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保育園のお話。 

「ねーねーおねえちゃん、はやく、はやくっ!!」
「ちょ、ちょっと待ってってば……そんなに引っ張ったら……きゃぁあ!?」
「うわぁっ!?」

 ――べしゃんっ。






「……災難だったわねぇ」
「あ、あはは……みんな、元気いいですから」
「ごめんなさいね、詩織ちゃん。付き合わせちゃって」
「そんな、気を使わないでください。わたしがお願いしたことですから」
 前原詩織――15歳。保母さんを目指して勉強中の彼女は、椅子の上でまだ湿った髪を拭きながら答えた。大滝保育園、私立のこの保育園は、詩織の叔母にあたる女性が経営する施設である。
 詩織は毎日、学校が終わってからこの保育園で保母さんの見習いをしていた。
 元気いっぱいの園児達は、詩織を『おねえちゃん』と慕い、毎日あちこちへ遊びに引っ張ってゆく。詩織もすっかり溶け込んでいるが、遊びたい盛りの園児たちのパワフルさにはまったくもって圧倒され、舌を巻くばかりだった。
「でも、平気? 身体が冷えちゃったでしょう。風邪、ひかないようにね」
「あはは……はい、気をつけます」
 今日もまた、詩織は子供達に引っ張られているときに間違って足を滑らせ、水たまりの上に転んでしまったのだった。防寒・汚れ対策のジャージはおろか下着までびしょ濡れになってすっかり壊滅だ。どうにか頭だけはシャワーを浴びて泥を流したが、服はこのままクリーニング行きで決定だった。
「……それで、あたしはちょっと外すけど、あとは頼んでいいかしら?」
「え? 園長先生もおでかけなんですか?」
「あら。ひょっとして城崎先生もなの? ……まあ、それは困ったわねぇ……」
 城崎先生が先程、このあと急な用事で1時間ばかり外出するのでお願い、と伝言を頼まれたことを説明すると、園長先生はむぅ、と眉を寄せて考え込んでしまう。どうやら相当大切な要件のようだった。
「どうしようかしら……」
「……あの、お急ぎのご用事でしたら、行ってきてください。ちょっとくらいならわたし一人でも平気ですから」
 そっと切り出した詩織に、園長先生はしばらくためらい、答えた。
「……ごめんなさいね……本当に悪いんだけれど、前原さん、お願いしてもいい? すぐに戻ってくるわ」
「はい、任せてください!!」
 ぐっと胸を張り、詩織は答える。それを見て園長先生はふっと表情を緩め、席を立った。
「あなたももう立派に『おねえちゃん』なのね……頼もしいわ」
「あ……ごめんなさい、ちょっと言いすぎました」
「いいのよ。そんなに謙遜しないで。みんなもあなたのことを慕ってくれているし。じゃあ、お願いしていいかしら」
「はい!!」
 部屋を出てゆく園長先生を見送り、詩織も椅子から立ち上がる。
「さあ、早くしなきゃ……みんな待ってるしね」
 目を輝かせ、詩織の手を引いていた園児達のことを思い出しながら、詩織は更衣室に入って自分のロッカーを開け、着替えることにした。
「えっと……あれ?」
 しかし、中を探る手に物足りなさを感じ、ロッカーの中を覗きこむ。
 改めて見てみれば、着替えの中にはジャージの上着とエプロンの替えだけしか残っていなかった。
「あ……そっか…」
 よくよく思い出してみれば、昨日も別の園児達との泥遊びで汚してしまい、着替えを使ったたばかりなのだ。あと一式あると思っていた着替えは、もうその一部だけしか残っていない。
(……えっと……)
 着替えようにも服はなく、かといって下半身は水浸しの泥だらけで冷たく湿っている。このまま着続けている訳にもいかない。
(ど、どうしよう……)
 予想外の事態に、詩織はロッカーの前で困惑を隠せなかった。





