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お姉ちゃんが頑張る話。 

長年お蔵入りにしていた作品。とある閉鎖サイトの作品のストーリーの一部(「順子の羞恥日記」)をお借りし
そのまま自分なりのアレンジで書いてみた習作。
細かい描写はともかく起きる展開はほぼそのままなので公開していいものか迷っていたのですが
元のページが一切見れなくなって10年以上過ぎているのでとりあえず公開。




 新築のマンションが立ち並ぶ、首都圏のとある住宅街。
 大きな幹線道路に面したバス停には、子供を連れて通園バスを待つ大勢の主婦達に混じって、制服姿の少女の姿があった。
「もー。正樹、じっとしてなさい。もうすぐバス来るから」
「はーい」
 この春市内の高校に進学した井上美春は、歳の離れた弟の手を引き、主婦達の列に並ぶ。
「おはよう美春ちゃん。毎日大変ねぇ」
「ホントです。こいつももー少し落ち着いてくれれば手もかからないのに」
「頑張ってるものね、美晴ちゃん」
 弟が生まれてから離婚してしまった両親の間で、姉弟はそれなりに逞しく生きてきた。一応父親の元で暮らしてはいるが、家事のほとんどは美春の担当である。
 こうして歳の離れた正樹を連れて、私立の小学校行きのバスを待つのも、日課の一つであった。
「それにしても遅いわねぇ」
 隣のスーツ姿の女性が腕時計に視線を落とし、いらだたしげに薄化粧をした顔をちょっと歪める。
 覗きこんでみれば時間は朝の8時を少し回った所だった。
 いつもは時間きっかりに迎えに来る路線バスだが、今日はなぜか遅れているらしい。
 目の前の信号に並ぶ大型トラックがいらだたしげに空吹かしを繰り返していた。
「いやねえ、事故かなにかしら。こんなに混んじゃって」
「ですね」
 美春は隣の奥さんに頷きしながら爪先を立てて背伸びをする。びっしりと車で埋まった道路の隙間に目を凝らしても、白と緑の車体は影も形も見当たらない。
 高校の始業は8時45分。ここから自転車を飛ばせば10分と掛からないとは言え、美春の心にも少し焦りが産まれはじめていた。
「ねえお姉ちゃん、どうしてバスこないのお?」
 元気いっぱいの子供たちは、そろそろ我慢の限界を迎え始めているらしい。正樹もいい加減痺れを切らして、美春の制服の前のスソを上下に引っ張り駄々をこねだした。
「うーん。もうちょっとだと思うから待っててね。正樹」
「……んぅ? ……お姉ちゃん、どおしたの?」
「え!? べ、べつに何でもないわよっ。ほら、捕まってないで離してってば」
「うん」
 鋭い弟の指摘に内心ぎくりとしながらも、美春は平静を装って答える。
「……にしても遅いなぁ」
 爪先でとんとんと地面を叩き、きゅ、とスカートを押さえて。
 美春の額にはいつの間にかうっすらと汗がにじみはじめていた。

 


