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長靴いっぱいの話。 


 どんより澱む暗い空。
 もう一週間も降り続く雨は、今日も止む気配がない。誰もが傘を差して行き交う灰色の雑踏の中、水色の長靴がアスファルトの上の水溜りをぱちゃりと跳ねさせる。
 長靴とお揃いの水色の傘の下、手に提げた鞄をかたかたと揺らして、紺野梓は駅前の通学路を足早に駆け抜けてゆく。

「うぅ……っ」

 6月の曇天にも負けない鮮やかな雨傘の下では、汗を吸った前髪が額に張り付き、眼鏡がぼんやりと曇っている。

(はやく、はやくっ……)

 頬は赤く、息は荒く。
 次第に強まり始めた雨足をものともせず弾くお気に入りの傘の下で、しかし少女の口元は緊張に強張り、小さく呪文のようにそんなつぶやきを繰り返していた。
 かち、かち。
 急いでいた少女の行く手を遮るように、交差点の信号が点滅し、赤へと変わる。

「…………っ」

 横断歩道の手前で足を止め、うらみがましいような視線で車道の六つ目信号を見上げる梓。そんな彼女の前を、2車線の道路いっぱいに車が走り始める。
 出かけるのも億劫になりそうな空模様のせいか、車道に溢れんばかりの乗用車で、交差点はいつもよりも混雑しているようだった。

(はやく……っ!!)

 横断歩道の前でも、梓は落ち着かないように小さく足踏みを繰り返していた。長靴の爪先が交互にアスファルトに擦りつけられ、揺れる身体に合わせて、水色の傘も左右に振れる。
 切羽詰った“とある事情”から、焦る気持ちを抑えきれずにいる梓は、手提げ鞄の持ち手をきつく握り締めたまま、車道から一時も視線を切らぬように、信号を凝視していた。

(はやく、はやくしてよ……!!)

 まるで陸上の選手のように、信号が変わったらすぐにでも走りださんばかり。
 そんな風に余裕のない梓の左右に、やがて傘を手に買い物帰りの主婦や、背広姿のサラリーマンが信号待ちに並びはじめた。
 駅前の大通りにつながる交差点は交通量も多く、信号が長いことでも有名だが、こんな天気の中で近くの歩道橋まで迂回するのを面倒に思う人達は、皆ここを利用しているらしかった。
 ふらふらと左右に傾く水色の傘の下、鞄を握る手をスカートの前にぎゅとくっつけて、やけに焦っている様子の少女を、人々は不思議そうに一瞥していく。

(……あ、っ、あ、あっ)

 不意に、傾いていた水色の傘がビクン、と跳ねた。
 撥水性の高い布地が雫を払い、飛沫が飛んだ先の隣にいた主婦や大学生が、迷惑そうに梓の方を見る。

(いや……っ、だめ、だめっ……!!)

 しかし、当の梓はそれどころではなかった。
 指先が白くなるほどに傘の柄をきつく握り締め、顔を蒼白にして、梓は身体を前かがみに、中腰になって、鞄を握る手の甲を、スカートの付け根のあたりに押し付ける。
 制服のスカートの下で膝がきつく閉じ合わされ、内股になった爪先が交互に地面から持ち上がる、すりすりと擦り合わされる太腿の付け根にある乙女の貯水池では、今まさに必死の攻防戦が繰り広げられていた。

(だ、めっ、ぁ、あぁ、いやぁ……、っ、で、出ちゃう、っ……!!)

 体育の後に飲んでしまった冷たい水。本日の給食に出たスープと、お休みだったクラスメイトの分までお代わりしてしまった牛乳2本。
 今日一日の間に少女の身体が摂取したたっぷりの水分は、健康な少女の身体を存分に巡り、いまや下腹部をはちきれさせんばかりの熱い液体となって一か所に集まっていたのだった。

(トイレ、トイレ……オシッコ、オシッコ出ちゃう……!!)