(……うー、なんか、すかすかする……)
 結局、詩織は被害の壊滅的だったジャージと下着を脱ぎ、どうにか汚れの少なかったスカートと、替えのエプロンだけを身につけていた。
 下着は脱いだままだ。あんな泥だらけのショーツはどうも履く気になれなかったし、かといってほかに替えの下着もない。まさか他の先生のものを黙って借りるわけにもいかないのだ。
 頼りない足もとの感触に、なんとなく違和感を感じる。大切なところがすっかり丸出しという状況は、なんとも非常に困ることではあるのだが……まあまさか見られることもないだろうし、気になるものの、急ぐためには仕方のない処置だった。
(1時間くらいで乾くし……それまで我慢しよ……)
 と、いまいち吹っ切れない気分を無理矢理切り替えようと、頭を振ったときだ。

 ぶるるるっ……

 不意に込み上げてきた感触に、詩織は軽く身をよじる。
(う……やだ。濡れたままでいたからかな……)
 恥骨をじんと震わせる切ない感覚。どうやら着替えるのに少々手間取り、腰を冷やしたままでいたためか、トイレを求める生理的欲求が増してきたらしい。気付けば下腹部にも軽い重みが感じられ、詩織は自分の身体が思っていたよりも我慢を続けていたことを知る。
 ――おしっこ。
 たとえ『おねえちゃん』であろうとも避けられない自然の摂理に背中を押され、詩織はそそくさと方向転換し、トイレの方へと急ごうとした。
 だが。
 それを見咎めるようなタイミングで、廊下に園児達の声が響いたのだ。
「あー、おねえちゃんいたー!!」
「もう、どこ行ってたの!? はやくはやく!!」
 リョウタとアカネ。ついさっき、詩織の手を引っ張っていたふたりだった。
 廊下をまっすぐに、全速力で走ってきたふたりは、そのまま勢いよく詩織の身体に飛び付く。
「ちょ、廊下は走っちゃ……きゃんっ!?」
「ねえ、おねえちゃん行こうよ、はやく、ねえはやく!!」
「そうだよ、はやくはやく!! みんなまってるもん!!」
「わ、わあ!? ひ、引っ張らないでってば!! す、スカート握っちゃダメ!!」
 かなりの力で両手を引かれ、詩織は倒れるのをこらえるので精一杯になる。どうやら二人とも、詩織がいちど事務室に引っ込んでいるあいだもだいぶあちこちを探しまわっていたらしく、すっかり待ちきれない様子で詩織をせかすように玄関の方へとぐいぐいと引き寄せる。
 その下にはなにも身につけていないスカートの裾を掴まれ、さすがに焦った詩織は慌ててエプロンの上から布地を掴む。
「え、ええと、リョウタくん、アカネちゃん、ちょっと待って……おねえちゃん、おトイレ行きたいんだけど……」
「そんなのいいから!!」
「そうよ、おねえちゃんなんだからガマンしてよ!! ねえ早く!!」
(い、いいからって……きゃっ!?)
 あまりに勢いよく遮られ、一瞬呆気に取られてしまう詩織を、二人は力を合わせて玄関へと引きずってゆく。たとえ小さな子供でも、夢中になっている時のエネルギーはすさまじい。まして二人がかりなのだ。詩織はずりずりと引きずられるままに玄関に押しだされてしまった。
「おねえちゃん、こっち、こっちだよ!! もう、遅いってば!!」
「わぁ!? あ、アカネちゃん、引っ張ったら危ないんだから……ってさっきも言って……」
「ほら、おねえちゃんはやく!! 早くしてよぉ!!」
「あ、あのね、だからリョウタくんもちょっと待って……うわっ!?」
 サンダルを履くやいなや、二人は見事なコンビネーションで詩織の両手をしっかりと掴み、表へ走りだす。バランスを崩しかけながらも、詩織はどうにか転ぶのをこらえて二人に付いてゆくしかない。
(うぅ……しょうがないや、ちょっとの我慢だもん……)
 声を跳ねさせ、遊ぼう遊ぼうとはしゃぐふたりがあまりに強引なもので、とうとう詩織も諦めざるを得なかった。それに、こうまでしてふたりが見せたがっているものを無視するのは『おねえちゃん』としてもなんとなく気が引けてしまう。
 じん、と重みを感じる下腹部に、後ろ髪を引かれながらも、詩織はリョウタとアカネに引っ張られるまま、玄関を出た。




