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両手に大荷物の話。 

 雨上がりの繁華街は、週末ということもあって人通りで混み合っていた。晩夏の空は相変わらず分厚い雲に覆われており、気温と共に湿度も上昇の一途を辿るばかり。
 またいつ崩れ出すとも分からない天候を気にして、道行く人々の足取りも忙しない。
「んっ、……ふぅ……っ」
 額にうっすらと汗をかき、志穂は小さく声を漏らす。サマーベストに白のブラウス、薄い緑のスカート。胸元のリボンと校章は、近所でも有名な某私立校の制服のものだ。
 息も荒く、雨に濡れた駅前を歩く少女の両手には、はち切れんばかりに中身を詰め込んだ紙袋が提げられていた。
(ぅ、……急がなきゃ……っ)
 近づいた文化祭のため、志穂のクラスでは休日返上で準備が進められている。志穂はそのため近くの駅まで買い出しにやってきたのだが、量販店に辿り着いたところで急な雨に降られ、荷物を抱えて戻る事も出来なくなっていたのである。
 都合の悪い事に携帯まで忘れ、学校や友人とも連絡が取れなくなっていた。雨がおさまるまで1時間以上も量販店に立ち往生する羽目になってしまった。
 はやる心を押さえ、今か今かと雨が止むのを待ち、なんとか量販店を飛び出したのはいいものの――両手の荷物は少女一人の手に余る重さで、抱えたままでは真っ直ぐ歩くのもやっとという状況だった。
(や、やっぱり、買い過ぎたかもっ……)
 革靴の底は濡れたアスファルトの上を不安定に滑り、ずしりと膨らんだ紙袋の重さに、肩が根元から抜けそうになる。持ち手は指に硬く食い込み、手のひらにも痛みと痺れが走る。
 荷物には装飾用の布地や画用紙、料理のレシピ本なども含まれ、万が一にも濡らしてしまう訳にはいかないものばかりだ。休憩をしようにも大雨に振られた地面は一面が水浸しで、どこにも荷物を下ろす場所がなかった。
「っ……ふ、ぁ、……んぅっ……」
 土砂降りに濡れたアスファルト、人混みの混雑、蒸し暑い気候、汗で不快に湿る背中、曇る眼鏡。悪条件がいくつも重なり、駅までの数百メートルの距離が、あまりにも遠く感じられる。抱えきれないほどの大荷物がさらにそれに拍車を掛けた。
 そして――
「んぁ……っ」
 ただでさえおぼつかない志穂の足取りをますます鈍らせるもの、それは――
(……だ、だめ、お……おしっこ、でちゃうっ……!!)
 下腹部を硬く張りつめさせるほどに、切羽詰まった尿意だった。





 多くの客が雨宿りに駆け込んできた量販店でのフロアで、志穂はやきもきしながら窓の外とにらめっこを続けていた。何度もフロアの時計を見上げ、一向に弱まる様子のない雨足を見上げては焦りをにじませ、溜息を繰り返す。
(もうこんな時間……どうしようっ……)
 量販店に足止めを食らってから早1時間が過ぎ、志穂は焦りと共にフロアの端を行き来する。足元には大きな紙袋が二つ、中身をぎっしりと詰め込んで鎮座している。
 本来なら1時間も前に学校に届けていなければならない大事な資材ばかりだ。遅れる事の連絡も出来ず、クラスは今頃志穂の帰りを今か今かと待ちわびているに違いなかった。
 何度後悔しても、忘れてきた携帯がどこから現われてくれるというような奇跡は起きなかった。ご多分に漏れず、連絡先のほとんどは携帯のアドレス帳の中で、志穂の頭の中には残っていない。焦る一方で連絡手段はなく、時間だけが刻々と過ぎてゆく。
 バスで駅まで行く事も考えはしたが、近くのバス停は屋根のない吹き晒しだった。たとえ傘を差していてもバスが来るまでに荷物がどうなるかは火を見るよりも明らかである。まして駅まで歩いていくなんて、まず考えられない。
「うぅ……」
 落ち着かない足元が、じっとしていられずに小刻みにステップを刻む。
 ――実のところ、この時から志穂の身体は少なからぬ尿意を覚えていた。志穂が落ち着かない理由のいくらかは下半身を間断なく襲うさざ波にあり、苛立ちの理由の何割かは、恥骨上のダムをちくちくと刺激するむず痒い感覚だったのだが――早く帰らなきゃと焦るあまり、志穂の頭の中からトイレに行くという考えはすっぽり抜け落ちていた。
(まだ止まないの……? やっぱり、無理にでも傘とか買って行った方がいいのかな……。でも、荷物濡れちゃうし……もうお金もそんなにないし……ああもう、いつまで降ってるのよぉっ!!)
 弱まる様子のない雨足を見上げながら、志穂はフロアの一角でじりじりと苛立ちを滲ませる。
 そうしている間にも、混雑の中で蒸し暑さを防ぐために強められた冷房の風は少女の身体を冷やしていった。冷風の直撃にぶるる、と背中を震わせ、生乾きの制服が気持ち悪く背中に張り付く。眉を寄せながら空を見上げる志穂が、暑さに耐えかねてついがぶ飲みしたペットボトルのお茶は、下腹部の一か所へと集まり続けていた。



