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ジョギングのお話。 

 
「……っ、と、終わりーっ」
 目標としているサイクリングロードの三周目。たん、と最後の一歩を刻んで、理沙は公園入り口の石畳の上に立った。ゆっくりと両足を曲げ伸ばし、整理運動を開始する。
 田辺理沙。中学二年、14歳。
 どことなく猫を思わせるショートカットが似合う、健康そうな少女だった。
 陸上をはじめて1年の身体は、運動を欠かさない割には細く柔らかい。青色のジャージの下でも分かるほどにしなやかな力強さを始めていた肢体は、やがて彼女が魅力的な女性へと変貌することを窺わせた。
 大きく深呼吸三回で息を整えて、スポーツバッグの中からタオルを取りだした。
 冬休みに入って随分寒い日が多くなった、日課のトレーニングを終えても、汗はほんの少し襟足と額に滲むくらいですぐに引いてしまう。
 理沙は財布を手に近くの自動販売機まで歩くと、百円玉を2枚押しこんで、並ぶ清涼飲料の中から500ml入りのスポーツ飲料のペットボトルのボタンを押した。がこん、と落ちてきたペットボトルを手に取り、封を切って口を付ける。
「んっ、んっ、んっ……」
 良く冷えたほの白い半透明の液体が、見る見るうちに減ってゆく。喉を落ちてゆく冷たい感触に身体の熱が冷まされて心地いい。
「ふは……っ!! 生き返るーーっ!!」
 一息で中身を飲み終えた理沙は、空になったペットボトルをごみ箱に放りこみ、もう一本同じスポーツ飲料を買った。再び口をつけ――今度は3分の2ほどを残して息をつく。
 きゅ、と蓋を締めたペットボトルをタオルと一緒にスポーツバッグに放りこみ、理沙はうぅん、と腰を伸ばした。
「さて、おしまいっ」
 腰を捻り、アキレス腱を伸ばす。さくっと整理運動を終わりにして早朝の自主トレは完了する。
 身体を落ち着けるため公園の中ほどまで歩いたところで、理沙はぞくっと背中を走る感覚に身を震わせた。さっきまではほとんど気にもならなかったのだが、
(……あっ)
 下半身につぅん、と軽い尿意を感じる。
 今日の冷え込みでいつもより早く身体が冷えてしまったせいだろうか、普段ならこんな事は滅多にないのだが。
「トイレ、寄ってこ……」
 公園にトイレは3ヶ所あり、そのうち一番近い場所でも理沙の帰り道とは少し方向が違っていた、急ぎ足で5分ほどだろうか。それでも家までの距離を考えれば遥かに近い。
 寒空の下で急に切羽詰り始めた尿意に押されるように、理沙は足を速めた。





 ……だが。
「あちゃー……」
 小さな白の建物を前に、理沙は額を覆う。
 古びて煤けた外観の女性用トイレのにはぐるぐると黄色いテープが巻かれ、故障中、使用禁止、と張り紙があった。何があったの分からないが、壁や地面のコンクリートにヒビが入り、入り口は無残に崩れかけている。
 使用禁止、どころか中に入るのもためらわれるほどだ。
「うあ、こっちもダメなんだ……」
 裏に回った男性トイレの方にも同様の処置が成されていた。誰も見てなければ、とイケナイ事を企んだ理沙だったが、その望みもあっさり断たれて肩を落とす。
 トイレに入れないという事が解った途端、少女の自律神経は強く尿意を意識し始めていた。ジャージに包まれた理沙の足が小刻みにステップを刻み出す。
「むー。ついてないなぁ」
 今すぐ家に戻るか、それとも別のトイレまで行くか。どちらにしても今まで来た道を戻らねばならない。
 失敗したなぁ、とつぶやく理沙に冷えた朝の空気が理沙にぶつかってくる。頬を凍りつかせるような風の冷たさに、少女の身体は小さく震える。
 元来た道を戻り始めた理沙の下腹に、つぅんと走るむず痒い感覚が走る。
 それは、先程の波に比べてもかなり大きなものに変わっていた。
(……う、けっこう……やばい、かも)
 きょろきょろと周囲を見回して、人の目のない事を確認してから。理沙はそっとジャージの右手を足の付け根に沿える。柔らかな青の布地の下で、理沙の下腹部は思いのほかきつく張っていた。
「帰ろ……」
 そわそわと落ちつかない腰を抱えながら、理沙は家への帰途についた。
 信号を六つ、交差点を八つ。普段は二十分もかからない道のりが、今の理沙には随分と遠く感じられる。下腹に響く衝撃は嫌でも膀胱に溜めこまれたおしっこの重みを意識させ、立ち止まるたびに理沙を急き立てる。
 なかなか変わらない赤信号の前で、スニーカーの爪先で地面を交互に叩きながら、少女の足取りは落ちつかない。すれ違う人々が通りすぎるたびに、理沙は屈伸運動やその場駆け足をしているふりをしてそれをごまかした。
(……もーっ、ボロ信号、早く変わってよっ……)
 ちかり、ちかり。いつまでたっても点灯をためらう赤信号に、理沙の膀胱は弄ばれる。
(うー……っ、はやく、はやくっ……)
 スポーツバッグのなかで、ペットボトルに残った清涼飲料がちゃぽちゃぽと音を立てる。その水音が自分のおなかの中に溜まったおしっこを連想させて、理沙はますます腰をよじらせた。
「あんなに飲まなきゃよかったなぁ……」
 喉の渇きのために瞬く間に空にした清涼飲料の量を思い出しながら、後悔する理沙。だがもはや摂取してしまった水分を取り出す術など無く、手遅れでしかない。もちろん飲んでしまった分がこんなにすぐ外に出てくるわけがないが、冷えたスポーツ飲料と冬の気候は急速に少女の体温を奪い、同時に下腹部にたまり始めた熱量がじわりじわりとその勢力を拡大する。
 信号が変わるやいなや、理沙は横断歩道へと飛び出していた。できるだけ早足で、不自然にならないくらいの速度を保って先を急ぐ。
 最後の交差点を曲がり、家までの十数メートルの細い私道に入る。
「あぅ……っ。……トイレ、トイレっ……」
 きゅうんっ、と収縮する膀胱が、溜まったおしっこを外に押し出そうとしてくる。こみ上げてくる尿意が理沙の背筋を震わせる。だがもう家のドアは目の前だ。ドアを開け靴を脱いで玄関に上がって、廊下を横切りトイレの個室に入ってジャージとスパッツを下着と一緒に引き下げて便座に腰を下ろす。全ての動作が完了するまでもう1分もかからない。それで楽になれるのだ。
 あと少し、あと少し、と小さく口の中で繰り返しながら、理沙は小走りに玄関前の階段を駆け上がり、ドアに手をかけた。――しかし、