「ね、ねえ……リョウタくん、お姉ちゃん、そろそろ……」
「あー!! おねえちゃん立っちゃだめ!! ちゃんと持ってて!!」
「え、えっと、その……」
 30分あまりが経過し。詩織の姿は依然、園内の隅にある砂場に留まっていた。
 エプロンとスカートの端を折り込んでぎゅっと寄せ合わされた膝は、せわしなく左右にを入れ替えている。
 無論のこと、トイレにはまだ行けていない。詩織の下腹部では、さっきまでの尿意がさらに増して感じられ続けている。
「あの、アカネちゃん、お姉ちゃんちょっとご用事があるんだけど……」
「お姉ちゃん、ほら、お姉ちゃんの番だよ!?」
「うぅ……」
 腰を浮かしかけるたび、隣のリョウタとアカネは目ざとくそれを見つけて詩織を制する。園児二人に囲まれて、詩織は思うように身体を動かすこともできなかった。
(っ……どうしようっ……だ、だいぶ、辛くなって、きちゃった……っ)
 時間の経過と共に膀胱に蓄えられたおしっこがさらに量を増しているのだ。おまけに屋外の風も、下着を身に付けていない詩織をさらに攻め立てている。
「ふぅ……っ」
 そっと息を詰めるものの、誤魔化しきれないおしっこの重みにもじもじと詩織の腰が揺れる。脚の付け根にぐっと力を入れてみたり、さりげなく肘のあたりでおなかをさすってみたり、少しでも下腹部に負担をかけないよう、詩織は姿勢の微調整を繰り返しながら、次第に高まり続ける尿意の波をやり過ごしていた。
「じゃあ次ね、次!!」
「まって、あたしのが先よぉ!!」
「ちがう、ボクだよぉ!!」
 リョウタとアカネのふたりが見せたがっていたものは、みんなで協力して築き上げた砂のお城だった。
 あれだけ一生懸命になるのも確かなことであろう。普段のお遊戯の時間とは一味違って、砂場の砂を全部かき集めて作られたお城のてっぺんは、詩織の背の高さの半分を超えているほどに高い。
 園児達にしてみればそれこそまるで見上げるような高さなのだろう。みんなは思い思いにグループを作り、お城のあちこちにミニカーを走らせ、お人形を並べて楽しそうに遊んでいる。
 そして、どうやらリョウタとアカネがこのお城の建造の発案者らしい。いつもの何倍も大きなお城は、子供達のテンションを高め、すっかり夢中にさせているらしかった。
「はい、お姉ちゃんっ!!」
「あ、ありがとう……」
 おままごとをしている園児から泥団子を受け取り、詩織はお礼を返す。しかし下半身を襲うざわめきのせいで、その言葉もどこか上の空だ。
(や……また、来ちゃうっ……)
 おなかの奥でたぷん、と黄色い水面が揺れる。波紋のように広がる水の予兆が詩織を焦らせた。
 ぎゅっと腿を寄せ合い、少女の腰が左右にくねる。大切なところを覆う下着のない状態でまだまだ寒い屋外に居続けているのだ、生理現象が加速するのも無理はない。しかも今の状態は園児達に囲まれて、屈伸運動の途中のように脚を折り曲げしゃがみ込んだ状態だ。これはまさしく和式便器での排泄の体勢に他ならない。
 下着を脱いでしゃがむ、という行為はそれだけで高まりつつある尿意を膨れ上がらせるものだ。本来トイレでしか取ることのない姿勢は、詩織の排泄器官をじわじわとなぶり続け、少女の思考をそのことだけで塗り潰してゆくのだ。