 昼休みを越える長い雌伏の時を超え、5時間目の最中に一気に攻勢に転じた尿意は、時間と共にその勢力を増し、いまやその勢いは最高潮に達しいている。帰りの会の間中、梓は周りに気付かれないようにぎゅうぎゅうとスカートの中に手を押し込んで、腰を小刻みに震わせていた。
 学校が終わると同時に全速力で向かったトイレは、なんと都合の悪いことに修理中。そのあおりを食って他のトイレまで混雑の最中にあり、梓は辛抱しきれずに校門を飛びだしていた。
 別に家まで我慢するつもりだったわけではない。帰り道の途中にはコンビニがあり、そこでトイレを借りるつもりだったのだ。校則では寄り道は禁止されていたが、まさに人生をかけた緊急事態、そんな事を言っている場合ではなかった。
 しかし――ほんの5分も走れば間に合うはずのコンビニが、恐ろしく遠い。生憎の雨の中、片方の手は傘、もう片方の手は通学用の手提げ鞄で塞がって、梓は今にも限界を迎えそうな乙女の貯水池を、両脚を擦り合わせることだけで耐え抜かねばならなかったのだ。

(ううっ……ガマン、ガマンするの……っ、あとちょっとで、トイレなんだから……っ!!)

 石のように硬く張り詰めた下腹部は、じんじんと鈍く痛むほどに痺れ、両手は今すぐにでも鞄と傘を放り出して、崩壊寸前のダムの出口に蓋をする応援に向かいたがっている。
 制服のスカートの上から、ぎゅうっと直接、脚の付け根を押さえることさえできれば、押し寄せる尿意の波にも問題なく耐えきることができるだろう。
 しかし、大事な鞄と傘を手放すわけにもいかず、梓はもどかしくも必死に膝を重ね合わせ、恥ずかしい液体が溢れそうになるのを押し止め、腰を揺するしかなかったのだ。
 深くさした傘の下、梓の表情は幸いにも周囲から隠れてはいたものの、不自然なまでに身体を捩り、脚を交差させてはもじもじと腰をよじる少女の姿は、信号待ちの人々の中にあっても殊更に目を引いた。

「あ……っ!」

 ふいに、梓は小さく声をあげ、ぷるぷると肩を震わせた。
 ギュッと目をつぶり、顔を俯かせて、長靴の爪先をもう片方の爪先で踏み付ける。そのまま膝を揃えてぐりぐりと左右にねじり、身体を浅く前に倒してゆく。
 は、は、と断続的な吐息が、食いしばられた可愛らしい唇と共に、ぎゅっと止まる。きつく目をつぶり、危険水域を越えた乙女のダムの一番脆い部分へと殺到する尿意を、少女は強引にねじ伏せようとする。

「~~~……っっ……!!」

 同時に、激しさを増した雨が、傘を激しく打った。
 雨雫は水色の布地を伝ってぱちゃぱちゃと水滴を滴らせ、アスファルトの上に飛び散る。梅雨冷えの寒さが、スカートの裾から這い寄るように忍び寄り、流水音との相乗効果で、少女の尿意をいっそうかきたてる。

(あ、あっ、だめ、だめ……っ)

 じわ、じゅぅ、じゅっ…… 

 こわばる下腹部の、懸命の抵抗にもかかわらず、下着の内側から、じわっと熱いものが滲みだした。きゅぅん、と疼く飾り気のない下着の奥、脚の付け根に甘い痺れが走る。
 雨音とは違う、身体の内側からかすかに響く水音が、梓を戦慄させた。

(いやぁあああ……っ!!)

 ダメなのに、我慢しなければいけないのに、身体は言うことを聞いてくれない。
 抜群の撥水性で雨を防ぐおニューの傘の下にあってなお、少女の下着の股布部分にじわりじわりと染みが広がり、脚の間をつうっ、と雫が滑り落ちてゆく。
 激しいほどの雨音が聞こえなくなり、視界までも白く染まる。押し寄せる猛烈な尿意の波を前に、梓はただ、身を硬くして荒れ狂う尿意が収まるのを待つことしかできなかった。

「…………ぁ、っ」

 ……それは、梓には永遠にも感じられる長さだったが、実際にはほんの十秒ほどのの出来事だった。
 ついに貯水量を超えて溢れだした恥ずかしい液体は、幾筋かに分かれながら、少女の内腿や膝裏を伝って、ソックスへと吸い込まれてゆく。
 じん、じん、となおも激しく痺れる膀胱が、がくがくと震えだした梓の身体の中に納まりきらない水分を、無理矢理に排出し始めてしまう。

(オシッコ、オシッコおしっこっ、トイレ、トイレっはやくトイレ……!!)

