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バスから路上にいたる話。 

 
(あっ……ぁ、あっ、だめ、っ)
 交差点の中央、右折の信号待ちをするバスの中。
 エコドライブ宣言もどこへやら、まばらに席を埋める乗客の中、不規則に暖房を効かせる後部座席の傍で、日野森花梨は唇をかみしめる。
(ど、どうしよう、漏れちゃうよっ……)
 今にもくねくねと揺すってしまいたくなる腰を意志の力で押さえ込み、ぎゅっと交差された膝を不自然にならない程度に擦り合わせながら、花梨は間近に迫りくる“オモラシ”の危機と戦っていた。
 冬服のスカートは脚の付け根を抑え込む手のひらによって内腿に深く巻き込まれ、吊革に体重を預け、膝下までのソックスに包まれた脚は交互に革靴の爪先でこつこつと床を叩いている。
 空席の目立つ車内で、わざわざ吊革に掴まり、バスがバス停を通過するたびに落ち着きなくちらちらと窓外を窺い続けている少女は、車内でもやけに目を引く存在だった。
(……やっぱり、あの時ちゃんとトイレ行っておけばよかったっ……)
 今更のように悔いるが、後の祭りでしかない。
 放課後、委員会の仕事を終えたあとに花梨は鍵を返しに職員室に寄り、そこでお喋りな学年主任とついつい、1時間近くも雑談に興じてしまった。その時に御馳走になったお茶2杯が、いまや残らずおしっこに変わって、少女の膀胱を占領しているのだ。
 もともと帰る前にトイレに寄ろうとしていたところに、利尿作用のおまけつきで摂取した水分だ。冬の寒さも手伝って、花梨の下腹部は耐え難いほどの尿意をひっきりなしに訴え続けている。
(あっ、あっあ、く、ううぅぅ……っ)
 ふたした油断でぷくりと内側から膨らみかけた排泄孔を、溜まらずぐいっと手のひらが押さえ込む。花梨の意志を無視して、身体は生理的欲求に従い、ところ構わず勝手に排泄を始めようとしていた。
 いちどでも生理現象を訴え出した少女の身体は、際限なくその欲求を加速させてゆく。こみ上げるイケナイ感覚に下半身を震わせて、花梨は熱い吐息をこぼす。
 職員室を出たときにには、すっかり外は暗くなっており、時計も門限まではあとわずかという時刻を示していた。その焦りもあり、バス停にやってきたバスに即座に飛び乗ってしまったのだが――閉まるドアと出発するバスの中、花梨は早くも己の失敗を悟っていた。
(ど、どうして、家までくらいなら我慢できるなんて思っちゃったんだろ……っ)
 駅から学校、市立病院を循環するバスは、利用者も多く通学、通勤にもよく利用される。いまはさほど混む時間帯ではないが、花梨もこの路線を使って通学していた。しかし、いくら重宝されていようと、定番の路線バスにはトイレなど付いているわけもない。
 動く牢獄に等しいバスに乗っている限り、花梨は次のバス停まではじっと身を竦ませて我慢する以外のことはできないのだ。

『次は、明野三丁目。明野三丁目。
 ……お降りの方はお近くの停車ボタンでお知らせください……』

「はぁ……ぁっ……」
 ぎゅっ、と通学鞄の持ち手を握る手のひらに力がこもる。
 学校前のバス停を出発してすぐに始まった花梨のささやかな我慢ダンスは、すでに誰が見てもわかるほどのはっきりとした腰揺れとなって表れていた。
 花梨の中、長期トイレ我慢予報は必窮する下腹部の状況に迫られ、下方修正を繰り返している。当初発表だった『家に帰るまで我慢する』案ははるか昔に取り下げられ、市立病院駅のトイレ、駅の公衆トイレを経て、最新予報では三つ先のバス停前の公園の公衆トイレにまで格下げされている。
(あ、あっ、は、はやくぅ……っ)
 思春期の少女としては、よくホームレスのおじさんがたむろして身体を洗ったりしている公園の公衆トイレなど、使うどころか近寄ることすら躊躇われたが――刻一刻と切羽詰まってゆく下半身を抱えていては、選り好みなどしていられない。
 普段は意識すらしていないトイレすら、焦がれるほどに待ち遠しい場所だった。
 バスがゆっくりと交差点を抜け、夕暮れの中に並ぶ乗用車の赤ランプのあとを追いかけてゆく。
 とうとう不安定な吊革に捕まっていられなくなり、乗降口の手摺りに体重を預けるようにしながらきつくそれを握りしめて、花梨はバスの進行方向を見つめていた。可憐な桜色の唇は半開きになり、潤んだ視線は中空に固定されてあらぬ方を見つめ、熱い吐息を小刻みに繰り返す。