 学校が変わり、生活が変化したせいか美春は少し体調を崩していた。馴れない環境への疲れか、はたまた宿題か気晴らしの夜更かしのせいか、今朝は見事に寝坊をしてしまっていたのだ。
 昨日床についたのは夜中の2時。目が覚めたのは7時半過ぎで、父はとっくに出勤していた。美春はそれから超高速で朝食を作り着替えて支度をし、正樹を急かして家を飛び出した。
(こんなことならもっとゆっくりすればよかったなぁ……せめてトイレくらい行っておけばよかったよ……)
 父親の給料日ということで大好きなキムチ鍋などを夕飯に作ったせいか、寝る間際にジュースなんかをぱかぱか飲んでいたのが悔やまれる。黙って出ていってしまった父を少しだけ恨めしく想いながら、美春はそわそわとため息をついた。
 恐らく、父も疲れているであろう美張るをできるだけ寝かせてやろうと思ってくれたのかもしれないが、それは余計な心遣いと言うものである。
(そんなんだからママにも愛想尽かされちゃうんだぞ……)
 はぁ、と声にならない溜め息と共に、美春は再び渋滞の列に視線を戻す。
 できるだけ、身体の中に生じ始めた感覚を気にしないように。
(気のせい、気のせい)
 しかし、言い聞かせるたびにぞわりぞわりと込み上げてくる感覚は、一分一秒ごとに強さを増し、徐々に美春の下腹部を支配しつつあるのだった。
「ホントに遅いわねぇ……何やってるのかしら」
 スーツの女性が苛立ちをあらわに踵を踏み鳴らす。何人かの主婦達も今後の予定を控えているのだろう、バス停の周辺の空気は次第に不穏なものになりつつあった。
 長針はそろそろ8時20分を刻みつつある。
「ねー、まだ~?」
「もうちょっとだから、ね、我慢して」
 正樹に言い聞かせるように、美春はつぶやいてこっそりと足に体重を掛け直す。さわわ、と背中を駆け登る感覚を押さえ込むように、さりげなく膝を交叉させた。
 もう、これは気のせいでは済まない。
(あー、マズいかも。トイレ行きたいな……)
 はっきりと、トイレに行きたいと感じるほど美晴は本格的に尿意を覚え始めていた。
 先ほどから感じていた尿意は、すでにかなりのレベルまで少女の身体の中で膨らんでいる。それを意識すまいとすればするほど、下腹部に溜まった鈍い重みはその総量を増していく。
 しくんっ、と震える下腹部をなだめるようにそっと手を添える。わずかに膨らんだ感触は、軽く押しこむと弾力を持って跳ね返り、おなかのなかのとんでもない状況を知らせていた。
(ええと……今朝はトイレ行ってないし――昨日お風呂入る前も……え、ひょっとして……ごはんつくる前からずっと? ……ちょっとヤバいんじゃないそれって……ぁうっ)
 そう確認してしまうと、尿意は加速度的に増大を始めてゆくようだった。
 意識しないうちに腰が揺れ、爪先に力が入る。
 不自然な格好で我慢をしようとすればするほど、少女の身体を苦しめる尿意はその勢力を増し圧力を高めてゆく。
 暴れだした尿意の鈍痛は、徐々にその全貌をあらわにし始めていた。考えてみれば、寝る前に口をつけた2リットル入りのお茶のペットボトルには、まだ半分以上中身が残っていたはずなのだ。
 今にしてみれば、飲んでいる時なぜトイレにいきたくならなかったのかが不思議なくらいだ。
(うー……まだ、かなぁ……) 
 そわそわと落ち着きをなくし、尿意に苛立ち始めた美春はまた腕時計に目を落とす。8時20分を数分過ぎてもなお、バスの姿は見えなかった。通勤時間にしてはありえないほどの遅延である。
 周囲の主婦達の焦燥も、次第に形を取り始めている。
 そして、美春の我慢も次第に激しさを増しつつあった。
(……んぅっ…やば…ホントに、おしっこしたくなってきちゃった……
 どうしよ……トイレ、行って来ようかな。でも、バス来ちゃうと面倒だし……正樹放って置けないよね。……これ以上、待たせちゃうのも……ぁうっ)
 美春に要求される辛抱の度合いはとどまることを知らない。そろそろ外面を取り繕うのも難しくなってきた。
 意識をはじめてからわずか十数分。かなりの危険水域まで達し始めてきた尿意は大きな津波を作り、ざわざわと美春の膀胱で暴れ出す。
 きゅうんっ、と収縮した下腹部にあわせて、美春は息を詰まらせた。
(んん…っ……くぅ、…ぁうっ……)
 少女の全身を巡り、生命活動を営んだ結果の水分が抽出され、女の子の最も恥ずかしい場所に蓄えられてゆく。一晩掛けてじっくり煮詰められ、用意されたおしっこが美春の“お母さんのいない家でも平気なりっぱな優等生”の余裕を次々と奪い去る。
(くぅ……ぅ…ぁう…)
 尿意の波は収まらない。引いては返す排泄衝動はわずかの余裕すらも与えないまま、美春はだんだんと“おしっこなんかしたくありません”というポーズを取り続けることも辛くなってきた。
(や、やだぁっ……くぅんっ……なんで…こんな、急にぃ……っ……。さっきまでっ、全然…平気だったのに……)
 そう。いくらなんでもこんな短時間に美春の膀胱におしっこが溜まったわけではないのだ。
 美春は知る由もないことだが、美春の下腹部は彼女が起きる随分と前からこの危険な状況にあった。
 人間は睡眠中は起きているときに比べて尿意を覚えにくい。全身の筋肉は弛緩しているせいで普段よりも膀胱が拡張し、さらに足元ではなく背中に向けて重力がかかるために圧迫をも免れる。自律神経も緊張から解放されることで、我慢できる量は通常よりも遥かに多いものとなる。
 それほど尿意を感じなくとも、早朝の排尿の量が日中のものに比べて多いのもそのためだ。
 そして、夕食のときのちょっとだけお相伴に預かった父の晩酌のビール、辛いものを食べ過ぎたせいでの就寝前の2リットル近い過剰な水分摂取、昨晩の夕食の支度からから一度も行なっていない排泄、気候の変化によって汗をかかずに済んだことなど、様々な条件が重なった結果、美春の体内には実に普段の許容量の二倍を越えるおしっこが溜まっていた。
 これは彼女と同年代の少女の平均を遥かに上回るものであり、圧倒的な尿意を催すのに十分なものであった。美春の目覚めと共に活動を始めた自律神経は、1時間という時間を経てからおうやくそれを確認し始めたのである。
(で、ちゃううっ……)
 もはや、危険、どころの話ではない。
 美春はきつく膝を押し付け、不自然にならない程度に腰をかがめる。
 人目さえなければ、恥も外聞もなくしゃがみ込み思いっきり股間を握り締めていただろう。爆発的に高まる尿意と戦いながら美春は震える唇を噛み締めて耐える。
「…………?」
 先ほどから小刻みに震えだした美春の様子を、彼女の制服の袖を持ったまま正樹が不思議そうに見上げる。
「お姉ちゃん?」
「…………っ」
「お姉ちゃん? ねえ、どうしたの? ねえ?」
 返事がない事を不審に思い、正樹は美春の袖をくいくいと引っ張る。
 だが、ぎゅっと手を握り締め排出孔を打ち破ろうとするおしっこを必死に塞き止めている美春には、それに気付く余裕はなくなっていた。
「ねえ、お姉ちゃんってばっ!!」
 正樹は気付いて貰おうと、袖を握る手にさらに力を篭めてぐいぐいと乱暴に振り回した。
「……っ!! あっいっいやっ!! だっ、、だめぇえっ!!」
 たたらを踏んだ美春の股間に凄まじい衝撃が走る。
 どうにか安定を取り戻しかけていた膀胱が一気に収縮し、中にぱんぱんに詰まったおしっこを噴き出そうとする。美春はたまらずぎゅうっと両手で股間を押さえてしまった。
「ううっ……ぁっく…くうううっんん、んあああっ…!!」
「お姉ちゃんどうしたの? おなか痛いの?」
「くぅ……ま、正樹…っだめ……」
 下腹部を抑えたままよろけてつまずきそうになった体勢でなんとか踏み止まり、美春はスカートに爪を立てる。熱い吐息を唇の端からこぼしながら、美春はどうにかその衝撃をやり過ごした。
 限界まで張り詰めた括約筋は、皮一枚のところで収縮を繰り返し、崩壊の時を乗り切ったのだ。ほんのわずか、排泄孔に接する下着の股布にじんわりと染みが広がるが、美春にそれを感じる余裕はない。
「ま、正樹っ……も、もう少しだ……から、我慢……し…なさい……っ!!」
 正樹に言い聞かせると、美春はぎゅっとスカートの裾を掴んで足元に引っ張り下ろす。ローファーの爪先はピンと伸び、アスファルトの上で落ち着きなく揺れている。
 もう一刻の猶予もままならなくなってきた。少しでも力を抜いてしまえば、そのまま地面の上に誤魔化しようのない水たまりを作ってしまうだろう。
 羞恥に頬を染めながら、美春は浅く早く息を継いで、辺りに視線を向ける。
(ぁあ……どうしようっ、どうしようっ……おしっこ…でちゃう……っ、おしっこしたいよぉっ……)
 美春はきょろきょろと周囲を窺った。ここはマンションが多い区画ではあるが、200mほど先にはコンビニがある。もっともそんな場所まで尿意をこらえて走るくらいなら、自宅のマンションまでは20mだ。エレベーターを使う時間を考えてもまだ余裕がある。
 今すぐバスが到着し、正樹を送り出してからエレベーターに飛び乗り、自宅に戻ってトイレに駆け込む――そして待望のトイレに辿り着き、女の子が誰にも見せずに個室で行う行為の過程を思い描いて、美春ははぁぁ、と背筋を震わせる。
 トイレで、おしっこ。
