FC2ブログ



スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

路地裏のお話。 


(ヤバい……)
 もう12月にもなろうというのに、汗が首筋を伝う。
 朝が寒かったのでいつもより厚着をしてきたのも良くなかった。コートならぱっと脱ぐこともできるが、タイツはそうもいかず、汗ばんだつま先が靴の中で気持ち悪い。
 気ばかりが焦るものの、思うように歩みは捗らず、行く先はまだ遠い。
 余裕はもう残されておらず、有り体に言って危機的状態、ピンチであった。
 そもそも乙女の慎みとして、こんな事態に陥らないように常日頃から努めておくのは当然であろう。映画みたいなピンチからの一発逆転よりも、そんなピンチを招かないように、普段から気を付けておくことのほうが現実ではよっぽど大切なのだ。
 それを怠ったのだから、文句は言えない。でも、そう気付けるのは大抵は切羽詰まってからのことであり、後悔したって後の祭りなわけで。
 まあ何が言いたいかと言うと、要するに。

 私――佐々木春香は、今とても、オシッコがしたい。

(うぅ……)
 トイレ。比喩抜きで、女の子にとっての人生の重要課題の一つだ。男性諸氏には思いもよらないことだろうけれど、どんな場所でもぱぱっと済ませてしまえる男の子とは違って、女の子にとってのオシッコのお手洗いというのはとても大切で重要で、なによりも必須のものである。
 考えてみて欲しい。トイレの無い場所で丸一日、24時間を過ごさねばならないと言われた時、楽なのは男女のどちらか?
 男の子がそこいらで立ってオシッコを済ますのは、『まあ仕方ない』『そういうもの』として受け入れられるのに、たとえ切迫した事情があったとしても女の子がそんな事をするなんて『はしたない』『みっともない』『恥ずかしい』『あり得ない』のだ。
 そして今まさに、私はその危機的状況にある。
 脚の付け根は痺れるように疼き、尿意からの解放を急かしてくる。一秒ごとに増してくる下腹部の重みを堪えながら、そっと周囲を窺う。
 ひとけの少ない住宅街とは言っても、街中に私の求めているものがあるはずもない。このあたりには公園も学校もコンビニも見つからない。あるいは私が見落としているだけなのかもしれないけれど、そのために来た道を戻って探し回るような時間の余裕はない。
 一刻も早くトイレを見つけて、そこで緊急を要する用を済ませなければならないのに――そのための場所はどこにも見当たらないのだ。
(んっ……)
 ぶるる、と身体が繰り返し限界を訴える。意識せずに震えだす下半身は、2時間ドラマのラスト15分で崖の上に追い詰められた犯人みたいな状況だ。
 少しでも早くこの住宅街を抜けて、コンビニか何かのある大通りに出ないと――本当に間に合わなくなってしまう。
 とは言えここは天下の往来。あまりみっともない格好は出来ない。本当ならもう、両手でぎゅうっと脚の付け根を押さえる『ママ、オシッコ!!』の格好をしてしまいたいくらいなのだ。
 不自然な内股と小さな歩幅でひょこひょこと歩く私の格好は、相当みっともない格好になっていることは疑うべくもなく。せわしなくかかとを踏み鳴らしてしまう足は、意識せずとも人目につかない薄暗い路地裏のほうへと向いてしまうのだった。
(…………えっと)
 そんな具合だから、『その場所』が目に入ったのもただの偶然でしかなかった。車が一台通れるくらいの細い道の傍ら、区画整備の不具合で出来た、家と家の間のちょっとした隙間。陽の指さない行き止まりの路地だった。
 奥行きはざっと5メートル。今は半分ゴミ収集場のような感じでに使われているらしい。ネットを被ったゴミバケツの陰には、汚れたビールのケースのようなものも積まれており、ちょうど通りからの視線を塞ぐ遮蔽ができている。