(トイレ……トイレ、早く……)
 まるで、おなかの中のティーポットを弱火で火にかけているような、もどかしくも切ない尿意。ポットの口ぎりぎりまで注がれた秘密のレモンティーは今にもぐらぐら沸騰し、縁を超えて吹きこぼれ溢れ出してしまいそうだ。いや、その程度のちょっとしたあふれ出しならまだいい。もしポットが倒れ、中身が全部撒き散らされてしまうようなことがあれば……
 自分の意志とは無関係にヒクつきはじめる排泄孔を、エプロンの布地をぎゅっとつかむことでなだめ、詩織は浅く息を繰り返し、危険水位を突破しつつあるダムの決壊を防ぐ。
「はぁ……っ」
 ぐっと我慢をし通し、なんとか小康状態を取り戻した下半身に、わずかな安堵の息をこぼす詩織。
 この切羽詰った事態を解決するためには、とれる手段はひとつだけ。とにかく一刻も早くトイレまで戻ることである。それ以外に助かる方法はないのは明白だった。
「お姉ちゃん、ほらぁ、早く!!」
「う、うん……」
「ねえお姉ちゃん、こっち来てこっち!!」
 しかし、目を輝かせる園児達が、まるで四方から詩織を奪い合うようにエプロンを掴み、放さない。みんな大好きな『おねえちゃん』と一緒に遊びたくてたまらないのだ。下手に拒絶すれば、大騒ぎに発展しかねない。
(っ……まだ、先生戻ってこないの……?)
 園長先生か、城崎先生。せめてもう一人、先生が遊びに参加してくれれば抜けだすチャンスもある。しかし詩織の大ピンチにも関わらず、助けが駆け付けてくれる様子はない。
 なみなみと注がれた恥ずかしい液体で下腹部を膨らませ、いまもたぷたぷと揺れるおしっこの存在感はあまりに重く、忘れてしまおうとすることもできない。なんど考えまいとしても、腰骨に響く甘い痺れは、避けられない排泄の瞬間を思い起こさせるばかりだった。
 遠くない爆発の瞬間をせめて少しでも先延ばしにしようと、詩織はサンダルのかかとをぐりぐりと地面に押し付ける。軽く腕をつねって痛みでごまかす。しかし、そんな抵抗を繰り返してもおなかにずっしりとかかるおしっこの重みは消えてくれない。当たり前だ。
「おーねーえーちゃーんーーっ!?」
「ふあぁ!?」
 その瞬間だった。詩織が相手をしてくれないことに痺れを切らしたリョウタが、詩織の背中にジャンプして抱き付いたのだ。詩織がおなかのなかで暴れそうになるおしっこに対する備えのためぐっと縮こまっていたのも状況を悪化させた。
 ぐらりと揺れた詩織の身体は、たたらを踏みふらふらとバランスを崩す。
(い、嫌ぁ……っ!?)
 もともと、ぎりぎりのところで保たれていた均衡だ。破られてしまえば後はすさまじい勢いで崩壊が始まってゆく。
 脚の間に巻き込んでいたスカートが乱れ、反射的に体重を支えようとした脚が広がってしまう。程良く開いた脚の幅は、スカートの奥で剥き出しの排泄孔を刺激し、その奥の膀胱を致命的な角度できゅぅと絞り上げた。
(や、やだっ、っ……っ、でちゃ…っ!!)
 詩織はとっさに悲鳴を上げかけた口元を噤む。
 ただの『しゃがんでいるだけのポーズ』から、『おしっこをするためのポーズ』へ。些細な変化は、しかし爆発的に詩織の尿意を爆発させる。追い討ちをかけるように、閉じ合わせていた内腿に外気が触れ、ぞくぞくとイケナイ感覚を加速させた。