 まんじりともせずに曇天の空を見上げ、なおも収まらない雨足に焦らされ続け、さらに30分余り。結局それから一度もトイレに行く事もなく、フロアをうろついていた志穂は、不意に途切れた雨の音に、弾かれたかのように量販店を飛び出していた。
 折しも志穂と同じように、急な土砂降りに閉じ込められていた客たちが一斉に帰途へと付き、繁華街は時ならぬ混雑を見せていたのである。
 そんな中、抱えているのがやっとという程の大荷物を手に、駆け出した志穂はすぐに後悔することになる。
(と、トイレ……行っておけばよかった……っ!!)
 逼迫した生理現象は、量販店を出た時既に急がなきゃ、という焦りを上回りつつあった。一つ目の横断歩道まで歩いた時点で込み上げる尿意は猛烈なものとなり、思わず摺り足の内股になってしまうほどだったのだから、信号が変わるまでの待ち時間の間、下腹部に押し寄せる尿意の波を堪えるのだけで精一杯だったのも仕方のない事だ。
 志穂は濡れたアスファルトの上、歩道をごった返す人混みの中で両手に荷物を抱え、途方にくれることになる。
 今からでもトイレに寄っていくべきだ、という選択肢は当然のように頭をかすめたが、量販店に戻るには再び横断歩道で信号待ちをしなければならなかった。同時に、既に1時間半以上も予定を遅れているという事実が、志穂の決断を鈍らせる。
 逡巡はさらなる迷いと焦りを生み、不用意な緊張がますます尿意を募らせるという悪循環。志穂の排泄欲求は坂を転げ落ちる雪玉のように膨れ上がってゆく。
 両手の荷物が、万が一にも汚すわけにもいかない大事なものであるという事が、志穂に無意識のうちにトイレから足を遠ざけさせていたのも事実である。
 腕をまっすぐ伸ばせば地面を引きずってしまいかねない大きな紙袋は、トイレの個室に持ち込むにはかさ張り、個室の床におく訳にもいかない。さりとて、用を足している間フロアのどこかにおきっぱなしにしておくなんて、以ての外であった。
 ――なんのことはない。志穂が尿意を自覚した時から、既に多くの逃げ道は塞がれていたのである。
「はんっ……ぁ……んっ、……ぅ」
 息も荒く、肩を上下させ、気持ちの悪い汗を首筋に感じながらも、志穂は人混みの中を懸命に歩く。繁華街の雑踏の隙間を、大きな荷物を抱えて通り抜けるのはそれだけで十分な重労働だが、今はそれに雨上がりという立地と、切羽詰まった尿意という条件が加わっている。
 排泄を求める下腹部は切実に限界を訴え、スカートの下で硬く張りつめた乙女のダムと、その秘められた水門を閉ざし続ける括約筋はもはや余力がない事を叫び続ける。
「っ、はぁぅ……っ…!?」
 繊細な乙女のティーポットに、新しい羞恥の熱水がこぽこぽと音を立て湧き起こり、オシッコの出口が高まる水圧にぷくりと膨らむ。
 恥骨からじいんと響くように伝わる尿意に、ぞくぞくと背中を震わせて、志穂はその場に立ちつくしてしまった。
 両手はずしりと重い紙袋に塞がれ、スカートの前を押さえるどころか、さりげなく下腹部を撫でさする事すらかなわなかった。押し寄せる怒涛の尿意を押さえ込むため、志穂ははあはあと息を荒げ、膝をきつく寄せ合わせ、内腿をすり合わせる。
 それでもぱんぱんに膨らんだ下腹部の欲求を和らげようと、腰はくねくねと左右に揺すられ、後ろに突き出された小ぶりのお尻がもじもじと震える。
(んぁ、っ、…で、ちゃうぅ……!!)
 脚の付け根、汗ばんだ下着の股布を恥ずかしい所に食い込ませながら、志穂は懸命に脚をくねらせた。酷使された括約筋はいまにも擦り切れんばかりに疲弊し、水門を内側から引っかく尿意の刺激に屈しそうになる。
 放水を塞ぐには頼りないおんなのこの水門は、支えるものがなければいつ崩壊してもおかしくなかった。今すぐ、両手で思い切り股間を握り締めてしまいたい。そんなはしたない欲求を覚えながら、志穂は口の中に浮かぶ唾を飲み込み、駅までの道を必死に急ぐ。