 身体を屈めてしゃがみ込めば十分に、周りから見えなくなるだろう。
 都合良く左右の家にも窓は見当たらない。ほんの数分くらいなら、よっぽど運が悪くなければ誰も通りがからないだろう事は明らかだった。まして、こんな路地裏の隅っこをいちいち覗きこむようなことはまず絶対にしないだろう。普段なら気にも留めず通り過ぎていたに違いない。
 まさに、今の私にとって、そのための準備されたようなおあつらえ向きの場所だった。
 我知らずのうちに、手がスカートの前をぎゅっと押さえる。
「………はっ!?」
 じゃり、と。ごくごく自然な動作で、踏みだした脚が一歩前へと進んでいた。
 何のためらいもなくそちらへと向かおうとしていた自分に気付いて、私は慌てて首を振る。かあっと頬が熱くなるのが分かった。
 この、人気もなく静かでひっそりとした、落ち着いてしゃがみ込むのに最適な物陰で、いったい私は『ナニ』をしようとしていたのか。
(……、いや、いやいやいや。待て、落ちつけ私。……いくらなんでもこんなトコでってのはマズイでしょ。乙女としてさぁ。……うん、ない。……ないない。ありえないって!!)
 動揺した頭がぐるぐると意味のない否定の言葉を繰り返す。
 が、その一方で、『ありえない』と打ち消したその思考に従って立ち去ってしまうべき足は、地面に張り付いたまま動かなかった。
(だ、だって、ここって、普通の路地じゃない。ねえ? ……ほら、確かに誰も見てないし、気付かないだろうけど……こんなトコでなんて……女の子としてちょっと終わってるよねえ。まだ、その、もう少しも我慢できないってわけじゃ……ないんだし。第一、紙とかも無いじゃない? ……いや、ティッシュだっても、持ってるけどさ……それはほら、もっと別のところで困った時のための用意だし……)
 いざ意識し出すと、もうそこを『そのための場所』として見てしまうことは止められなかった。一度トイレを目の前にしてしまえば、もう我慢がきかないものなのだ。女の子ってやつは。
 止めたはずの小さな足踏みが再開する。腰をよじってしまいながら、私はその路地裏の中を何度も何度も路地裏の中を確認してしまう。
 無論のこと、だれの視線もない。
 つまり――誰にも見られることなんか、ない。
(そ、そもそも我慢できるとかできないとかそういう問題じゃなくてっ、ちゃんと、とっ、トイレまで、が、我慢しなきゃだめなんだって話で……!! こ、こんな、トコじゃ……だ、誰かに見られちゃうかも、だし……じゃなくて!! 見られるとかいう以前に、ここで、お、オシッコ、しちゃう……なんてのが、絶対にナイって……!!)
 きゅん、と下腹部がイケナイ疼きをあげる。
 幼稚園の子みたいに、我慢がきかなくなっていた。ぎゅっと唇を噛み、踏みとどまろうとするのに――むしろ身体はその正反対に、オシッコの準備を始めてしまう。
 私の身体は、小さな路地裏をトイレと同じ『オシッコを出来る場所』として認識してしまっていた。ただそこに立っているだけで尿意はちりちりと脚の付け根に集まり、鉄壁に保っているつもりだった我慢の心は脆くひび割れてゆく。
 今すぐに、ここに下着を下ろしてしゃがみ込んでしまいたい。
(ち、違うでしょ。ほら!! ば、馬鹿な事考えてないで、ちゃんと、トイレ……探さなきゃ……!!)
 乙女の理性を奮い立たせようと叱咤するが、羞恥心すらもう正常な働きを放棄していた。ずっしりと下腹部にのしかかる重さが、私の足をここに縛り付けているかのようだった。
(っ……だ、だから、ダメだってば……)
 もちろん、ここは本来女の子がおしっこを許される場所ではない。そんな事は分かっている。でも、ここには誰にも気付かれずにこっそりとトイレを済ますための条件は十分以上に揃っているのだ。
 このままいつ見つかるとも知れないトイレを探しだす苦労を思えば、この誘惑はあまりにも抗いがたい。

(……オシッコ……っ)