「はぁぅ……っ」
 道路の凹凸による振動に合わせて、花梨の下腹部ではイケナイ感覚を呼び覚ます恥ずかしい水がたぷたぷと揺れ、限界の迫った少女をますます追い込んでゆく。清楚なたたずまいの表情は押し寄せる尿意の波にゆがみ、顔は蒼白になりこめかみには脂汗まで浮かぶ。
 一度効力を発揮する緑茶の利尿作用はすさまじい。
 冬の寒さを乗せる隙間風も手伝って、明野三丁目のバス停で数名の乗客が乗り降りを追えるころには、花梨は小さく喘ぎ、身悶えしながらぱんぱんに膨らんだ下腹部をひっきりなしにさするようになってしまっていた。
 まるで熱した砂が詰まっているように、硬く張りつめた下腹部は、もはや最寄り駅のトイレまで持つかどうかもあやしい。じっとしていなければならないはずの腰がクネクネと左右に揺すられ、『ぁあっ……』『んっ…!』という艶めかしい声が少女の唇からこぼれる。
 花梨の近くに座っていたおかっぱの中学生が、あえて苦しげな少女の様子を見ないようにと文庫本を広げた。しかし、ぎゅっと下腹部を握り締め腰を揺する少女に気を取られ、まったく本の内容など頭に入らないようだった。

『次は、両瀬台、両瀬台。
 前原医院へは、こちらが便利です……』

 かち、かち、と時を刻む腕時計の秒針を、数秒おきに見ながら、花梨は手摺にしがみつく。早いようで全く進まない秒針は、まるで我慢の限界のカウントダウンのように花梨を苦しめていた。
 公園までバス停はあと二つ。そこまでほんの数分でたどり着くだろうバスは、しかし大通りに多い信号につかまり停車する。
 下方修正に下方修正を重ね、最後の妥協点として見出したはずの、最短コースでたどり着くはずの公園の公衆トイレだが、いまや花梨にはそこまでの距離すら絶望的に遠く思えた。
 不意に、信号の変化と共にバスがエンジンを吹かし、ぐらり! と強く車内が揺れる。
「ぁぁ、あぁっ……!!」
 気の緩みかけた瞬間に押し寄せた猛烈な圧迫感に、じゅわりっ、と股間に熱く湿った感覚が広がった。とっさにがばっ、と両手で脚の奥を押さえ込む花梨だが、続く放出は塞き止められても、一度あふれた分はどうしようもない。
 たちまち下着に染み出したおチビリの気配が、少女の頭から熱を奪い去ってゆく。
 じわぁ、と脚の間を広がった熱い感覚は、すぐに生ぬるく冷え出し、じっとりと花梨の股間に張り付く不快な感触をもたらした。
(い、嫌ぁっ……)
 いい歳をしてしでかしてしまった『失敗』に、花梨の頭はパニックに陥る。さらには緊張に強張った下腹部は、一度わずかながらも排出を許した排泄孔の位置をはっきりと覚え、そこへ一気に攻撃を開始する。
 括約筋が力を振り絞って抵抗を続ける中、花梨の意志に反して下腹部の水圧はぐっと増し、女の子のダムのいちばん脆い部分へと襲い掛かる。熱烈なノックに女の子の通路は押し開けられ、さらにじわ、じわと熱い水滴をこぼし、膨らみかける“おしっこの孔”がぴりぴりと痺れ、短い排泄孔の中にも液体が詰まりきっているかのよう。
「くぅ、っぅうっ……!!」
 じ、じ、とまるで電流を流すような衝撃に、思わず花梨はぎゅっとおしりの孔に力を篭めて開きそうになるおしっこの出口を押し潰す。
 それでもつうっと脚の間を、まるで細い毛先でこすられるような感触と共に、つうっと細い流れがこぼれ落ちた。
(っ、だ、だめ、間に合わないっ……)
 進退極まったことを悟り、花梨はすがるように車内を見回し、目に入った降車ボタンを叩きつけるように押し込んでいた。
 バス停を直前に、突然『降ります!!』と叫ばれたバスは、急遽スピードを緩めて路肩に寄り、バス停を少し通り越して停車した。



 もたもたと定期入れのICカードを押し付けて精算し(財布を出して小銭を数えていたりしたらあの場で出始めてしまっていただろう)、花梨は人気のまばらな住宅街に下りた。
 その間にも二度、花梨はスカートの下で全力を振り絞ってぎゅうっとおしりの孔と一緒におしっこの出口を締め付け、腰を突き出してありったけの我慢を繰り返し、押し寄せる怒涛の尿意を押さえ込んでいる。
 花梨だけを薄暗いバス停に残し、すぐに走り去るバスを尻目に、おぼつかない足取りで少女は歩き出した。
(っ、は、はやくはやくっ、おしっこ、おしっこぉ……っ、も、漏れちゃうっ、漏れちゃううっ!!)