 それだけの行為を、こんなにも心から待ち望んだ事はなかった。
「……く……ふ…っ」
(ぅぅ、はやく来て、よぉ……)
 けれど、それも全てバスが来てからのことだ。今はただ、美春は必死におしっこを我慢しつづける以外の選択肢はない。
(はやく……はやく……)
 いくらなんでもそろそろ来るはずなのだ。あと少し、少しだけと胸の中で繰り返しながら、美春はきゅっ、きゅっとローファーを鳴らす。
 そんなことを脳裏に巡らせている美春の後ろで、やはり子連れの奥さんが首をかしげた。
「ねえ、美晴ちゃん、さっきからどうしたの、そんなにそわそわして」
「…んぅ……えっ? は、はいっ」
 唐突の大きな声に、とりあえず返事をした美春だったが、すでにまともな受け答えをできる状況ではなかった。
「どこか具合悪いの? 無理しない方がいいわよ。ただでさえ美春ちゃん、色々頑張ってるんだから。もっと息抜きしてリラックスしないと」
 話しかけてくるおばさんの声は、かなり大きなボリュームだった。ただでさえバスの待ち時間で焦れている人々は、ちょっとした異変にも敏感だった。周囲の視線が何事かと一様に美晴のほうに集まってくる。
「え、ええと……その、べつに……」
(や、やだ……見ないでよっ……く、うぅうっ……が、我慢できなくなっちゃうぅ……)
 注視に晒されて、美春これまでは辛うじて取っていた前傾姿勢も、膝を交差させる我慢ポーズも取れなくなる。漏れそうなおしっこを我慢する事すら許されない苦痛に、美春の胸は激しく高鳴った。
 同時、羞恥に晒され、美春の下腹部で再び強烈な尿意の波が巻き起こる。
(えっ、や、やだっ、嫌ああっ!!)
 膀胱の中でおしっこが渦を巻き、出口に向かって殺到する。それに抗する美春の水門は徐々に力を失くし、ひくっと悲鳴を上げて引きつる。
「ねえ、美晴ちゃんてば。本当にだいじょうぶ?」
「ぅく、…は、だ、だいじょぶ……です」
「ちょっと……大丈夫じゃないわよぉ。顔真っ青じゃないの」
(やっ、触らないでよぉっ……!! お願いいっ!!)
 額に伸ばされた奥さんの手を振り払いたくなるのを美春は必死にこらえた。
 ただでさえわざわざ話しかけてくるような(しかも桁外れに声の大きい)お節介なおばさんだ。ここで美春がくねくねと身体をくねらせ、腰を揺すりでもして必死におしっこを我慢している仕草を見せてしまえば、『あらあら大丈夫? おトイレ? おしっこなの?』とでもみんなの前で大声で報告してしまうだろう。
(そんなの、絶対にイヤっ……)
 いい年をして、家を出る前にトイレにも行っておかなかった、ちゃんとおしっこも済ませられない女の子。
(と、トイレのしつけもできてないなんて言われちゃったら……っ)
 そんな事になれば、美春は明日から生きて行けないに違いない。
 真っ赤になっておしっこを我慢していた女の子。通勤、通学の人通りの最中で、その存在が目立たないはずはないのだ。ただでさえ父子過程ということで美春の家は注目を集めやすい。この上美春の恥態が知られれば、おしゃべり好きのおばさんたちに噂話の格好の材料を提供してしまうことになる。
 おばさんの問いかけに真っ青になって首を振りながら、美春は渋滞の車の列を睨みつける。
(まだ……なのっ!?)
 時計は8時25分を示していた。まだバスの影は見えない。
 背中を冷たい汗がひとすじ、ふたすじと這い降りてゆく。
「ねえボク、お姉ちゃんどうしたの?」
「わかんない。でもさっきからなんかヘンだったよ? いつもあんなことでおこったりしないのに」
 美春が答えなくなったことで、おばさんは質問の相手を正樹に切り替えたようだった。見知らぬ顔だということもなんのその、おばさんは持ち前の『誰とでもお話できるオーラ』を駆使して正樹と話し始める。
「そうなの。困ったわねぇ」
「うん。お姉ちゃんどうしたのかな……」
(ばか……余計なこといわないでよっ……き、気付かれちゃうじゃないっ……)
「やっぱり、お母さんがいないといろいろ大変なのかしらねぇ……」
(違うわよっ……そんな、そんなんじゃないのっ……)
「ねーねーママ、お姉ちゃんびょうきなのー?」
 正樹と隣の女の子が心配そうに美春のことを案じているため、おばさんはこれ幸いと美春の顔をじろじろと眺め回してくる。美春は失礼という単語を知らないらしいおばさんから不機嫌を装ってぷいっと視線を反らした。
 ――お母さんがいないから。
 それは、美春が一番言われたくないことだ。確かに普通の家とはちょっとだけ違っているが、そんなことでとやかく言われたくはない。だからこそ、美春は暴走しそうになるぱんぱんの膀胱を力ずくで捻じ伏せて、必死に平静を取り繕うのだった。
 しかし、そんなことで美春の体内に溜めこまれたおしっこと、それによって引き起こされる生理反応は着えてなくなるわけではない。おばさんは美春のうなじに浮かぶ汗を目ざとく見つけ、大きな声を上げた。
「うわ。すごい汗じゃないの。やっぱりなんでもない事ないじゃないっ」
「ち、ちが……も、もうっ!! さ、さっきから言って…るじゃない・・…ですかっ!! だっ…だっいじょうっ…ぶ……ですからっ、放っておい…て、くださいっ」
 きゅううんっ、と切なげに膀胱が震える。身をよじるほどの尿意がこみ上げ、美春の理性を吹き飛ばそうとする。もはや朦朧とする意識の中、美春は唇を強く噛み締めて必死に『おしっこなんて我慢してない』自分を奮い立たせる。
 それでも、すさまじい尿意は一向に収まる気配がない。まるで全身の水分を絞り上げられ、それが股間の一点に注ぎこまれているかのようだった。脚の付け根の大事な場所を熱く痺れさせる尿意に、美春の意識が薄れる。膀胱を直撃する排泄の衝動に、少女は全身を震わせていた。
(ふぁ、くうぅっ、ガマン、ガマンしなきゃ……っ)
 必死に自分に言い聞かせても、そのままの姿勢で耐え切る事は不可能だった。美春は両足をきつく交差させ、鞄で隠した下でスカートの股間をぐぐぐぎゅううっと押さえ込む。人目に晒されるなかで取れる最大限の譲歩だ。本当は恥も外聞も捨てて股間をぎゅうぎゅうと絞り上げたい。
「んうっ……くくっ……んああっ」
 必要以上に湿り気を帯びた、熱い吐息が美春の唇からこぼれる。
 誤魔化せているつもりだったのだが、その動作は傍から見ても少し調子が悪い、程度のものではない。美春の異変に気が付き始めた隣のおばさんは美春の事を心配と興味に満ちた視線で眺め始める。
(ぁあ…やば……っ、き、気付かれちゃった……のっ!?)
 おばさんたちは決してなにかをしてくるわけではなかったが、ぴったりと張りついた視線は『ねえ、美春ちゃんひょっとしてトイレ行きたいんじゃないの?』と問いかけられているかのようだ。無遠慮なおばさんの視線に、美春は全身が熱くなるのを感じる。
 同時に、底知れぬ冷たさが美春の背中を這い落ちてゆく。
(どうしようっ……ほ、ホントに、おしっこしたいって……バレちゃったらっ……)
 このマンションのおばさんたちは町内でも有名なお喋り好きで有名である。噂話ならまだしも、時には煙の無い所に火事を起こす事ような真似まで平気でやってのける。暇さえあればお喋りの相手を探し、さらに下世話な話が大好き――と、良識ある住人たちからは非常に迷惑がられるほどの悪癖であった。
 しかし、それで本人たちはお節介、世話好き、と思いこんでいるのだからタチが悪い。
 高校生にもなって朝からトイレにも行かず、バス停でくねくねとおしっこをガマンしている美春は、格好のおしゃべりの材料に違いなかった。
(っく……ダメ…っ。この人、の前でだけはっ……、ぜったい、にぃっ……)
 おばさんのお喋りの犠牲となった住人たちのことを思い出し、美春は背筋を震わせる。ただでさえ、父子過程で妙な勘繰りが耐えないのだ。ヘタをすれば、正樹まで『おトイレのしつけもできていない子の弟』と、そのおしゃべりの犠牲になりかねない。
「ねえぇ、美春ちゃん……?」
「ど、どうか……しました?」
 全身の神経を総動員して括約筋に集め、美春は平静を繕って姿勢を正した。ガマンに耐えかね排泄孔を直接塞ぎたくなる両手を鞄に添えて、こつこつとひっきりなしに爪先で地面を叩く。
 おばさんはなおも不審げに美春をじろじろ眺めていたが、その時、40分遅れで到着したバスが渋滞の向こうに姿を見せた。
「あっ、きたー、ねえ来たよ、お姉ちゃん、バス来たよっ!!」
(……っ、やったぁ……だいじょぶ、あとちょっとだけ……我慢すればっ……)
 クリーム色の大きな車体がようやく停車し、ぷしゅうとドアを開くと同時、バス停の前に待っていた一堂から安堵の声が上がる。
「あー。やっっときやがったかー」
「遅いよー。もう遅刻だ遅刻」
「申し訳ありません、ご迷惑をおかけしました」
「いいよいいよ。今日混んでたもんね」
 どやどやと乗り込んでゆくバス停前の一堂。
「っ……く、ぅ……~~……っ……!!」
 けれど、本来正樹を送り出してやらなければならないはずの美春は一歩も動けなかった。
 そう、ほんの数秒前から再び彼女の膀胱には強烈な尿意が猛威を振るっており、美春はぴんと全身を硬直させてそれに耐えていたのだ。
(やっ、だ、……だめ、おさまって……ぇ……っ)
 美春は必死に括約筋を引き絞りながら、おさまりのつかない自分の下半身に懇願する。