 例えば、あの、大きなポリバケツ。
(えっと……ちゃんとしていて中がヒビ割れたりしてなきゃ、こぼれないで中に溜まってくれるよね……。蓋すれば、匂いも分からなくなるし……さすがに大きさは十分――というか、いくらなんでもあのバケツ一杯になるくらいたくさんオシッコは出ないって。確かに相当我慢しているから結構な量かもしれないけど……)
 例えば、その隣の、くしゃくしゃの新聞紙。
(紙なんだし、少しくらい水を吸収してくれる、よね? でも、スポンジじゃないんだしやっぱりびちゃびちゃになるかも……それに記事の写真……この前のチャリティコンサートの記事じゃん……うぅ、写真だけど、あそこにオシッコって……やだなあ)
 例えば、横倒しになって転がる空のビール瓶。
(……多分、ずっとここにほったらかしだし、雨とかが溜まったんだって思ってくれるかも……。でも、あんなちっちゃい瓶の口……上手く、オシッコを入るかな……そ、それに、んっ、あ、あの中に全部……入るかな……? も、もしたくさんオシッコ出し過ぎて、外に溢れちゃったりしたら……)
 例えば、丸めてネットに絡み付いたビニールのゴミ袋。
(ん、っと……た、確か、小学校の遠足の時に使った携帯トイレみたいにすれば良いから、何とかなるかも……ああ、でもあのゴミ袋、たぶん穴とか空いてるよね……それに、終わった後も……ここ置いといたら、中身が透けて見えちゃうかも……)
 ゴミ捨て場に転がる何もかもが、オシッコをするための器具に見えてしまう。どうすれば一番オシッコが気付かれないだろう、と想像することをやめられなかった。
 ここは本来、女の子がそんなことをしていい場所じゃないはずなのに。
(や、やっぱり一番よさそうなのはあのバケツ……かなあ。でも、あのバケツにするって、その、跨ぐか、脚を広げて――その、男の子みたいに立ったままオシッコ? うぅ、そんなのやっぱり恥ずかしい……っ)
 どうすれば、ここで一番うまく、オシッコができるか――そもそもそんな事に考えを巡らせる事自体が異常なのだということは、もう思い付けもしないまま。
 わたしは足踏みを続け、足を擦り合わせながら、路地裏でのオシッコの方法を思案し続けるのだった。




 (初出:書き下ろし)
[ 2012/11/25 12:45 ] 小ネタ | トラックバック(-) | コメント(-)

喫茶店のバイトのお話。 


 駅前の繁華街から通りを二つ離れた雑居ビルの1階、軽食喫茶『エポック』のカウンター。肩下の髪を地味なゴムで左右に括った少女が、かつてない危機に陥っていた。
 化粧気の薄い、幼い容貌を切羽詰まった焦燥と苦痛に歪め、律歌は荒い息を必死にこらえながら、スカートから覗く太腿を頻りに擦り合わせ続けている。
 右手は硬くカウンターの端を掴み、左手は店のロゴを記したクリーム色のエプロン越しに、スカートの前をはしたなく握りしめていた。
「んぁぅ……ッ」
 カウンター席に体重を預けるように上半身を傾け、律歌の腰は小さく、しかし激しく上下左右にくねる。ぴったりと寄せ合わされた太腿はすりすりと擦り合わされ、感応的な腰の動きをさらに強調していた。爪先立ちになった足元は一時も休まらずに床を叩き、こつこつと忙しないリズムを刻む。
(は、はやく、早く、おトイレぇ……っ!!)
 ぎゅうっと圧迫された脚の付け根、太腿の間に挟み込まれたエプロンは、ぴったりと少女の下腹部に押し付けられ、緩やかな孤を描いていた。休日の朝から夕方までの長期シフト、その中での6時間にも及ぶ我慢がもたらした猛烈な尿意は、少女の膀胱をぷくりと身体の外側にまでみっともなく膨らませていたのだ。
 破裂寸前の乙女のティーポットに注ぎ込まれた、羞恥のホットレモンティが、身動ぎごとにたぷんと揺れ動く。湧き起こる獰猛な尿意をなだめるため、エプロンを掴む手で下腹部を必死に撫でさすり、律歌はしきりに時計の針を見上げていた。
 現在4時15分。解放まで、あと15分。
(鷹野さん、杉原さんっ、まだ来てないの……? ……いつもなら、もうとっくに入ってる時間なのに……!! ぁああ……、お願い、早くぅ……ッ)
 救いを求めるようにスタッフルームを覗く律歌だが、次のシフトの二人はいまだやってくる気配がない。交代まであと13分。律歌は祈るように唇を噛む。
 今日も、律歌はバイトを休んだシフトの二人に変わり、急遽呼び出されて接客にあたっていた。当然のようにフロアには律歌一人しかおらず、調理担当の店員はフロアの事など気に掛けてくれない。普段の倍近い仕事を律歌は一人でまわさねばならなかった。トイレに行く暇などないままに。