 もはや少女が求めるものは『トイレ』ではなく、『おしっこのできる場所』だった。似ているようで非なる両者の差異は、一文にして明白。
 前者がもともとそのために作られ、整備た場所なのに対して、後者はただただ、しゃがみ込んで下着を下ろし、脚の付け根からおもうまま恥ずかしい液体を迸らせることさえできればよいという、それだけだ。
 最寄のトイレまですら我慢することを諦めてしまった花梨は、オモラシによってバスの床を汚すことを畏れるあまり、女の子のプライドすらかなぐり捨てようとしていた。
 熱に浮かされたような表情で、花梨はすぐ近くの街路樹の植え込みの前に倒れかかってしまう。
「っ……」こくり、と緊張を飲み込み、花梨は電光石火の早業でちびった分で濡れぼそり、股間に張り付く下着を膝まで引きおろすと、スカートを腰上まで捲り上げてしゃがみ、おしっこの準備を整える。
 道路の端、街路樹の根本――まるで犬のようにおしっこをしてしまおうという行為に対するわずかなためらいは、じっとりと湿る下着と突き上げるような尿意に蹂躙されかかって熱く疼く股間に吹き飛ばされた。
(あ、あっあ、あっあ)
 もはやここまで来て躊躇する余裕はなかった。花梨は、植え込みの根本を跨ぐまたぐように大きく脚を広げ、バランスをとりながらおしっこを始めてしまう。
 いかにも優等生然とした容貌を歪め、唇を噛んで耳たぶまでを赤く染め、俯く花梨の足元で、ぷしゅう、と涼やかな水音が口火を切る。
 樹の幹にしがみつくようにして、花梨は身体を何度も小刻みに震わせた。
 植え込みと木の幹で道路側からの視界は辛うじて遮られていたが、いくら小柄な花梨でも、細い街路樹の後ろに隠れきれるわけもない。注意して見さえすれば剥き出しの太腿や制服の肩はたやすく目に付き、その向こうに少女が腰を落としているのはすぐに分かってしまう。
 股間のすぐ前を隠す樹の幹さえなければ、足を広げて腰を落とし、白いお尻と大切な部分すらもあっさりと見えてしまうだろう。女の子の大切な部分を、行き交う車道へと丸見えにさせ、見せ付けているのに等しい格好だった。
 まだ幼いつくりの細い割れ目は、緊張に震え、わずかなほころびもなく少女の下腹部に食い込んでいる。我慢のために出口をきつく締めつけられているのを示すように、もうひとつの小さなすぼまりもきゅうっと萎縮し、縮こまっていた。
(っ……)
 真っ赤になりながら、花梨はこぼれそうになる悲鳴を唇を噛んで喉の奥へと押し込む。両手は揺れる身体を支えるので精一杯だ。
 上げそうになる羞恥の悲鳴を堪えてきつく閉じられた花梨の唇同様、少女の股間の秘密の唇も緊張に硬く引き結ばれ、その奥の排泄孔からの水流はそれに遮られて四方へと飛び散る。
 じゅじゅぅう、じゅうぅっ、とだらしなく飛び散った熱い雫は、きゅっと引き結ばれたおしりのほうへも伝い、ぽた、ぽた、と後ろのほうへも垂れ落ちてゆく。
(っ……!!)