 焦れる心とは裏腹に、まだ信号は変わらない。
 通り過ぎる車の群れをにらみながら、梓はとうとう、ぱしゃぱしゃと足元を踏み鳴らしながら、その場に足踏みを始めてしまう。じっとしているだけで限界を迎えそうな下腹部から少しでも気を紛らわせようと身悶えし始めた少女に驚き、信号待ちの雑踏がざわつき始める。

(が、がまん、ガマンしなきゃダメ……っ、こんなところでオモラシなんか、絶っっ対だめ……!!)

 横断歩道の一番前に立って、硬い表情で歯を食いしばり、道路の向こう側を凝視し続けながら、激しく足踏みを繰り返す梓から、周囲の人々は困惑半分、警戒半分で少し距離を置きはじめていた。

「んっ、んぁ、っ、ぁっ」

 舌足らずな声が、幼い喘ぎ声を伴い震える。

(と、トイレ、はやくトイレ、はやくオシッコ、オシッコしたいぃ…、はやくぅうっ!!)

 水色の傘の下、もはや小さなお腹をぱんぱんに膨らませる尿意に支配され、オシッコ我慢でいっぱいいっぱいの梓は、自分が注目を浴びていることにも気付けない。
 緊張の中、決定的な事態には至らぬまま、さらに数十秒が過ぎ――
 ようやく車道の信号が、右折優先から再度、黄色に切り替わる。

「あ……!!」

 ようやく見えた解放への兆し。思わず声を上げた梓は、そのままさらにぐりぐりっと身体をねじりはじめてしまう。よじられた腰と共に傘が振り回され、さらに信号待ちの人々が不機嫌に眉をひそめた。

(あとちょっと、あとすこし…っ、あ、あと十秒っ、9、8、7……)

 この信号で足止めを食らって、たっぷり2分以上。梓の限界ぎりぎりでの我慢は続いていた。限界ぎりぎりの状態でさらに上積みされた我慢は、すでに崩壊までの時間を刻むカウントダウンも同然となっている。

(ろく、ご、よんっ、さんっ……)

 少し気の早いカウントと共に、車道の信号は赤になる。
 梓の意識はすでに横断歩道へと飛び出していた。交差点を渡り、さらに200mほど先に行ったコンビニを目指して、曇天の下を走りぬけてゆく。

(に、いちっ、ぜろ――!!)

 フライング気味にゼロを刻んだカウントの中、梓ははやる気持ちのままに一歩を踏み出そうとし――
 それが、引き金になった。
 ぱしゃん、と横断歩道の前に大きく一歩を刻んだ長靴が、地面に着くと同時。

「あっ、あ、あっ、ま、……だ、だめ、っ……ぇ!!」

 まるで石のように少女の身体が硬直し、ちいさな唇はぱくぱくと、酸素を求めるように開閉しはじめた。

「ぁ、あっ、あっ……あーっ!?」

 水色の傘がぐらりと揺れ、梓の小柄な身体はぶるっぶるっと力強く波打つゆに震える。
 同時、じゅぅうう、と力強い水流が柔らかい布に押し当てられるような音が響いた。

「ぁ、っあ、だめ、だめ、ぁ、あぁ、ぁぁ!?」

 意味のない途切れ途切れの叫びをあげながら、梓はついに鞄をその場に取り落としてしまう。地面に落ちて横倒しになる通学鞄は、降り注ぐ雨の下、あっという間に水を吸い、その色を変えてゆく。
 それと同時。横断歩道の真ん前で突っ立ってしまった梓の脚を、激しい水流が伝い始めた。