 がこん。

「え……っ!?」
 信じられない手応えと音に、理沙は思わず声を上げていた。もう一度力を込め、ノブを引く。だが、重く閉ざされたドアは玄関には固く施錠されており、いくら引っ張ってもびくともしなかった。
「ちょ、ちょっとっ、うそっ」
 がこ、がこ、がこんっ。
 ドアチャイムを鳴らし、やや乱暴にドアを叩き、なおも数度ノブを引いても。家の中からは何の応答もありはしなかった。理沙の顔からゆっくりと血の気が引いてゆく。
 同時、ぞくん! と激しい尿意が少女の背筋を貫いた。たまらずジャージの膝を寄せ合わせ、理沙はもじもじとおしりを突き出す。
「ぅ……ふ、くぅっ……」
 きゅううううんっ、とひときわ強く膀胱が身悶えし、排泄を促す刺激が下半身を貫く。冬の朝の気温もそれを手伝って、理沙はぶるりと身体を震わせた。すでに下腹部の重みはかなりのものに達しており、そう遠くないうちに限界が訪れてしまうだろうことは予想に難くない。理沙は腿の辺りのジャージをぎゅっと握り、おしっこ我慢のステップを繰り返しながら、ドア横のガラス窓を覗き込む。
 一体、こんな朝から母親はどこに出掛けたのだろう。少女は愚痴と共に玄関前をうろついてみるが、家の中に気配は無かった。一通り鉢植えの下などを調べてみるが、合鍵が隠されている様子もない。
 ……そしてさらに都合の悪いことに、いつもならお財布と一緒の鍵は今現在理沙の部屋の机の上だ。
「もうっ、なにこれ……最悪っ」
 もじもじと、脚を交差させてうめく理沙。
 もし、本当に母親が出かけたのだとしたら、普段鍵を持ち歩いている理沙に遠慮する事はないだろう。
 理沙の母親は携帯を持たない習慣なので、連絡のつけようがないのだ。
「うぅー……ひどいよお母さん……」
 庭に出て、落ちつかない足取りのまま順番に窓を見て回る。しかしここもやっぱりしっかりと鍵がかかっており、いくら指をかけても帰ってくるのは硬い手応えだけだった。
 裏庭に回りこんだ理沙は震える爪先立ちで背伸びをし、バスルームの窓を覗く。曇りガラスの向こうに覗く小さなクリーム色の扉が、理沙を誘惑していた。あそここそが田辺家のトイレであり、今の理沙にとって魅惑の場所であった。
 排泄をするために作られた設備は、硬く閉じられた窓の向こう。今もなお彼女を苦しめつづけているおしっこを出すことのできる場所がとてつもなく遠い。
 その事実を確認するだけで、理沙の膀胱はきゅぅう、と絞り上げられるようだった。