 スカートを汚しかねない事態に、花梨は必死で心を落ち着けながら、硬く緊張させていた括約筋を緩めた。きつく詰めていた息をゆっくり吐くと、こわばって硬く閉じあわされていた秘唇がぷくっと広がり、その奥から熱い水流が、本当の勢いで太い放物線を描いてほとばしる。
 ぶしゅううーーっ、と熱水が秘所を擦る鋭い音をたて、街路樹の根元の剥き出しの土に激しく吹きつけられた。硬く踏みしめられた植え込みの根本をえぐるほどに勢いも強く、少女の股間から噴き上げた飛沫は、ほどなく野太い奔流となって、ばちゃばちゃと土の上に泥をあふれさせ色のついた泡を吹き上げるように水音を立てはじめる。
(はぁああああ……っ)
 もはや罪悪感や嫌悪感よりも、我慢を重ねていた尿意からの解放感ははるかに勝るほどに甘美だった。下腹部をぱんぱんにさせ、はちきれんばかりに溜まっていたおしっこが、勢いよく足元へと叩きつけられてゆく。少女の体内で温められた熱水は、秋の気温に触れて小さく湯気を上げるほどだ。
 解放感に震える少女の身じろぎにあわせ、噴き出す水流は蛇のようにくねり、時にはしゃがみ込んだ足元へと飛び散って靴やスカートの裾を汚すが、排泄の心地よさに身をゆだねた花梨にはもう些細な問題でしかなかった。
 路上の片隅で地面を深くえぐるほどのおしっこに夢中となり、花梨は、うっとりと唇を震わせた。
 尿意に耐えかねた少女の暴挙によって、特設臨時トイレと化した路上の片隅の街路樹の根本。屋外だというのにあたりにははっきりと花梨自身のおしっこの匂いが満ち、便器代わりの地面の上には勢いよく薄黄色の水流がじょぼじょぼと音を立てて注ぎ、泡を立てて飛沫を飛び散らせる。
 響く水音はぱちゃぱちゃ、という軽いものからじょぼじょぼじょろろ、というおよそ少女には相応しくないみっともないものに変わっていた。
 街路樹のすぐ傍には、『飼い犬のトイレはご遠慮ください』という立て札があることにも、花梨は気付かない。
「はあ……っ♪」
 ここが本来どこであるかも忘れ、どこか甘やかな響きの混じる深いため息。花梨は排泄の開放感に夢中になっていた。噴き出すおしっことともに身体から沸騰しそうな熱が抜け落ちてゆく。
 歩道を歩く人々がぎょっとしながら、お尻を丸出しにして、『犬のトイレ禁止』の場所で猛烈な排泄を続ける少女を遠巻きに見守る中。
 花梨の溜まりに溜まったおしっこは、なお1分以上も続くのだった。



 (初出:書き下ろし)
[ 2009/11/23 13:42 ] 小ネタ | トラックバック(-) | コメント(-)

冬の授業の話。 

 ワックスの剥げかけた床を、椅子の脚が小さく軋ませる。
 制服の上下だけでは肌寒さを覚える教室は、インフルエンザの猛威によって机のあちこちに空席が目立ち、いつもよりも生徒数の少ない分だけ一層冷え込んでいるようだった。
 窓を揺らす北風は日に日に強まっているというのに、担任の主義により12月になるまでは沈黙したままのストーブは、教室の空きスペースを無駄に浪費するだけの鉄の塊と化していた。
「…………っ」
 静まりかえった教室の中を満たすのは、昼食を挟んで気だるい午後の弛緩した雰囲気ではなく、切れ間ないチョークの音が刻む独特の緊張感だ。
 3、4年生を受け持つ社会科の教師は、昨今巷を席巻する学級崩壊や体罰問題などどこ吹く風と、非常に厳格な授業をすることで有名だった。手を出すことことしないが、遅刻や課題の提出忘れ、授業中の余所見などには容赦なく罰則を与える。
 教師は生徒の理由で授業のペースが乱されたり、中断されたりすることを大層嫌い、質問も授業終了時以外は認めない。無論、私語なども厳禁で、途中退出もよほどのことでない限り認められない。
 それゆえ、その担当時間だけは酷く張り詰めた空気が教室を満たす。まして本格的な冬も間近なこの季節、窓外の冷たい曇り空ともあいまって、授業中の雰囲気の冷たさといったら言語に尽くしがたい。
「……、…………っ」
 そんな中。教壇にに向かって窓際、前から3番目。ボブカットの前髪をピンで留めた的場有咲は俯き加減に、何度も唇をきつく結びなおしていた。
 すでに二度、板書は書き換わっているというのに、有咲のペン先はノートの端に押し付けられたまま、意味のない線の塊を引き結ぶばかりだ。
 もぞ、と膝裏に巻き込んだスカートの位置を直し、腰をずらすたび、小さく床板が軋む。何度か無言ながら視線で教師の注意を受けているが、有咲の落ち着かない様子は収まらなかった。
 無論ながら、彼女に授業妨害の意図などない。それよりも切迫した生理的欲求が、少女の身体を衝動的に衝き動かしていたのだ。
「はぁ……っ」
(ぁっ、……ぁ、っ……!!)