 じんっ、びりびりびりりっ!!

 だが暴れ狂う尿意に蹂躙され、猛烈な刺激に美春の排泄孔は緩みかける。背筋を貫く稲妻に意識が遠のきそうだった。
(うぁあっ……動いたら、で、ちゃう、かもっ……)
「ほらっお姉ちゃん!! バス、来たよーっ」
 正樹は手を握ったまま動こうとしない姉に痺れを切らし、目の前に停車したバスを指差して美春を急かす。
「ほらお姉ちゃん早くってばぁ。健二くんも乗ってるよぉっ」
「ちょ、ちょっと、待ってっ……正樹、おねがい、お願いぃっ」
 我慢の綱引きの真っ最中に、ふらつきながら懇願する美春。けれど、はしゃぐ正樹には聞こえていない。正樹は美春のジャケットの前のスソをぐいぐいと引っ張りながら、バスの扉の方に美春を引きずってゆく。無理矢理歩かされる刺激に満杯の膀胱の中身がたぽんたぽんと震え、今にも膝が砕けそうになる。
 美春の背中におばさんの視線が突き刺さる。
(ちが……違うの、これは、ち、違うんだからぁっ……)
 必死の言い訳も、内股で覚束ない足取りと下腹部に添えられた手を見れば一目瞭然だった。美春は暴れ回る尿意と戦いながら、辛うじて一歩一歩を進んでゆく。もはや地面に足がついているようにも見えない。
「ねえ、お姉ちゃんヘンだよ。早くぅっ」
 いつもと様子の違う姉に気付いても、思いやることのできない残酷な幼さで、正樹は美春をさらに急かしジャケットの裾を握り締め激しく揺さぶった。
 ぐい、と大きく前に引っ張られ、美春はバランスを崩してしまう。
「ぅ、あううっ……だっダメ、正樹っっ」
 つんのめった美春は思わず大股で一歩を踏んでしまった。

 じくん、きゅうううっ!!

(っッッ!! ……く、あ、や、ぁああっ)
 収縮する膀胱が激しくよじれ、内部の不要な水分を絞り出そうとする。破裂しそうなおしっこが収まらない。排泄孔に殺到する恥ずかしい熱湯に、今にも股間を貫かれてしまいそうだ。
「ばーかっ僕のが先だよっ」
 生涯したことのないほどのガマンに悶える美春の前に、いきなり正樹と同じ歳頃の元気な男の子が列の前に割り込んできた。
「うわっ? こら、横入りすんなよっ」
 叫ぶが、少年は止まらない。正樹は後ろに押しのけられた勢いで美春の方に倒れこむ。
「わわあっ!?」
 捕まる場所がなかったのだろう。バランスを崩した正樹の頭と背中が美春の張り詰めた下腹部に激突する。
(―――や、バカ、正樹っ!!)
 悲鳴を上げる暇さえなかった。
 ただでさえ限界まで張り詰めていた膀胱にすさまじい衝撃が走った。ただでさえもう1ミリも余裕のない恥かしい水風船が外部から圧迫され、必死で微笑んでいた美春の表情が一瞬にして硬直する。

 じゅわっ。

 じくん、と排泄孔に走る痛みと同時、確かに股間が爆発したように感じられた。我慢と尿意の間で張り詰めていた下半身を崩壊させる確かな引き金は、無常にも振り下ろされてしまったのだ。ぷしゅっ、と熱い雫が美春の脚の付け根で弾け、少女の下着に染み出したおしっこが、じわりじわりと股間に広がってゆく。
(だ……ダメ、だめ、ダメ、だめっ、だめぇっ、ダメぇえええっ!!!!)

