレ行っておけばよかったのかな……。でも、男の人も使うところで、お、…オシッコなんて……できるわけないし……)
 けっきょくためらった末に、仕方なく図書館を出たものの、もともとは図書館のトイレでオシッコを済ませる予定だったため、まったく不意打ちでおあずけを食ってしまった明日香の排泄器官は、急遽決定した我慢の延長戦におもいのほか苦戦を強いられていた。
 この分では、家に帰るまで我慢をしきるのは難しそうですらある。
(……あとちょっとで公園だから……あそこのおトイレ、使わせてもらおう……)
 あまり清潔とは言えない公衆トイレだが、もはや背に腹は変えられない。少女の羞恥心を押さえこんで、明日香は緊急放水のための寄り道を決意する。学校の制服で寄り道は本来いけないことで、おまけにこの格好でトイレに入るのはかなり抵抗があるのは事実なのだが、明日香の尿意はそれ以上に切迫していたのだ。
 本来は直進すべき交差点を右に曲がり、路地を抜け、大通りへと。
 カラフルな遊具と、木々が茂る市立公園は、すぐその先にあった。
(……んぅっ)
 遊具の向こうにあるクリーム色の小さな建物が視界に入った瞬間、ちくちくと尿意が刺激される。ついに見つけた『オシッコのできる場所』に、おもわず小さくこくりと唾を飲み込み、明日香は一番近い横断歩道に向かった。
 公園に渡るには横断歩道と歩道橋があり、どちらも同じくらいの距離がある。どちらを通ってもかかる時間は同じようなものなのだが、いまの自分には階段の昇り降りはかなり辛いだろうことは容易に想像できたため、明日香は迷いなく横断歩道を選んだのだ。
 だが――
 途中でぐずぐずしていたためか、明日香がちょうど横断歩道に辿り着いたところで横断歩道の信号が点滅をはじめてしまった。
「あ……」
 思わず待ってと口にしかける明日香だが、もちろん待ってくれるわけもない。ほどなく赤になった信号の前で、明日香はじっと立ち尽くす。優等生の明日香には、信号無視なんて発想が浮かぶわけもない。
 とたん――明日香のそわそわとした様子が目立ち始めた。不恰好に寄せあった膝と、モジモジと揺すられる腰。歩いていればすこしは紛れた尿意も、じっと立っているだけだとうまく受け入れることも難しい。
 不自然にステップを刻むローファーの爪先も、精一杯のさりげなさを装って交差させられる脚も、もはや誰の目から見てもはっきりとトイレを我慢している様子を知らせるものだった。
(っ……だめ、あとちょっとなんだから……っ)
 行き交う車の前に晒される格好になって、明日香は羞恥に顔を赤らめながら俯いて、なんとかして腰の揺れを押さえこもうとする。だが、締め付けを続けて疲弊した括約筋は思うように言うことを聞いてはくれない。
「あ……くぅ…」
 じんじんと疼く股間が、ぷくりと尿意の先走りに膨らみそうになる。明日香はたまらず鞄から片手を離して前押さえをせずにはいられなかった。スカートの上をくしゃくしゃにして、溢れそうなオシッコを塞き止める。
 車道の側の視線を鞄で遮って、その裏側でぎゅぎゅっとスカートを押さえ、股間を握り締める。
 せり上がる尿意に溺れまいとするように、明日香は爪先立ちになっておしりを持ち上げ、不安定な上半身を信号の柱にもたせかけていた。
(んぅ、ああ、ぁっ)
 揉み解された股間にびりびりと電流が走り、背筋を這い上がる痺れに明日香はぐっと唇を噛んで耐えた。
(ま、まだ!? まだ、信号、変わらないのっ!?)
 横断歩道を睨み付けるが、赤信号の変わる気配はない。せりあがってくる尿意は激しく、ずしりと重い。限界に近い尿意になぶられ続け、ほんの数秒が、明日香には何十分にも感じられてしまう。
 切なく握り締めた指先が、信号の向こう側の公衆トイレを欲している。
 目の前――直線距離ならあと数十mで辿り着けるであろう『オシッコのできる場所』が、ますます少女の排泄欲求を活性化させる。
「はぁ、はぁはぁっ……」
 なりふり構わず必死に我慢を続ける明日香をよそに、じゅ、じゅっ、とほんの少しチビってしまったオシッコが、下着にちいさな染みを作ってゆく。
(ちょっと……出ちゃった……っ)
 おチビりのショックに赤くなりながらも、そこで屈することはなく、明日香はなんとかおなかの中にオシッコをとどめたまま、強烈な津波を乗りきった。
 そして、ようやく横断歩道が青信号へと変わる。
「……っ!!」
 「止まれ(我慢しろ)」から「進め(出してOK)」へと切り替わった信号に、明日香は短距離走のスタートを切るように駆け出していた。おぼつかない脚を無理矢理に急がせて、横断歩道を一息に駆けぬけ、公園の入り口をくぐって待望のトイレへと一目散に走り寄る。
 公衆トイレの入り口は二つ、そのうち入ることの許された赤い女性用のマークを見極めて、明日香はためらうことなくその中に駆け込んだ。もはやオシッコを済ませるまで一直線、わずかな躊躇すら成否を分ける秒単位の戦いなのだ。いったんおチビりをはじめてしまったオシッコの出口が、とても脆いことを明日香は知っている。
(はやく、はやくっ……!!)
 夏の熱気によって、むわっとした不快な臭いが篭ったトイレの中、二つ並んだ個室は片方が『使用中』のマークをドアノブに刻んでいる。
 鞄を荷物掛けに放り投げ、スカートの前を押さえながら、もうひとつの個室へと走りこんだ明日香が、タイルの上で脚踏みをしつつ後ろ手にドアを閉めようとしたその時。
 オモラシ寸前の少女を、さらなる悲劇が襲う。
「え……っ?」

 がこっ!!