 机の下の左手が、ぎゅうっとプリーツスカートの上を握り締める。冬服の布地の下では、慎ましやかな下着に包まれた乙女の下腹部が、比類のない緊張感に震えていた。
(……っ、と、トイレ……トイレ行きたいよぉ……っ)
 切なる訴えは、しかし声になることなく、少女の喉奥に噛み殺される。
 うねる衝動と共に間断なくこみ上げる尿意は、乙女のダムのもっとも脆い部分を突き崩そうと執拗に攻撃を続けていた。次々と押し寄せる波を、排泄孔を締め付けるか細い抵抗だけで追い返すことはや数十回。もはや疲弊した括約筋は、辛うじて現状を保つので精一杯だった。
 午前中の休憩と、昼食の時に摂取した水分は、午後の授業開始と共に勢いを増し、いまや有咲が体内に抱える小さな乙女の容器を占領しつつある。
 加えて、窓ガラスから侵入し、足元から這い寄ってくる寒さ。
 加速する尿意に、すでに有咲の乙女は限界に近い危機を迎えていた。下腹部はその内に溜め込んだ恥ずかしい琥珀色の液体を一刻も早く排出せよと訴え続けている。
「……っあ、っ」
 数え切れないほどの尿意の大波が、またも出口へと殺到し、脚の付け根付近に熱い気配を感じて有咲は声を上げ身を竦ませた。
 我知らず、きつくスカートを握り締める指は白く色を変え、丸めた背中に緊張が走る。
 ノートに突き立てたシャーペンの先で、芯が耐え切れないようにぺき、と折れた。
「あ。っ……くう……ッ」
 静寂の中、物音を立てた有咲に教師のみならず周囲の生徒たちの視線も集中する。有咲は下腹部で今まさに荒れ狂う大波を乗りこなしながら、必死になって平静を装わねばならなかった。
(っが、がまん、がまんっ……ガマン、しな…きゃ……!! あ、あと、あと少しだから、あとちょっとで休み時間っ……)
 今日はこの授業で終了。その後は休み時間を挟んで帰りの会、そして放課後だ。そうなればもはや有咲がトイレにいくことを妨げるものは無いに等しいが、それでも少女の身体は一刻も早い解放を渇望していた。
 本来なら、今すぐにでもトイレに行きたい旨を伝えて席を立つべきだろう。有咲だって心のそこからそうしたかった。しかし、この授業中は退出すら滅多に認められない。まして、担当教師がトイレを理由にそれを認めたことは一度もなかった。
 忘れるはずもない夏休み前の出来事だ。
 有咲のクラスメイトの一人が、酷くおなかを壊してしまっていたことがある。その時も担当教師は、彼女が授業の途中でそれを申し出た、ということを理由に取り合おうとせず、結果彼女はとうとう間に合わずに、授業終了の5分前にオモラシに至ってしまったことを目の当たりにしている。
 その時も、教師は彼女への配慮よりも先に、いい歳をして粗相をしたことを強く責めなじっていた。
 他にも、この教師はトイレを申し出た生徒を、自己管理がなっていないと激しい声で叱り飛ばしたことなど枚挙に暇がなく――それは有咲を含め、クラス全員にとって大きな恐怖になっていた。
(……っふ、ふぅ、はあっ……)
 それゆえ、有咲はトイレに立つこともできないまま、限界に近い尿意を必死に押さえ込んで、途方もなく長く感じられる残り十数分の授業時間を、なんとかして乗り切らねばならなかった。
 しかし――猛烈な尿意は少女のそんな事情など理解しようともせず、むしろさらに激しさを増していた。きつく閉じ合わされた太腿の奥では、下着の股布はすでにいくらか溢れてしまった『失敗』によって言い訳のきかないくらいに湿っている。
 おチビリの感触はスカートの上から脚の付け根に押し込まれた手のひらにも感じられるほどで、それでも乙女のダムが決壊に至っていないのは、懸命に我慢に我慢を重ね続ける有咲のプライドゆえだ。





「――以上とする。質問は」
 授業終了のきっかり2分前。板書を終えた教師が、生徒達に向き直る。無論、ここで手を上げる生徒はほとんどない。萎縮してしまっているという部分も確かにあるが、その一方で授業の質自体は悪くないためだ。
 静まりかえった教室の中を一瞥し、教師は眼鏡を直して小さく頷いた。
「では――」
 予定よりも2分早まった解放に、有咲の心が躍る。この授業時間短縮はいまの有咲には値千金だった。ここから女子トイレまでは歩いても1分かからない。まっすぐ向かえば順番待ちを強いられる危険もなく、個室に飛び込めるだろう。
(やった、トイレ……トイレ行ける。おトイレできるっ……!!)