 じゅじゅっ、じゅぅっ、じゅわわっ、

 少しずつ漏れだす熱い迸りが下着の股布にぶつかって恥かしい音を響かせる。美春の全身は凍りつき、噛み締められた唇がぎゅっと引き締められ、額にはじっとりと油汗が浮かぶ。
「っ……んふっ……んんんああっ」
 堪えようとするも悲鳴は止まらない。しゅるしゅると漏れだすおしっこは美春の身体の芯にまで熱く響き、途方もない解放感をもたらした。急激に高まった尿意と排泄の快感は、まるで射精にも似た悦楽だ。
 もう恥も外聞もない。少しでも気を抜けばおしっこが容赦なく吹き出して、この往来の注視の中おもらしを始めてしまうことは確定的だった。美春は排泄の誘惑を必死に振り切りながら、ぐぎゅうぅっと交差した両足の付け根にぐいっと左手を突っ込んだ。
 スカートの下、湿った下着の上から包み込むように爪を立て、必死で渾身の力を込めて自分の股間を押さえあげる。
 全身の筋肉が痙攣したように引き攣り、美春の背が震える。絞り上げられ小刻みに震えながら虚空をにらみ続け、美春は息を止めて決壊の時を乗り切ろうと耐える。
 そんな、一世一代のおしっこ我慢を続ける美春を尻目に、正樹はバスに乗り込んでいった。
「いってきまーーっす」
 刹那、正樹を視界の隅で捕らえていた美春は爆発寸前の尿意を鉄の意志で押さえ込む。
(手、手、振って、あげない、とっ)
 鞄を放すわけにはいかない。美春は股間の手を引きはがし、今にも破裂してしまいそうな膀胱を絞り上げ、正樹に向けて手を上げる。じわりと濡れた指は、おしっこにまみれてひんやりとしていた。
 皆に見られながら、もじもじとお尻を震わせてがくがく脚をすくませて、おしっこで汚れた手を振って、弟を見送る。ぼろぼろの笑顔こそ浮かべてはいたが、美春の心はすでにずたずただった。
 やがてバスが渋滞の列に流れ込み、バス停に残った見送りの人々は一人、また一人と姿を消していく。
 しかし、さっき美春に声をかけてきたおばさんだけは、やや離れた位置からじっと美春を凝視している。下世話な興味が丸出しの視線は、美春がどうなってしまうかを楽しむかのような悪意すら感じさせた。
(くぅ、ぅううっ、やだっ、やだあっ、見られちゃ……ダメ、がまん、がまんんっ!!)
 本当なら今すぐこの場を走って逃げ出したい。しかしそんな衝動も、さっきの弾みで漏れ出したおしっこは美春の下着をぐしょぐしょに濡らし、薄い布地をぴったりと美春の股間に張りつかせている。そして今なお崩壊寸前のダムは恥かしい熱湯を一気に溢れ出させようと小刻みに脈動しているのだ。
(う、動いたら……でちゃう・…っ!!)
 このまま一歩でも歩き出そうものなら、それが呼び水になってまたおチビリがはじまってしまう。これ以上漏らし続ければ間違いなく、おばさんに決定的な瞬間を目撃されてしまうに違いない。
 せめて他の人の目のないところ。誰にも見られないところ。
 腰を伝う震えに耐えながら、美春は緊急避難場所を探し始めた。
 しかし、近くにトイレはない。美春の部屋まではあまりに遠いし、仮にコンビにまで我慢できたとしても、店の人や客にはっきりと見られてしまう。
 おしっこをできる場所は、どこにもない。
「…も、…もうだめっ……もれ、ちゃ…っ」
 絶望と共に美晴ががくん、と腰を落としかけた瞬間だった。
 ゴミ捨て場から戻るエプロン姿の眼鏡の女性……同じマンションに住む朝霧由梨絵。美春のクラスメイトの姉である。
 文字通りの地獄に仏。美春は藁にもすがる思いで由梨絵の名を呼ぶ。
「ゆっ、ゆりえ、さんっ……」
 かなり距離はあったが、バス停の向こう側から部屋に戻ろうとしていた由梨絵は怪訝そうな顔をして足を止め、辺りを窺う。
 おずおずと手を伸ばし助けを求めようとした美春だが、切羽詰った尿意はそれすらも許さない。元の位置に戻った手のひらで股間をおさえ、少女は必死の表情で由梨絵に救いを求める。
「美春ちゃん? ……どうかしたの?」
 今度こそ美春に気付き、由梨絵は柔らかな笑顔を浮かべて少女に歩み寄る。差し伸べられた天の救いに、美春は我も忘れて由梨絵に飛び付いた。
「きゃ……っ!? 美春ちゃんっ……!?」
「由梨絵さんっ、そ、そのっ…お、ねがいっ……」
 驚く由梨絵に、頬を赤くしながらも美春は歯を噛み締めて尿意を訴える。
「っ、もっもうだめ……っ、もれ……ちゃううっ」
「え……?」
「ごめんなさいっ……もっ、もうだめ…は、はやくぅっ、……」
 美春の異常に気付いたか、由梨絵も深刻な表情になって周囲を窺う。相手が二人になり、さすがにさっきのおばさんもじろじろと眺め続けることに気まずさを覚えたのか、そ知らぬ顔で視線を反らしていた。
「ちょ、ちょっと、大丈夫っ? 美春ちゃんっ」
「……だっ、だめッ……お願いっ……由梨絵さんっ、早くぉトイレ……貸して……」
「え……美春ちゃん……トイレ?」
 由梨絵はきょとんとした声を上げたが、すぐに美春の切羽詰った様子と途切れ途切れの単語から危機的状況を察知してくれた。美春は由梨絵の肩を借り、おばさんの視線から逃れる。
 ようやく差し伸べられた救いの手に感謝する美春だが、再び切迫してきた尿意に身体をピンと竦ませる。
「ぅあ、うぅぅっ……あ…っく……」
「……ねえ、ひょっとして美春ちゃん、おなか壊しちゃってるの?」
 由梨絵が声を潜めて聞いてくる。美春は額にびっしりと汗を浮かべたまま小さく首を振った。こみ上げてくるおしっこを塞き止め、内股になってぶるぶると震える。
「ぉ……おしっ……こ……。もうだめ…ぇ…は……早くぅっ……」
「あ、そうか。今朝バスが随分遅れちゃったから……うちまでちょっと歩くけど、大丈夫?  美春ちゃん」
「は、はいっ……んうぅあっ……んんっ、くぅうぅっ……」
 由梨絵に手を引かれ、へっぴり腰のまま必死で進む美春だが、わずか2,3歩で突然立ち止まってしまう。低いうめき声をこぼして前かがみになった美春は、空いている方の手でスカートの上から股間を握り締める。
「あ……っ、ぁあっ……ゆ、由梨絵さんっ……ちょっ…ちょ…っと……ま…ってっ。も……ちょ…っと……ゆっ…くりぃっ……」
 肩で大きく息をしていた美春の全身がビクンと大きく震え、ソックスの足ががくがくと震える。歩くだけで膀胱が圧迫され、じゅじゅじゅっ、とおしっこが漏れてしまいそうだ。下腹部で弾ける尿意が、少女の恥骨に激しい衝撃を運んでくる。遠い路肩の先を焦点の失った瞳で見つめていた美春は、熱い吐息と共に由梨絵の手をギュッと握り返した。
「あっ……あ、あ、あああっ……も、う……っ、あ…ああっ」
「ちょ、ちょっとってばっ。美春ちゃん、ほらっ、立ってなきゃダメだよ。…しゃがんじゃったら出ちゃうよっ?」
「うぅっ……んあっ……はぁはぁっ…んああっ!!」
 由梨絵の手を握り締めたまま、ぎゅうっときつく足を交差させる美春。しかしどれだけ美春が健気に気を張り詰め、我慢を重ねようと、身体は勝手に生理的欲求の限界を訴え、おしっこを排泄しようと勝手に腰を落し排泄の準備を始めてしまう。閉じていたはずの排泄孔がじくんと歪み、溜まりに溜まったおしっこの圧迫に耐え兼ねて収縮を繰り返す。
「だめだよこんなとこで、ほらっ!!」
「はあっ…はあはあっ……んっ!!……ああっっ!!」
 由梨絵に促され、震える足先で一歩踏み出す。瞬間、美春の体が再びぶるっと大きく震えた。
「あっ……うぅぅ……」
「あああ、ダメっ!! 美春ちゃんっ!!」
 前にかがみ、後ろにひょこんと突き出した美春のお尻が、スカートの下で小刻みに震える。そして下着の内側でじわっ、と広がった染みが、紺のスカートの外側まで染みだしてきた。それを見つけた由梨絵は、素早く美春の後ろに回りこみ、美春の持っていた鞄で少女のお尻を隠す。
「がんばって!! もう少しだからっ!! もうちょっとだけ我慢すればおしっこできるんだからっ!!」
「はぁ…はぁぁっ……んああっ……ううううっ」
 もはや脊椎反射でふらふらと歩き始める美春。しかし、またも5、6歩進んだところでぎゅうっと前かがみに立ち往生をしてしまう。今度は両手でおしっこの出口を塞ぎ、唇を噛み締めてくねくねと腰を揺する。
 だが、そんなはかない抵抗も空しく、美春の股間から再度ぶじゅううっと水音が響く。同時に美春の内腿を伝って幾筋もの水流が流れ落ちる。ぽた、ぽた、とこぼれる雫は地面に黒い点々を描き、美春の荒い息に合わせて広がってゆく。
 さっきのおチビりとは比べ物にならない、あきらかな『おもらし』だった。とっさにぎゅっと力をこめて膀胱の出口を塞いでも、尿道に詰まった雫は我慢しきれず、美春はさらにぶぢゅっ、とおしっこを吹き出させてしまう。熱い雫が下着の股布に勢いよくぶつかり、スカートのお尻に浮かんだ黒い染みがひときわ大きくなる。
「だめだよ……美春ちゃんっ、ほら、さっきのおばさんまだ見てる……我慢しなきゃだめ、もうちょっと、ほんのちょっとだけだから、ね?」
「う、うんっ、んんっ、くぅうううっ……ぁああああっ……」