 排泄孔が内側から高まる尿意の圧力に耐えかね、自然にぷくりと膨らむ。
「あ……はぅっ……っ!!」
(だ、め、来ちゃう、次の来ちゃうっ!! せ、せっかくさっき、我慢できたのにっ!!)
 たちまちおしっこ我慢の真剣勝負、緊迫の綱引きに直面する詩織をよそに、リョウタとアカネは大好きな『おねえちゃん』の所有権を巡って取り合いをはじめてしまう。
「ねーえーっ!! おねえちゃん!! だからこっちだってばぁ!!」
「なによ、おねえちゃんはあたしとあそんでるんだよ!? 邪魔しないで!!」
「ちがうよ、ボクとだよっ!! そっちこそじゃまするなよ!!」
「うーそーだー!! ちがうもんっ!!」
 とうとう言い合いは怒鳴りあいのケンカに発展してしまった。リョウタとアカネは、それぞれに詩織の手を取って、乱暴にぐいぐいと引っ張りあう。まるで詩織を独り占めしてしまうかのようで、腕が引っこ抜けても構わないとばかりの剣幕だった。
「や……だめ、やめてぇ……!!」
 か細い声で詩織が抵抗する。だが、リョウタもアカネもまるで意に介さない。
「はなせよー!! おねえちゃんがかわいそうだろー!!」
「リョウタがいじわるしてるんじゃない!! あんたこそどっかで遊べばいいのよ!!」
 いや、詩織は決してケンカの仲裁のために声を上げたのではなかった。
(っ、だ、だめ、でちゃう、でちゃうっ、でちゃうぅ!!! おしっこっ、と、トイレっ、は、はやくぅ……っっ!!)
 やさしく諭すべき言葉は押し寄せる尿意の津波に掻き消され、詩織はただただ漏れそうなおしっこを塞き止めることに全力を割かねばならなかった。
(このままじゃ……オモラシ……、や、やだ!! みんなの前で、おしっこなんか……ダメっ、ぜったいダメ……っ!!)
 叫ぶ理性とは裏腹に、猛烈な尿意が詩織の下半身を占領してゆく。ぶるぶると震える膝で爪先を地面にねじつけ、前後に揺れる腰がひく、ひくと持ちあがる。不自然に力の入ったふくらはぎと内腿が痙攣し、詩織が唇を噛むたびに小刻みに跳ねる。
 だが、いまにも爆発しそうな股間へ即座に応援に駆けつけるべき両手は、それぞれリョウタとアカネにしっかりと掴まれている。いくら緊急事態、火事場の馬鹿力をもってしても、園児一人が体重をありったけ預けてぶら下がるのを持ち上げるだけの力は詩織にはない。なりふり構わず股間を握り締めることも許されず、エプロンの下で詩織の脚は激しく擦り合わられ、ヒビの入り始めた恥骨の上のダムの決壊を必死に押さえ込もうとする。
「おねえちゃんはボクとあそんでたほうがいいよね!?」
「ちがうもん、おねえちゃんはあたしと遊ぶの!!」
 そんな限界寸前の詩織にはまるで気付かず、ふたりは口々に詩織に問いかけた。大好きな『おねえちゃん』を奪われたくない一心で、リョウタもアカネも自分の方に詩織を引き寄せようと、地面に足を踏ん張ってその手を引く。
 倒れないようにと不必要に緊張した下半身が、さらに詩織の股間に不必要な刺激を伝播し括約筋を緩めてしまう。
「あ、あ、ぁッ……だめ、でちゃ、ぅ……っ!!」
 いや増す尿意の限界は、とうとう少女の喉を震わせた。