 本来ならまだ教室で我慢を続けていなければならない時間に、排泄を始めることができる。それだけでも有咲は飛び上がりたいほどの喝采を胸中で上げていた。思わず腰が軽く浮き上がり、爪先は今にも床を蹴って走り出そうとする。
 が。
「課題を回収する。ノートを前に回しなさい」
 教師の言葉は、有咲の予想をまったく裏切るものとなった。
 指示があったのは先週の課題。週末に行われた小テストの誤答部分の再学習だ。軽くざわつく教室内だが、無論この教師の居る間に大きな騒ぎになるはずもなく、クラスメイトたちはめいめいに机の上からノートを揃えてゆく。
(そ、そんなの後でもいいから……はやく、はやく終わりにしてよぉっ)
 ドアを飛び出そうとしていたところでそんな指示を出され、心待ちにしていたトイレは寸前でお預けとなる。少し早い板書の終了はこのためであったらしい。授業時間を一秒も無駄にしない教師らしい指示ではあったが、これでは2分のアドバンテージなど残らないだろう。
(あ、あ、鐘鳴っちゃうってばっ)
 無常にも進む秒針を見上げ、出遅れてしまわないかと有咲は気が気ではない。女の子のトイレは時間がかかる。他のクラスの子たちがトイレに来ることは間違いなく、ことによったら個室が全て塞がる可能性があった。ほんの2分程度の時間短縮に一喜一憂している状態の有咲が、この上、トイレでまで待たされなどしたら本当にどうなるか分からない。
 大急ぎで鞄の中からノートを取り出した有咲は、後ろから回ってきたノートの束にそれを重ね、前の席の生徒に押しやった。
 だが――粛々と進むノートの回収中に、小さなハプニングが起こる。
 回収されて行くノートが、列の一つで途切れる。クラスメイトの一人が、青褪めた顔で手を上げ、小さな声で訴えたのだ。
「……すみません……わ、忘れました……」
 瞬間、教師の顔色が変わった。一気に緊張感を増した教室内で、立ち上がった生徒の一人に視線が集中する。その中には、何でいまそんなこと言い出すんだ、という非難の声すらあった。
 教師が、露骨に不機嫌な声で呻いた。
「……他に、忘れた者は」
 すると。
 他にも数名、手を挙げたものがいる。
 なんと、すでにノートの提出が終わった列の中にもその姿が見えていた。とりあえず形だけでもノートを提出し、あとで申し出るか、あるいは回答なし、で済ませようと思っていた生徒達もいたらしい。それはある意味、この場を乗り切るには賢しい判断ではあったが――
 今の状況においては、あまりに火に油だった。





 結局。
 教師の怒りをかったその行為は、該当者が少なくない数に及んでいたため、クラス全体の共同責任、という形にされてしまった。
 授業は急遽延長、休み時間に突入し、課題を忘れたものにはさらに倍に近い追加課題が課され、加えて全員に別の課題も義務付けられる。上がりかけた不満の声は、教師の視線と声に押し潰された。
 そして、
(ぁ、あっあ、あっ、で、でちゃうっ、でちゃうぅッ!! んんぅッ、……っと、トイレぇ……ッ、オシッコでちゃうぅ……ッ!!!)