 じゅ、じゅぅ、じゅっ、しゅるるっ……ちょろろっ……

 おばさんの視線は美春の背中にも痛いほど突き刺さる。今ここでお漏らしをしてしまったら、一体どんな噂を立てられるか。しかし既に美春は『おしっこも済ませられない恥かしい女の子』として十分すぎるほど目立ってしまっているのだ。由梨絵の言葉は気休め以外の何者でもなかった。
 しかし、由梨絵の声に理性を奮い立たせ、美春はどうにか決壊だけは乗り切った。下着はびっしょりと濡れてしまったが、まだこぼれたおしっこは少しだけだ。
 美春はなおも歩いては立ち止まり、前かがみになっては必死に腰をよじってを繰り返し、何度も何度も限界寸前の尿意を堪えてやっと大通りから由梨絵の部屋に続く階段の入り口に這いずり込んだ。
「ほら、あと少し……もうちょっとだから、美春ちゃん頑張ってね、もうちょっとだよっ」
 まるで自分のことのように必死に励ましてくれる由梨絵にしがみつくような格好で、お尻を突き出し腰を折ったままでよろよろと歩きつづける美春。しかし、震える足を辛うじて持ち上げ階段を登りきって、入り口まであと数メートルという距離で、少女の辛抱は途切れてしまった。美春の下半身がおしっこを受け止める地面の誘惑に屈するようにがくん、と落ちる。
 もはや尿意を我慢するためのステップも踏めない美春の身体が一瞬大きく震えたかと思うと、凍りついたように硬直する。
「あっ…んはぁあっ……!! だっだめ、由梨絵さんっもっもう、でっ……出るっ、でるうっ、でちゃうよおっ!!」
 かすれた声で振り絞るように由梨絵に叫んだ美春は、股間をのスカートに激しく皺を寄せて絞り上げ、ぎゅうっと目を閉じてしまった。その間にもじゅうぅっと排泄音が響き、股間を押さえる美春の左手の脇から溢れだしたおしっこが太股を伝って滴り落ちてゆく。ぽた、ぽたたっ、と床のコンクリートに恥かしい模様を描いてしまう。
「あぁ……美春ちゃん、あとほんのちょっとだから我慢しなきゃだめ!! ほら、立って、しゃがんじゃったらおしっこ始まっちゃうからっ!!」
 声を荒げないよう、由梨絵は美春の耳元で叫ぶ。ほんの少し限界を超えてしまっただけでこの量だ。美春のおなかに溜まったおしっこの総量は一体どれほどのものになるか。
 由梨絵の励ましを頼りに、美春は涙の滲む目を開き、意を決してずりずりと足を動かし始める。
「あっ…うぅっ!! んあっ、ダメぇっあうううっっ!!」
「美春ちゃぁんっ!!」
 腰を砕くほどの強烈な尿意の大波が少女に襲いかかる。もはや冷静な判断力を失い、美春は自分の股間を押さえていた手の平を少しずらし、股間の下で受け皿のように構えてしまう。
「ほら! 手はなしちゃだめっ、美春ちゃんっしっかり!!」