 ドアにかけた指先が、強い力でもぎ取られる。
 夏の湿気でドアが歪み、地面のタイル接したまま固定されてしまっていたのだ。タイルに食いこんだドアは、開いたままびくりとも動かない。
(う、うそ……っ)
 震える指先に再度力を篭めるが、ドアはわずかに動く気配すらない。
 洋式の個室は、ちょうどドアの方に向かって腰掛け、用を足す配置になっている。このドアが閉まらなければ、明日香はトイレの外に向かって何もかも丸見えになった状態で、オシッコをはじめなければならない。
 もちろん、そんな事はできるわけがなかった。
(な、なんで…ぇ…!?)
 公園には少ないながらも人がいるし、いつ誰が入ってきてもおかしくない。そんな状態で、自分がオシッコをしているまさにその最中の格好を見られるなんて、死んだ方がマシだ。
 あるいはもっと明日香に余裕がなくて、ドアの異常に気付きもしなければ、もはやどうしようもなくオシッコを始めていただろう。だが、一度気付いてしまえば、隠すものもなく丸見えの状態での排泄は、年頃の少女にはとても許容できるものではない。
「な、なんで閉まらないのっ……!?」
 焦りと共に明日香は三度ドアを引く。だが、地面に踏ん張ることもままならない爪先立ちの脚踏み状態では体重をかけてドアを動かすこともできない。下着を下ろそうとしていた片手が、込み上げる尿意を押さえこむためぎゅうっとスカートの下で股間を握り締める。
 しかし、もうここで解放される予定だったオシッコは、我慢の再延長戦には応じてくれなかった。手のひらでも塞き止めきれず、じゅじゅ、じゅぅっとチビり出したオシッコが下着にじんわりと拡がってゆく。
(ぁう……っ)
 出ちゃダメ、出しちゃダメ、と呪文のようにつぶやいて必死に我慢を奮い立たせる明日香だが、2度目のおあずけには、身体の方が対応できない。
(や、やだっ、このまま……お、オモラシなんかっ……!!)
 おしりを突き出したまま、ふらふらと個室を出た明日香は、最後の望みを託して隣の個室に向かった。
 いまだ使用中の個室の中では、音消しの水の音がざぁざぁと響いている。我慢の限界寸前の明日香を差し置いて、自分ではない誰かがすぐそこで、オシッコをすることを許されている――その状況に理不尽な怒りすら覚えてしまう。
「……あ、あのっ」
 もはや恥ずかしいなどと言っていられない。一秒を争う一大事だ。使用中のドアをノックしながら、明日香は必死に声を上げる。
「す、すいません、か、代わって……くださいっ……!! あ、あの、わたし、もうっ……、が、我慢……できな……っ!!」
 しかし、個室の中からの返事はない。
 少女が羞恥をこらえ辛うじて絞り出したか細い声と、力の篭らないノックは、明日香の最期の懇願は、無情にも沈黙をもって応えられた。
 閉ざされたままの個室と、
 ドアが閉まらず、使えない個室。
 もはやこの公衆トイレの中には、明日香がオシッコを済ませられる場所は残されていなかった。
(ど、どうしようっ……で、でちゃぅ…っ!!)
 ぎゅうぅっと交差した脚の隙間から、じわ、じわと熱い雫が滴り始める。前を押さえた指の間からも、ちろちろと薄黄色い雫が吹きだしていた。もはや耐えきれない尿意が、津波のように少女の下腹部を襲う。
「ぁ、あ、ぁっ」
 ぱくりと開いた少女のくちびるから、意味を持たない声がこぼれる。
(も、もういいや、見られちゃっても、さ、さっきのところで……っ)
 すでに選択の余地はない。ここからさらに他のトイレまで我慢するなど論外だし、このまま使用中の個室が開くまで耐え続けられるとも思えなかった。
 覚悟を決めて踵を返した明日香だが、そこまでだった。
「あ、ぁ~っ…あぁ……っ……」
 まさに目前、トイレまであと1mの所で、込み上げてくる激しい尿意の大高潮。明日香は反射的に立ち止まり、爪先立ちになってそれを堪えようとし――結果、3度目の大津波に、とうとう我慢は崩壊した。
 トイレのドアにしがみ付いたまま、少女の腰ががくがくと震え、握り締められたスカートがくしゃりとねじられる。
 明日香の小さなくちびるが意味のない声をこぼし、少女の身体は股間からおしりへと回ってゆく熱い感触に足元がふわふわと浮かぶような快感に震えていた。
 我慢の限界を迎えた排泄孔が、下着の内側で濡れた布地に激しい水流を吹きつけ、制服をだいなしに汚していた。空気の音の混じったじゅじゅ、じゅぶっ、じゅるるっというくぐもった水音がこぼれ、トイレの床にばちゃばちゃと水流を散らしてゆく。
 ローファーもすっかり色を変え、皮が反り返ってオシッコを吸い、ソックスまでもオシッコ水浸しになっていた。
 しゃがみ込んでしまった明日香の足元、床のタイルにどんどんと大きな水たまりが拡がってゆく。本来明日香がオシッコをするべきトイレとは反対側の、わずかに傾斜した床の向こうの排水溝に流れ落ちてゆく少女のオシッコは、トイレの床面積のほぼ半分近くを汚していた。
(っ……)
 我慢の末の決壊に、途方もない解放感。
 トイレを目の前に、オモラシをしてしまった衝撃に呆然となる明日香をよそに、ようやく使用中だった個室のドアが開こうとしていた。



(初出:書き下ろし 2008/07/27)

[ 2008/07/27 22:23 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
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