 激しく足を踏み鳴らした反動で、スカートはいつしか膝下まで捲れ上がり、エプロンの下に空間を開けている。視線を低くして覗き込もうとすれば、詩織の大切な場所は丸見えだった。羞恥に身体をくねらせるも、それ以上の身動きは許されない。
 詩織の足元には砂場が広がり、いつでも詩織のおしっこを受けとめられる状態にあった。
 もはやこれは疑いようもない『おしっこのポーズ』だ。トイレの中、鍵をかけた個室の中でだけ許される、排泄の準備が、なんと屋外、しかも園児たちの多数の視線が交わる砂場の上で進んでゆく。恥辱に顔を染める詩織は、とうとう声を荒げてしまった。
「お、お願い、放して……はなしてぇ……っ!! っ、でちゃ、うぅ!!」
 これまで消極的だった『おねえちゃん』の突然の豹変に、リョウタとアカネはびっくりして目を丸くした。ふたりが同時に手を離し、詩織は待ち焦がれていた両手の自由を取り戻す。
 だが――詩織はそのまま切なくヒクつく股間をぎゅううっと握り締めることも、紅潮した頬を隠して立ち上がり、トイレを目指して駆け出すこともできなかった。
 事態はさらに急変する。
「や……ぁっ!!」
 これまでリョウタとアカネに引っ張られていた左右の手がいきなり空を掻いた為、詩織は派手にバランスを崩した。もともと詩織の脚はもうただ寄せ合わされ擦り合わされるばかりで、おしっこの重みに耐えかねまともに立つ事も難しかったのだ。
 ぐらりと傾いだ身体を支えようと、反射的に伸びた詩織の両手が砂のお城に突っ込んだ。
「あーーーーっ!! おねえちゃんっ!!」
「あーあああーーっ!!」
 前代未聞の大きさを誇りながらも、さしもの詩織の体重を支えるには不十分だったのだろう。お城は詩織が手をついた場所から大きく崩れてしまう。
 大好きな『おねえちゃん』が、あろうことかみんなのお城を崩してしまったことに、園児達がいっせいに非難の声を上げた。
 だが、詩織はそれどころではない。
(っ、ダメ、でちゃう、……もぅ、げんか…い……っ……しちゃう……おしっこ、ここでしちゃうっ……、みんな、いるのにっ……で、でるとこ、いっぱいでるとこ、見られちゃうぅ……!!)
「ぁあんっ……やだっ、だめっ、だめええっ!!」
 長い間しゃがみ込まされていたせいで足はしびれ、思うように少女の体重を支えてくれなかった。砂山のお城に両手で体重を預けたまま、詩織は完全に動けなくなってしまう。それでも少女は健気に、耐え切れるはずもない尿意に対し、辛うじて脚の付け根の筋肉だけで、じわじわと漏れ出すおしっこを塞き止めようとする。
 みんなの『おねえちゃん』である自分は、そのお手本にならなければならない。
 絶対にこんなところでおしっこをするわけにはいかないのだ。つとめて忘れようとしていた、3年前の記憶が詩織の心に蘇る。
 詩織のなかでは、もう『なかったこと』になっていた――中学生のときの大失敗が。
「もう、もうしないのに……今度こそ、ちゃんと『おねえちゃん』になったのにぃ……っ!! オモラシ、だめなのにぃ……!!」
「え……」
「おねえちゃん? ……おトイレ行きたいの?」
 ようやく詩織の様子がおかしいことに気付いたアカネが、きょとんと聞き返す。リョウタも驚いたまま、真っ赤になって俯いた詩織の顔を覗きこもうとする。
(いやぁ……っ、だめ、だめええっ)