 じゅぅうぅつ、じゅじゅじゅぅうっ、しゅるるるっ

 美春は戦慄と共に大きく染みの広がりだした自分の股間を見下ろし、肩を大きく震わせた。少女のあごから汗がぽた、ぽたと滴り落ち、地面にこぼれたおしっこの跡の上に新しい黒い跡を作る。
 それには、もしかすると少女の恥辱の涙も混じっていたかもしれない。
「あ…だめ…ゆ、由梨絵さんっ……わたしっ、もう、だめ、おしっこ、……っ、……こ、ここでしちゃうっ……」
「ねえ、ねえ、しっかりして美春ちゃん……ここってトイレじゃないんだよ? おしっこするところじゃないんだよ!? 美春ちゃんっ!」
「だめっ、……ガマン、できな……でちゃう、っ……」
 猛烈な尿意の蹂躙に晒され、ぼろぼろに疲れきるまで理性を陵辱された美春は既に冷静な判断力を失っていた。おしっこがしたい、もうガマンできない。それだけの意識が清らかな乙女のプライドを打ち砕き、本能のまま欲求に従えと美春の身体を衝き動かす。美春の下半身は理性を失い、まるで動物と同じように、ところ構わずに排泄を欲している。
 美春はちょこん、とお尻を突き出した姿勢のまま、両足の間に手のひらで作った器を構えて『おしっこを漏らすポーズ』を取ってしまった。今にも腿の間からほとばしりそうなおしっこを、手の平で少しでも受け取めようとする。
「美春ちゃんだめっ、だめっ、がまんしなきゃだめだよぅっ!!」
 由梨絵は美春の背中を叩き、必死になって少女の姿を周囲から隠そうと覆い被さった。だが次の瞬間。
「あ、あああ、あああああああーーーッ!!」

 じょじょっ、じじゅるるるうっ、びちゅびちゃじゃぱっ……

 突き出した美春のスカートの奥でくぐもった音が響き、少女の脚の付け根の染みが一気に拡大した。美春が自分の股間の下で構えた手の平に、熱い濁流が小さな滝となって迸る。
 耐えに耐え続けた、少女の本当の勢いでの排泄が間近だ。排泄とは無縁の、マンションの入り口でそれが繰り拡げられようとしている。誰が通りがかってもおかしくないというのに、美春はここでおしっこを始めようとしていた。
「だめ――!! 美春ちゃん、だめだよっ!!」
 少女の心の貞操を守るため、由梨絵は心を鬼にして強引に美春を前にグイッと押し出した。
「ぁっんっ……!! だっだめっ、ぃやっ……っ、ゆりえさん……いじわる、やめてぇ……もうここでいいよぅっ、ここで、っ、ここでするのっ、しちゃうからぁっ……」
「だめ、だめだよ美春ちゃんっ!! 女の子なんだから……ほら、立ってっ、もうすこしでおトイレ入れるんだからっ!!」
 前のめりになった美春はぽたりぽたりと飛沫を股間から振り撒きながら、必死で股間を押え込み、何とか奔流の決壊だけはまぬがれる。足元にぱちゃぱちゃと水流の跡を残し、少女は崩壊の一歩手間を保ち続けて足を進め、ようやく由梨絵のアパートの部屋の前までたどり着いた。
「ほら、あとほんのちょっとだよっ!! 今鍵開けるから我慢して、がんばってっ!!」
 まるで自分の事のように、大慌てで鍵を開けてくれる由梨絵。しかしそんなわずかのタイムラグさえ、股間を握り締め尿意の大波に攫われるたびビクンと背を伸ばし続ける今の美春にとっては地獄のような苦しみだ。
「ゆっ、由梨絵さんっ、はやくっ、はやくはやくっ、はやくぅうぅっ……」
「うっ、うんっ!! ほら開いたよっ!! トイレの場所っ、分かるよねっ!」
 背中から念を押され、美春は前かがみになったまま股間を押え込みながらもふらふらと玄関に向かう。廊下はあまり広くはなく、もう由梨絵が支えに入るスペースはない。美春はトイレまでの数メートルを自力で進まねばならない。
 両足は前できつく交差され、皺を寄せて押え込んだ美春のスカートには、既にどう努力しても隠し通せないほどに大きな染みが広がり、腿やふくらはぎまでにもいくすじものおしっこの跡が残っている。床にも地面にも、これまでの道のりで美春はすでに十分すぎるほどおしっこを漏らしていた。
 だが、それでも全然足りないのだ。美春のお腹を占領した恥かしい熱湯を出しきるのには、まったく足りていない。むしろ数度の排泄と中断がますます尿意の激しさを増している。
「はぁっ……はぁっ……ふぅうんっ、んんぅぅううっ……」
 美春が熱い吐息を漏らすたびに、内腿に広がる染みがじわりじわりと広がってゆく。下着の中で、少女の排泄孔はすでに緩みはじめていた。一歩ごとに膀胱にぱんぱんに詰まったおしっこが外に漏れ出してくる。
「あっ……ぁうううっっ……はぅうぅううっっくぅう!!」
 美春のお尻に張り付いたスカートの奥で、じゅるるるるるぅうっ、とくぐもった音が響く。
「きゃっ……ダメだよ、もうトイレすぐそこなんだからっ!! 美春ちゃん、おしっこあとちょっとでできるよ!? がんばってっ!!」
「……ぁぅううっ……だっだめっ!! も、もぅ……」

 じゅわわっ、じゅるるう、じゅじょじょじょっ!!

 背中から由梨絵の応援を受けるも、ビクン、と足を止めた美春の靴下が一瞬で色を変え、スカートの裾から小さな滝が足元に滴り始める。

 ぶじゅっ、びゅるっ、じゅぅぅっ

 少女の股間の先端から、荒い息に合わせたように熱い濁流が間断的に噴き出す。
「んふぁあああっ!! だめぇええええっ……」
 叫びながら美春は必死に玄関の段差に脚をかけた。同時、少女の股間からこぼれ出した雫が、激しく音を立てて直接床を打つ。少女のおしっこ我慢の行進の道のりを示すかのように、美春の歩いた後には水たまりが点々と続いている。
 美春を先に入らせた由梨絵が後ろ手にドアを閉める。前かがみになりながら俯いた少女は、靴を脱ごうとした姿勢のまま硬直し、お尻を突き出したまま喘ぐ。
 そして、再び激しい排泄の先走りを床へと吹きこぼした。
「んんんっ……くぅっ…ぁっ!! ……ふぅっ…はっはうぅうっ、はあっ……はあっ、んぁはあっ!!」

 じょじょっ、じゃぁっ、じょじょじょわあっ、びちゃびちゃばちゃっ!!