 有咲はとうとうトイレに立つこともできないまま、教室内は帰りの会へと我慢の延長戦に突入していた。尿意はいや増し、いまや数十秒に1回の大波が押し寄せてくる。そのたびに下着に滲む熱い感触が、おしりの方にまで拡がり出していた。
 授業が終わったことが唯一の救いではあるが、クラスメイトの前で恥も外聞もなく我慢をできるはずもない。両手を机の下に突っ込んで、スカートの上から恥丘をぎゅっと握り締めては、椅子の上で腰を左右にくねらせ続ける。
 膝までくっついた脚は机の板に当たるように引き寄せられ、つま先が床板を繰り返して擦る。
 重ねて脚の付け根を押さえ込んだ両手の指の中に、いまにもはしたなく激しい音を響かせ、熱い水流を勢い良く迸らせてしまいそうになるのを必死に堪え、有咲は息を潜めて、一刻も早く解放されることを心待ちにしていた。
(っ、っと、トイレ、トイレっ、トイレはやくオシッコ、オシッコっ……!! はやくして、はやく、漏れちゃう、漏れちゃうんだからッ……が、ッ我慢できなかったら、ぜんぶ、先生のせいなんだから……ッッ!!)
 もはや耳にタコができるほどに聞き飽きたインフルエンザの注意を繰り返すクラス担任が、親の敵のようにすら見える。
(はあ、はあーっ、はあっ、んぅっ、んくぅ……ッッ!!)
 下腹部が熱を持ち、じりじりと高まってじいんと響くむず痒さは、許容量を超えてうねり、ずしんと重く排泄孔に圧し掛かる。磨耗した括約筋は細くこじあけられ、じわ、じゅわ、と股布に熱い雫を吹き上げている。そのたびにぷくりと膨らむ湿った布地は、いつまで経っても熱く、冷えることはなかった。
 もはや乙女のダムに詰まっているのは液体ではなく、灼けた砂のようだ。
 意識はおぼろげで、教師が何を話しているのかも良くわからない。茹だった頭の中では思考能力も無いに等しく、有咲は自分がどこに居るのかも分からなくなり始めていた。
 そして、
「起立、礼っ」
「っっ!!!!」
 ほとんど無意識のうちに号令に従って立ち上がり――
 気付いた時には、有咲は教室を飛び出していた。指に引っかかった鞄を後ろに残し、風のように廊下を蹴って昇降口の階段へ。
 そこが、この1時間近くにも及ぶ死闘の間、有咲が焦がれ続けた待望の、女子トイレ――悪魔の尿意から自分を解放してくれる聖域だ。ほぼ全速力で走るため、これまで全身全霊で耐えてきた我慢がわずかながらも疎かになり、さらには激しい移動の衝撃と姿勢を変えたことの重力によって、これまでとは比べ物にならない規模で下着に被害が広がってゆく。
 一歩ごとにじゅわ、しゅうぅ、と水音を立て、股布をぷくりと膨らませては太腿にこぼれ始める恥水を感じながらも、有咲はどうにかトイレの目の前にたどり着く。
 だが――
 そこでは、すでに着替えた生徒達が清掃を始めていた。
「ちょっと、何? 掃除中よ?」
 今日の担当は、上級生である青色リボンの高学年。切羽詰った様子丸出しで駆け込んできた有咲を、入り口に居た彼女達が迷惑そうに見つめる。
「あ、あの、と……トイレを――」
「聞えなかった? 掃除中。終わるまで待って」
 取り付くしまもない、とはまさにこのことだろう。
 入り口に立てた古びた『清掃中』の看板の後ろへと、体操服に着替え、掃除用具を手にした上級生たちが消えて行く。
(う、嘘!! だめ、待ってッ!!! もう、もう間に合わないのにっ!!)