 ぴゅるるるぅ!! じゅ、じゅぅ!

 いやいやをするように首を振った詩織の脳裏を、バスの中の光景と共に溢れ出した悪夢が埋め尽くす。
 閉じ合わせた内腿の間に、あたたかい雫が広がる。ぎゅっと締め付ける排泄孔の隙間から勝手におしっこが漏れ出して、激しい水流は腰をよじる詩織の股間でびちゃびちゃと跳ね回る。

 ぷしゅるっ、ぱた、じゅじゅっ、じょおお!!

 断続的に噴き出す黄色いおしっこが、砂場の地面を激しく打った。なんとかしておしっこを止めようとする詩織の努力は、かえって括約筋をうねらせ一回一回のおしっこの勢いを増していた。まるでのたうつ蛇のように、たちまちすさまじい勢いを得た水流が、詩織の足元にばちゃばちゃと撒き散らされてゆく。砂場は水をすって激しく掻き混ぜられ、泥と泡の浮かぶ水たまりを広げ始めた。
「ああっ、おねえちゃんオシッコしてるっ! オシッコしてるよっ!!」
「おねえちゃんおしっこだ、オモラシだよ!!」
 アカネとリョウタが揃って気付き、園児達は声を上げながら砂場から飛び出した。
「ち、ちがうのっ、ちがうのぉっ!! おしっこ、でちゃうけど、……もう、おねえちゃんだから、オモラシしないの、オモラシしてないもんっ!! ぁあああぅぅう……っ!! ほ、ほら、ぱ、ぱんつだって、汚してないんだからぁ……!!」
 混乱の中、3年前の悪夢を否定するあまりに、詩織は自ら屋外での排泄を認めてしまう。
 詩織ははげしく腰を振っておしっこを塞き止めようとしたが、一度始まった少女のおしっこが止まるわけもない。両手が塞がったまま動こうとしたせいで詩織はさらにバランスを崩し、お城の上半分を押し倒してしまった。園児達が再び不満をあらわに大きく叫ぶ。
 そして、なおも吹き出し続ける詩織のおしっこは、残るお城の土台、根元の部分を勢い良く直撃し、たちまちのうちにお城の入り口をえぐってゆく。
 詩織が必死になって我慢を続けたせいか、股間から吹きあがる水流はまるでホースの先端を潰して庭に水をまくかのような激しい勢いだった。まるで怪獣の吐く光線で吹き飛ぶように、お城があとかたもなく消えてゆく。
 詩織の猛烈なおしっこの前には、園児達みんなが力を併せた巨大なお城もまるで歯が立たない。みんなの憧れの『おねえちゃん』は、瞬時に暴れん坊の嫌われもの、オモラシっ子に変貌してしまった。
「おねえちゃんオシッコだめ!! 止めて!! お城くずれちゃう!!」
「そうだよ、ガマンしてよ!! おねえちゃん、もうおねえちゃんなんだからちゃんとトイレでしなきゃだめだよ!!」
「あーーんっ!! あたしのお人形、おねえちゃんにオシッコひっかけられてるぅ!!」
「ひっどーい!! オモラシおねえちゃん!!」
「オシッコ怪獣だよ!! お城ぜんぶこわしちゃった!!」
「うぇ、きたねー!! どうすんだよ、もう遊べないじゃんかー!!」
 園児たちが口々に叫ぶ。みんなの努力を破壊しつくす『オシッコ怪獣』を退治しようと、園児たちは精一杯の視線を詩織に投げつけた。
「やだ、とまって、止まってぇ……!!!」
(おトイレ…しちゃうっ……み、みんなのお砂場、おトイレにしちゃってるぅ……!!)

 じゅじゅじゅじゅっ、ぶじゅじゅじゅじゅぅぅうぅっ!!
 
 あまりにも盛大な『おねえちゃん』が、あろうことかお外ではじめたおしっこに、園児達の大部分は激しく非難を繰り返す。日ごろ自分たちのトイレのことは気にしていても、詩織のように大きな『おねえちゃん』が目の前でおしっこをするなんて考えられないのだろう。
「おねえちゃん、どうしておトイレいかなかったの? おトイレじゃないところでおしっこしたらいけないんだよー?」
「そうだよ、おねえちゃん、せんせいにはい、オシッコいきたいですって言えなかったの? ダメだよ? あたしだってちゃんと言えるのにー!!」
 そんな中でリョウタとアカネは次々に詩織に話しかける。だが、ふたりにとってはおそらく悪気のない一言が、詩織の羞恥心を無残なまでにえぐってゆく。もう二度としないと誓っていたオモラシが、こんな最悪の形で起きるなんて、夢だと信じたかった。
 たとえ下着は濡れていなくとも、おしっこを我慢できなかったのだからオモラシと同じことだ。

 ぶじゅじゅぶぶぶぼぼぼぼじゅぼぼぼぼっ、じょろぼじゅるぶぼぼぼぼぼっ……

「ぐすっ……終わって、はやく終わってよぉ……っ!! やだ、もうやだぁ……!!」
 一体どれだけを我慢し続けてきたのかと言わんばかりに、詩織のおしっこは一向に止まらない。それがまるで、ずっとずっと『おしっこ』を言いだせなかった、トイレのしつけもなっていないことの証明のようで、詩織は泣きじゃくりながら腰を振りたてる。
 見事にそびえていたお城は見る影もなく崩れ、詩織の作り出した大きな大きなおしっこの湖の中に沈んでゆく。『オシッコ怪獣』の大暴れはまだまだ続く。これくらいじゃ物足りないと吠え、足でぐちゃぐちゃとおしっこと砂でできた泥をかき回す。
 流れ出した河は砂場を大きく流れ、真っ黒に濁っては白い泡を立ててどこまでもどこまでも続いていった。



(初出:書き下ろし 2008/02/29)

 
[ 2008/02/29 22:46 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
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