「ああ、だめだよっそんなところでっ……!! 美春ちゃんっ、しっかりっ!!」
 美春の股間から噴き出したおしっこの熱い濁流が、玄関に置いてあった靴に降りそそぐ。他の家の床と玄関を台無しにしてなお、美春の尿意はとどまる所を知らない。
 美春はじょぼじょぼと音と立てて止まらないおしっこを手のひらで受け止めながら、震える足で無理矢理に前に進もうとする。玄関のマットの上に靴も脱がず昇ったところで、再び少女は身体を硬直させた。
 激しく肩が震え、右手がこれ以上ないほどきつくスカートを掴み、左手は必死に内腿を擦っている。
 少女の視線は既に焦点を失い、ふらふらと左右に揺れるばかり。スカートから染み出したおしっこの奔流は、すでに足元の水たまりまで途切れること無く続いている。
 由梨絵の目の前で、美春は最後の尿意の大津波に飲み込まれた。
「ぁうあぁあああっ……っ、く、く、ぁ、ぅ、あ、っ……」
 少女の背中がびくんと仰け反る。限界を超えた膀胱が自律神経に支配され、収縮の予兆に震えた。括約筋が千切れそうなほどに熱く焼けきれる。永遠にも思える壮絶な我慢で、酷使された美春の大切な部分は真っ赤に色を変えていた。
「もっ、もぅ……」
 はぁーっ、はぁーっ、という堪えようもない荒い吐息。渦を巻き暴れ狂うおしっこに蹂躙されて、美春はもう一歩も動けない。
「も、もう……だめっ!! ごめん、ごめんなさいいぃいっ……」
 次の瞬間、美春の身体から一気に力が抜け落ちる
「み、美春ちゃんっっ!!」
「ぁっ、あっあっ!! ああああっはぅうっ!!!」

 じょわわわっ、じょぼじょぼじょぼぼぼぼっ、じゅるるるるぅ!!

 足に張り付いたスカートを引き剥がすかのような膨大な水圧と水量で、少女の股間が弾けた。限界を迎えた排泄孔から一気におしっこが吹き出す。羞恥の洪水は瞬く間に下着とスカートを水浸しにし、美春の下半身を侵食した。
「ぁ……っ、ぁ、ぁ、ぅ、ぁ……っ~~~…!! だめ、だめ、由梨絵さ…んっ、もうだめっ、ガマン…で、きなっ、ぁ、っ・……」
 排泄の快感にふらりと傾いた身体をを支えるため、美春は反射的に左手を壁についてしまった。外から押さえる力の半分になった股間がびゅじゅっぶじゅっと激しい潮を吹き上げる。疲弊した括約筋では押さえこむことなど叶わなかった。

 じゅぶっ、ばちゃ、ぶじゅっばちゃばちゃじゅぼぼぼぼっ、じょばばばっ

 おしりを後ろに突き出した姿勢のまま、美春は排泄の甘い痺れのなすがままに侵されてゆく。溜まりに溜まったおしっこはホースからの放水にも似た勢いで床に叩きつけられてゆく。
 その時。廊下の奥の方の部屋の戸が開き、中から由梨絵の弟――美春のクラスメイトである幹也が顔を出した
「あっ、ぁ、あ――――、ダメえっ……で、でちゃ、でちゃうぅっっ!!」
「姉貴、どうしたんだよっ…て、美春? …うわっ!? おっ、おい、なにしてんだお前っ!!?」
「や、馬鹿、バカっ、見るな、見るなぁあ!!」
 幼馴染の目の前で、女の子が絶対にしてはならない行為が始まってしまう。
 既に制御下を離れた股間を必死に隠しながら、そう叫ぶのが精一杯だった。
 押さえられたスカートの下、すでに悲惨な状況になった下着のなかで、美春の敏感な突起だけが薄い布地を突き破らんばかりに震えている。
「はあっ……、はああっ、んぁあぅっ!!!」

 ぶじゅっ、びゅるるっ、じゅびゅっ

 美春の股間の先端からは荒い息に合わせたように熱い濁流が漏れ出していた。
「ん…ふぁあ…っ!! …だ、めぇ……」
 美春は身体を小刻みに震わせながら、股間に残った右手を太腿でぎゅっと締め上げる。ぐしょぐしょに濡れたスカートが股間を塞ぎ、下着の先端から滴り落ちる熱い雫を受け止めてゆく。だがそれは少女の下半身の衣服をさらに壊滅的な状況にしてしまうことに他ならない。
「ああっもうだめ、、ぉ…しっこ…もれ……ちゃううっ、、んはぁあああぅぅうっ!!!」
 熱い吐息と共に、美春は尿意を一気に放出した。
 ぐっしょりと濡れて色を変え、脚に張りつくスカート。両足を広げぎみに、アヒルのようにおしりを突き出したまま、真っ赤な顔で美春は下着をつけたま本当の勢いでおしっこをはじめてしまう。唇をぎゅっと噛み締めたまま、定まらない視線を泳がせながら、決壊しはじめたオシッコが床に大きく水たまりを作っていた。

 ぶしゃあぁッ!! ぶじゅしゅじゃじゃっゃぶしゃじゃじゃあああああっ……!!

 美春の引けた腰の太腿の付け根に広がっていたシミが一気に拡大し、瞬間バケツをひっくり返したような大量のおしっこが紺のスカートの布地から滝のようにあふれだす。限界を超えたおしっこはまるで生き物のように太い流れをいくつもくねらせ、張りついたスカートの腰、股間、腿、脚、靴下に至るまであらゆるところを侵食して洪水のように流れ落ちてゆく。

 びじゅぶじゅぶじゅぶびちゃばちゃびちゃばちゃ……っ!!

「美春・・…お前……っ」
「やだ…なんでいるのよっ…止まって、止まってよぅっ」
 幹也の視線は美春の股間にくぎ付けになっていた。美春は悶えながら脚をよじり、流れ落ちるオシッコを塞き止めようとする。しかし一度始まってしまったオシッコを、ガマンの上に我慢を重ねたおしっこを、いまさら止めることができるはずもない。
 玄関マットの許容量をはるかに超えたオシッコの津波は廊下に流れ出し、床の上に湖を形成し始めている。湯気の立つほどの熱気を伴なって流れるオシッコをからとっさに身を引いた幹也が悲鳴を上げた。
 身を切るような羞恥に襲われながらも、美春は自分の股間から流れてゆく濁流の行方をなすすべなく見下ろし続けるしかない。
 括約筋はすっかり機能を失い、排泄孔は壊れた蛇口のようにじょろじょろとオシッコを出し続ける。熱くなった水門をぐっしょりと濡れた股間の上から押さえながら、美春はふらふらと脚を動かす。

 じゅぅうっ、じゅじゅじゅじゅじゅぅうぅっ、ぼちゃちゃぼぼぼべちゃぼちゃ……

 排泄の途中だというのに再び美春の尿意が高まり、閉じた股間に食い込んでいたスカートの先端から熱い濁流が一気に溢れ出す。脚の付け根に挟んだスカートから太い奔流をからめ合いながら、オシッコが大量に滴り落ち、激しい濁流の重みで、スカートは大きく膨らんで熱い流れが床に激しくはじけていく。
 悪魔の水が作りだした大量の羞恥失禁。美春のオシッコはまだまだ終わらない。



 (了)
[ 2017/09/19 23:08 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)