 その最後の一人を呼び止めて、有咲は声を振り絞った。すでに下半身は秒読み段階、だん、だん、と上履きが交互に打ち下ろされ、有咲は限界の“乙女”を抱え込んだまま、前屈みになってその場で足踏みを始めてしまう。
「あ、あのっ、お願いしますっ、ちょ……ちょっとだけでいいですから、つ、使わせてくださいっ!! も、もう我慢できなくてっ……」
 恥をかなぐり捨て、我慢の限界を訴える有咲。しかし、上級生は眉を寄せ、
「……うーん……あのさ、無理そうなら別のトイレ行ってくれないかな。ちょっと今日、消毒とかもあるし」
 ね、と手を合わせ、最後の望みだった彼女もトイレの中へと入って行ってしまう。そうしてトイレの入り口に取り残された有咲だが――しかし、待望のトイレを目前にして、少女の身体が諦めきれるわけがなかった。我慢の限界などもう何十分も前に超えている。他のトイレまで回り道している余裕などないのだ。
「っ、あ、あっ、あ」
「ちょっと!? ねえ、いま、ここ使えないって――」
 いきなり中に入り込んできた下級生に、上級生たちがぎょっとする。
 みるみる色を変え始めているスカートを両手できつく握り締め、ふらふらとトイレの中に踏み込んできた有咲の足元に、激しい水音と共に水流が飛び散り出したのだ。
「あ、あっあ、っあぁっ」

 じゅうぅう、じゅじゅじゅじゅぅっ、
 ばちゃばちゃばちゃっ、じょじゅじゅううううっ……

「きゃあ!?」
「っ、ちょっと何やってんのあんたっ!?」
「っだ、あ、と、トイレ、お、っ、オシッコっ……」
 目の前の個室のドアに飛びつきながらも、有咲の下半身は本格的な排泄を始めていた。張り付いた下着が響かせる水音に呆然となり、ドアノブを握り締めたまま、その場に中腰になった有咲は、下着を下げることもスカートをたくし上げることもできず、トイレの床の上にオシッコを始めてしまう。
 湯気を立てそうに熱い恥水は、溜めに溜め込まれていた勢いのまま、ホースで水を撒くように激しく足元に飛び散り、床のタイルに大きく拡がっていった。
「あ、あっ、あ、あっ」
 力なく、ドアノブを握る有咲の腕ががちゃがちゃと鍵を擦る。
 あと数分でも早ければ、きちんと然るべき場所で処分されていたはずのオシッコは、トイレではない場所に激しく撒き散らされる。スカートをプリーツが分からないほどにぐっしょりと染みさせ、脚を伝ってソックスを水浸しに、上履きの中に弾って溢れ落ちるオシッコは、なお勢いを弱めない。
 ひくひくと収縮する排泄孔からは、感じたこともないほどの快感が少女の背筋を這い上がる。軽く力を篭めるだけで、ぶじゅぅっ、と猛烈な飛沫が下着にぶつかり有咲の腰を包み込む暖かさがじんわりと少女の意識を蕩かせてゆく。
「あ、っ、あ、あっ、あーっ……」
 異様な緊張感から一転、解放への落差は少女を忘我の域に押し上げていた。左右に揺すられていた腰がびくんと跳ね上がり、弛緩する下半身と共にゆっくりと下に落ちてゆく。しゃがみ込んでしまった有咲の足元でますます激しく噴出したオシッコは下着を通過してひとまとまりに地面にぶつかり、じょぼぼぼぉぉ、とまるで男の子のオシッコにも近い派手な水音を響かせる。
 我慢を強いられていた分色も濃く、女の子の強い匂いをさせる液体は留まるところを知らずに床を滑り、トイレの半分近くを汚しながら隅の排水口へと流れてゆく。
「はぁあ……ぁあぅ……、んぅっ……」
 耐えに耐え続けた排泄の解放感は、有咲に我を忘れさせるほどに甘美だった。それがたとえオモラシという最悪の結果だったとしても、放出の快感が少女の腰をふわりと浮かせるような陶酔をもたらし、蛇口の壊れたような排泄の勢いをさらに加速させる。
 スカートの下、張り付いた下着をたっぷり自分のオシッコで、剥こうが透けるほどにびしょびしょに濡らしながら、大切な場所はぷくりと膨らんで、熱い飛沫をクジラの潮吹きのようにぶじゅう、と何度も何度も吹き上げる。
 いつしか排泄孔はジンジンとむず痒くも甘く痺れ、あれだけ硬く締め付けられていたのが嘘のようにすっかり緩みきっている。細い孔から吹き出す水流は全身を熱くさせ、ここがトイレではないこともいまや有咲の頭からは抜け落ちてしまっていた。
 あまりにも下品な音を響かせ、琥珀色の水たまりのうえに深く腰を落とし。みんなが使う女子トイレの床一面をひとりで使いきって、有咲はオシッコを続ける。
 目の前で盛大すぎるほど盛大ににオモラシを続ける少女を取り囲みながら、動けない上級生たちも、まるで夢の向こうのように現実味がない。
「はぁあああ……」
 激しくのたうつ水流は、女子トイレに有咲の匂いをたっぷりと立ち込めさせる。蛇口につながれたホースの水ではなく、有咲のオシッコが、掃除されるはずのトイレの床一面をどうしようもないくらいに黄色く汚していた。


 (初出:書き下ろし)
[ 2009/11/23 12:17 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
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