 じゅじゅじゅぅう、じゅぅうううううっ、
 じゅわぁああああっ、じゅぉあおおおおお……

「ぁ……ぁ……ぁあ……っ」

 梅雨の寒空の下、まるでホカホカと湯気を立てんばかりに、梓の下腹部の貯水池から、恥ずかしい液体が堰を切って溢れだした。太腿の内側を伝うように、のたうつ水流が白い肌をひと筋、ふた筋と流れたかと思うと、滝のように激しく滴り落ち始める。
 トイレを前に、往来のど真ん中で始まってしまったオモラシは、じょわぁああとみっともない音を響かせながら、瞬く間に制服のスカートを浸食し、濡れぼそった布地は少女の太腿に張り付いてゆく。

「ぁ、あっ、あ……ぁー……っ」

 我慢の甲斐も虚しく、決壊してしまったダムを必死に押さえ込もうと、梓は傘の柄にしがみつく様に、懸命に腰を揺する。しかしそんな努力をあざ笑うかのように、少女の股間から噴出するオシッコは、ばちゃばちゃと激しい勢いで飛び散ってゆく。
 雨を防ぐ傘の下、水色の長靴の足元へと叩きつけられてゆく水流は、下着越しとは思えない量と勢いを秘めていた。
 梓の脚を滝のように伝いながら流れ落ちるオシッコは、そのまま、梓の足元――水色の長靴の中へと注ぎ込まれてゆく。
 とどまるところのない勢いで噴出すオシッコは、じゅごおぉ……と音を響かせながら、梓のお気に入りの長靴の中に溜まっていった。みるみるうちに長靴の中はオシッコで満たされ、梓の冷えた脚元はホカホカと湯気を立てんばかりに薄黄色の恥ずかしい液体に浸かってゆく。

「っ……いやぁ……っ!!?」

 まるで、長靴いっぱいにオシッコを汲んでいるような状態。
 あっという間に左右の長靴は、梓のオモラシした恥ずかしいオシッコでで一杯となり、そのま縁からあふれ落ちて、薄黄色の色合いを地面へと広げてゆく。
 漏らしてしまったオシッコで、長靴をいっぱいにしてしまう――あまりにも想定外の事態にパニックに陥った梓は、走り出そうとした瞬間、足元をふらつかせて大きくばちゃあっ、と長靴からオシッコを溢れさせてしまった。
 すぐさま梓の長靴の中にはじゅごぉおおお……とオシッコが追加され、白く湯気を上げながら、再度長靴の中をいっぱいにしていた。
 どれだけ我慢していればこんな有様になるのだろうか。小さな身体で梓が必死に我慢していた恥ずかしい液体は、まだおさまる様子を見せなかった。
 アスファルトを滑り広がる少女のオシッコから、慌てて周囲の人々が離れる。青信号の中、向こうから横断歩道を渡ってきた通行人たちも、雨の路上でオシッコを漏らしている少女を見、流石に表情を変えていた。

「…………だめぇ……と、トイレ、までっ、……ダメなのに……っ」

 とうとう深くしゃがみ込んでしまった梓の脚元、なおも吹き出し続けるオシッコは制服を台無しにして飛沫を飛ばし、下半身をずぶ濡れにしながら続く。
 トイレで済ませることができなかった少女のオモラシは、びしょびしょに濡れたスカートからも滴り、ぱちゃぱちゃと濡れた地面へ勢いよく撒き散らされていた。

 じゅじゅっ、じゅぅぅ……じょぽぽぽ……

 遠巻きに見守る見物人の輪の中。いつしか横断歩道の信号が変わり、車道に再び車が溢れても、梓のオモラシはまだ続いていた。
 長い長い放出を経て、さすがにいくぶん弱まり出したオシッコはしかし、まだおさまらない様子で断続的に音を響かせながら、梓の脚元のアスファルトに出続けて、曇天の下、雨に濡れる地面に混じり、どこまでもどこまでも広がってゆくのだった。


 (初出:書き下ろし)
[ 2010/06/24 23:56 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
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