 接客中はトイレ厳禁――そんな命令がチーフから出されたのは一週間前のことだ。
 もともと、『エポック』は店舗面積に対して座席の多い店だ。駅前にコンビニがないことから、トイレに寄る客も少なくない。しかし先日、シフトに入っていたアルバイトが一つしかないトイレ(男女兼用)を占領し、30分近くも他の人間が立ち入れないという事件が起きてしまった。
 彼女が体調を崩していたという事情はあったものの、トイレに入れない客が激怒し、チーフでは間に合わず急遽店長が呼び出されて謝罪するという騒ぎにまで発展したのだ。
 そして、以前から一部の不真面目なバイトがトイレに入ると称して長時間個室に居座りサボっていた事実も判明したのである。
 店長は激怒し、ただ地の書弾を下した。問題のあるバイト達を辞めさせ、残った者たちにも、シフト中の店舗のトイレ利用禁止を厳命したのである。
 あまりの横暴に、律歌達は当然抗議をした。バイト中のトイレ禁止、それは女の子たちにオシッコをするなと言っているのと同義である。それで店が成り立つわけがないと声を上げるバイトの少女達に、渋々折れたチーフと店長の交渉で、ビルの5階にある事務所の共同トイレを使っていいことになったのであった。
「ぅ、はぁ、ぁあ……っ」
 肺の中の空気を絞り出すようにして、律歌はエプロン越しに下腹部の強張りをきつく押さえつける。爪先立ちになった靴がぐりぐりと陽に焼けた絨毯に擦りつけられ、短めのスカートから覗く脚は休むことなく擦り合わされていた。
 はち切れんばかりの尿意は一時も緩むことなく少女を責め苛み、なお飽き足らず律歌に屈辱の姿を強いていた。
(だっだめっ……出ちゃう、オシッコ、オシッコ出ちゃうぅう……!! んぁ、あぁあっ、ぁ、だ、誰か、誰でも良いから、はっ早く、はやく来てぇぇえ……!!)
 エポックのあるビルは築40年のおんぼろで、エレベーターは呼んでもなかなかやって来ず、3階から上の階段は半分がた荷物置き場になるほどの足の踏み場がなく、おまけに照明も薄暗く狭い。防災上明らかな欠陥で、何度も指摘を受けていながらもオーナーはそれを放置しているという噂だ。
 5階のトイレと言うのもお世辞にも綺麗とは言えなかった。男女の区別のない共用で、事務所の人たちが頻りに出入りする上、思わず顔をしかめたくなるほど煙草の匂いが染みついている。年頃の少女達にとって入るのは躊躇われる場所だった。
 バイトの3分の1が辞め、新人も入っていない状態で新しく組まれたシフトではフロアの人数も最低限で、一人あたりのシフト時間も3割増となっている。バイトの中で最年少ながら経験もそれなりに長い律歌は、その中でももっとも混雑している時間帯を多く割り振られることになってしまった。
 要領の良い子ならフロア仕事の隙を見計らってこっそりと席を外し、手早くトイレを済ませてくることもできたのだろうが――一時的とはいえフロアを空っぽにするなど、律儀な律歌には、思いもよらない事であった。