 じゅぅっ……

 しかし、そうして無理をすればするだけ、緊張に強張った下腹部からは熱い雫が漏れ出していた。太腿の付け根の隙間、たっぷりと水を吸った下着に、また新しく滲みだした熱い雫が、腿の内側を濡らし、つうっと脚を伝う。
 膝裏にまで滑り落ちる羞恥の雫の感覚に、志穂はがくがくと膝を震わせながら片方の足にもう一方の脚を擦りつけた。
(だ、だめっ、だめえ……っ)
 ただでさえ不安定な足元が、おぼつかない足取りのままふらふらと左右に揺れる。満足に我慢する事も出来ないまま、志穂は忙しなく爪先を踏みならし、膝を重ね、深く脚を交差させ、混雑する歩道の真ん中で、くねくねと羞恥のダンスを始めてしまう。
「んぁ……っ!!」
 ぶるぶると緊張し、硬く張りつめた少女の内腿に、再びじゅぅっと熱い雫が噴き上がった。

 しゅるるるっ、じゅぅう……

 今度は一瞬では終わらずに、水音は間断的に続き、くぐもった音を響かせる。同時に志穂の脚をいく筋もの水流が一気に伝い始めた。
「ふぁぁ……、っ、だ、だめ……っ」
 しかし、限界を迎えた乙女の秘所に、ただちに救援に向かわねばならないはずの左右の手は、重い荷物を支えるので精いっぱい。大事な大事な荷物を放り投げるわけにもいかず、深く引けた腰を小刻みに跳ねさせ、志穂は顔を赤くしながら、歩道の中央に立ち止まってしまう。
 もじもじと腰をよじり、繰り返させる足踏みに、濡れた道路の水たまりがぱちゃぱちゃと飛沫を跳ねさせた。

 そして――

 両手が自由にならないまま、硬直してしまった志穂の下腹部を、今日最大の尿意の波が襲う。
「ぁ、あ、ぁ、いや、ぁ……っ」
 志穂の喉が掠れた悲鳴を絞りだすのと、制服のスカートの奥で、じゅじゅじゅううぅっ!! と凄まじい水音が響いたのはほとんど同時だった。
 心持ち、引けていた腰のスカートの中央、志穂の脚の付け根の部分が、まるで水でも浴びせかけられたかのように一気に色を変えてゆく。
 薄い緑のスカートを色濃く染めるのは、少女の股間から噴き上がった羞恥の水流だった。
 猛烈な勢いで噴き出した羞恥の熱水が、下着を突き抜け一気に内側からスカートを直撃したのだ。楕円形に広がった染みは、そのままじゅうっと溢れんばかりの水気を滴らせ、足元へ向かってさらに広がり落ちる。
「ぁ……や、だめ、だめ、ぇ、だめぇえええ……っ」
 言う事を聞かずにオシッコを噴き上げてしまう下半身。困惑しながらも放水を堪えようと腰をくねらせる志穂だが、その動きは噴き出すオシッコを堰き止めるどころか、噴き上がる水流を強く刺激し、さらに激しくさせるばかりだった。
 羞恥と焦りに収縮する下腹部奥の水風船から、猛烈な勢いで絞り出された薄黄色の濁流は、清楚な少女のスカートを内側から濡らし、色濃く染めながらさらに激しい勢いで足元に噴きこぼれてゆく。
 そんな自分の姿を、志穂は荷物を抱えたまま、隠す事すらできずにいた。
「あ、ぁああ…っ、だめ、止まって、止まってぇ……!!」
 オシッコを押さえ込もうと、前屈みになって激しく身をよじる志穂。しかし一旦出口を破られた排水がそれで止まるはずもなかった。緩んだ水門からは耐えに耐え続けた熱水が激しく噴き上がり、下着を水浸しにしてなお弱まることなく噴き出し続ける。
 ようやく異常に気付いた周囲の雑踏が、志穂を取り巻くように距離を取り、人だかりを作ってゆく。大ぜいの輪の中に残され、志穂はもはや逃げる事も許されない。
 オシッコは下着の股布からおしりの方にも回り、こちらもスカートを色濃く染めてゆく。たっぷりとオシッコを吸って薄い布地はすっかり志穂の下半身に張り付いて、濡れ透けたその奥に艶めかしい少女の脚を浮かび上がらせていた。
 ばちゃばちゃと、スカートの内側に薄黄色い雫が噴き落ち、アスファルトの上に真新しい水たまりを広げてゆく。
 止まらない放水はなおも続いた。ずぶ濡れになってほとんど乾いた部分のなくなったスカートを、さらにたっぷりと濡らし、志穂の下半身はびしょ濡れの制服がずっしりと絡みつく。身体の奥から熱が抜け、じんじんと恥骨から背骨にかけてを途方もない解放感が伝わってゆく。
「ぁ……ぁ……」
 どさ、どしゃ。
 力の抜けた左右の手から、ずっと握り締めていた紙袋が地面に落ち、志穂自身が撒き散らしたオシッコの水たまりの中へと沈んでゆく。
 ゆっくりと空の雲が垂れこめ、ぽつりぽつり雨雫が降り始める中。
 志穂の足元にはなお、恥ずかしい水流が溢れ落ちる音が、ばちゃばちゃと響き続けていた。



 (初出:書き下ろし)
 
[ 2011/09/22 23:41 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
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