「お、お待たせっ、しましたッ……」
 注文のオープンサンドとホットケーキ、ダージリンとアイスティ-をトレイに乗せ、律歌は必死に笑顔を作ってテーブルへと向かう。足元はふらふらとおぼつかず、トレイも小刻みに左右に揺れ続けている。
 ただならないバイト店員の様子に、4人掛けの席に座っていたサラリーマンと思しき二人連れが表情を変える。
 既にじっと立っていることもできないほど切羽詰まった律歌は、少しでも尿意を紛らわせようと我慢のステップを踏み続けているのだ。内股に寄せ合わされた腿は膝を激しく擦り合わせ、腰はみっともなく前後に揺れ動く。さらにもう我慢の効かないもう一方の手は、エプロンの上から股間を思い切り握り締めてしまっていた。
 飲食店のバイトには、許されない姿である。
「ぁ、はぁあ……っ、ご、ごちゅう、もんの、っ、あ、アイス、ティー、とっ」
 トレイの上、グラスの上のアイスティは地震にでも遭っているかのように激しく揺れ動き、水面を揺らしていた。ちゃぷんと跳ねた水滴が、トレイの上にぱたたっ、と散る。
 同時。
「っあ、あッ」
 律歌はぱくぱくと口を開け、反射的に股間を握り締める手に強烈な力を込めた。トレイが大きく傾き、ティーカップの中身が大きく溢れる。
 それでもなおはっきりと。乙女の脚の付け根のティーポットから、噴き出した水流がじゅじゅうっ、と下着にぶつかり広がる音は、静かな店内に聞こえてしまった。
(っ、ぁ、あ、いや、ぁああ……、出、出ちゃ、……!?)

 ぶじゅ、じゅ、っじじゅうじゅっじゅううっ。

 断続的に響く下品な水音。律歌の足元に、ぱぱっと水滴が散る。女の子の出口から溢れだした恥ずかしいオシッコが、下着やスカートをみるみる濡らし、押さえ込んだエプロンまで染み出してみるみる色を濃く変えていく。
「ぁ、あっあ、だ、っだめっ」
 がちゃん、ほとんど投げ出すように乱暴にトレイをテーブルの上に叩き付け、律歌は自由になった両手でエプロンの股間をきつく握り締めていた。身体を半分に折る様にして前屈みになり、外に出せと暴れ回るオシッコの居場所をなんとか確保しようと懸命に下腹部を揉みほぐす。
 少女が白い喉を喘がせ、細い指でぎゅうぎゅうと脚の付け根――女の子の大事な場所を懸命にを揉みしだく様を、客たちは呆気に取られて見つめていた。
「はぁあ……ぁう、あ、す、すみませっ、すぐお拭き、いた、し、……っ」
 失態に気付いて謝罪の声を絞り出した瞬間、律歌は脚の間にじゅううっと噴き出す熱い奔流を感じてしまう。握り締められた指の隙間、エプロンの染みがみるみる広がり、足元へ向かってその領域を拡大してゆく。
「んぁあ……っ」
 腰骨がじんと熱く痺れ、身体の底に穴が空いてしまったかのような喪失感がぶるりと少女を震わせた。背筋を貫く黄色い稲妻に、律歌は激しく腰を揺すり立て、扇情的なまでの喘ぎ声を喉から押し出した。
「っだ、ダメ……ぇ!!」
 強く息を繰り返し、ぎゅっと目をつぶって最後の抵抗を試みようとする律歌。
(出ないで、出ないで、出ちゃだめえぇえ……ッ!!)
 だがもはや願い空しく、少女の股間は断続的に響くじゅうぅうっ、とはしたない音を押さえ込めない。ひび割れた水門では、もはや乙女のダムの臨界水域を越えて蓄えられるオシッコの水圧に抗する事はできなかった。
 ぱしゃぱしゃと足元に注ぎたてのホットレモンティが迸り、陽に焼けた絨毯の上にまで一面に黄色い雫を広げてゆく。
 トイレ禁止の6時間で、丹念に抽出された乙女のホットレモンティの濃い匂いが、湯気を伴って立ち込める。
 取り返しのつかない事態をしてしまったことを、頭の隅で認識しながら――ぱちゃん、と自分の作りだした水たまりの上に座り込みながら、律歌の意識はゆっくりと閉じていった。




 (初出:書き下ろし)

[ 2012/11/24 12:18 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。