 じぃんっ、きゅうううっ。

「やば……我慢、できないかも……っ」
 じんじんと響く尿意は、1秒を数えるごとに膨れ上がってゆく。一呼吸ごとに進む新陳代謝が、理沙の全身を巡る水分を濾過して生産したおしっこが、少女の身体の一箇所に集まって圧力を増してくる。
「…………っ」
 理沙の心は羞恥と理性、そして刻一刻と迫る崩壊の時を控える尿意の間で激しく揺れていた。
 かぁっ、と顔に血が上ってゆくのが解る。ばくばくと跳ねあがる心臓が、自分が始めようとしていることへの決心を、イケナイことだと警告している。
「でも……どうしよっ……やっぱり、その……フカコウリョクって言葉もあるしっ……」
 迫り来る尿意に圧倒されるように、理沙は頭の中から理性と常識を追い出して、下腹部を支配する欲求のままにゆっくりと腰を沈めはじめる。
 理沙は何度も何度も慎重に周囲を見回して、誰の視線もない事を確認する。これから始めることは、理沙の人生で一度も経験したことのないくらいに恥ずかしいことで、少なくともこれまでの常識の中で、絶対にしてはいけないこと、のひとつである。
 だが、自分の家の裏庭で、しかも壁一枚隔てた向こうにトイレを見ながら、少女の忍耐は限界に達しようとしていた。
「仕方ないよね……もう、ガマン無理っぽいし……」
 田辺家の庭は生垣で周囲から隠されている。敷き詰められた芝生は、冬の間にすっかり色褪せて、枯れ草色の絨毯に変わっていた。ここなら、たとえバケツをひっくり返してもすぐに地面が吸収してくれるだろう。
 ジャージにかけた手が下に降り始める。理沙は自分の下半身を覆う衣服をまとめてずり下げながら、緊張で荒がる息を押さえ、つばを飲み込んだ。唇を噛みながら羞恥に頬を染め、大事な所を丸出しにした地面の上にしゃがみ込んだ。
 そう。理沙の決めた覚悟とは、ここで――用を足してしまうこと。
 身体に溜まった老廃物の排泄――それも、トイレまでほんの数メートルの、自分の家の庭でおしっこをする決意だった。
「うぅっ……恥ずかしいよぉ……」
 蚊の鳴くような声で俯いてしまう理沙。むき出しになった少女の排泄孔が、内圧に屈するようにひくひくと震える。
 と――。

 わふ。わふっ。

「うわぁっ!?」
 いきなりの鳴き声に、理沙は跳びあがるようにしてジャージのズボンを引き上げて立ち上がった。
 もう少しで始まっていたおしっこを中断されたことに驚愕3割、怒り7割で降り返れば。

 わふわふっ!! わぉんっ!!

「なんだ……もー、脅かさないでよシローっ!!」
 じゃらりと鎖が地面擦る。首輪から鎖を引きずった田辺家飼い犬のシローが、壁からひょこんと顔を覗かせていた。さっきまでは小屋の中だったというのに、どうやら理沙の気配で目を覚ましてしまったらしい。
 はふはふと舌を出して、シローは理沙に熱い視線を送っている。今日は誰も散歩に連れていってくれなかったのだろう。
「あとちょっとだったのに……シローのばかっ!!」
 ぱんぱんに張った下腹部を撫でながら、理沙はいまにも飛びかかってきそうなシローに文句を言う。
 一度排泄をやめてしまったせいで、理沙の頭にはせっかく追い出した理性と常識が戻ってきてしまい、もうここでおしっこをする気にはなれなかった。少なくともあんなに元気よくシローが騒いでいる前でそんなことできっこない。たとえ犬だって見られるのは恥ずかしいし、理沙がヘンなことを始めてシローがずっと騒ぎっぱなしだったらご近所さんが不審に思い始めるかもしれない。第一、シローだって自分の小屋や庭なんかでおしっこしたりはしない。ちゃんと散歩に行くまでじっと我慢している、
 それを、もう中学生の理沙が、自分の家の庭でおしっこだなんて。
「お散歩? ……ごめんシロー、今日ちょっとダメなの……ぁんっ……」
 くねくねと腰を揺すりながら、理沙はシローをなだめる。その間にも、弄ばれた理沙の尿意は次第に強烈なものへと変貌し始めていた。
(うぅ……どうしよぉ……っ」
 唇をかんでもじもじと太腿を寄せる少女の背中は、知らないうちに前かがみになってお尻を突き出すような格好に変わっている。排泄孔までの距離が短い女の子は、おしっこを我慢するときにはどうしても身体全体でこんな恥ずかしいポーズを取らなければいけなくなるのだ。
 理沙は頭の中の地図帳をめくって、近くにあるトイレを検索する。
(他のトイレ……公園だとまた壊れてたりしたらやだし……まだお店もあいてないし……駅……は遠すぎるし……やっぱり……学校まで、がまんしなきゃダメなの……?)
 どれだけ考えても、一番安全にトイレに入れる場所はそこしかない。
 窓のすぐ向こうにあるトイレを眺めながら、理沙はそんな悲壮な決意をするしかなかった。





 ひょい、と持ちあがった右足が左の爪先の前に下ろされる。ジャージの裾に当てられた手のひらは、さりげなく股間を気にしているのだろうが、その皺の入り具合から、そろそろさりげなく、とは呼べなくなっていた。
 大股で数穂を進み、とんとんとスニーカーの爪先で地面を叩き、小刻みにかかとを踏み鳴らす。
 きつくきつく交差された足の間で膝がかくかくと揺れる。
「はぁ、はぁはぁ……」
 風に混じり、荒い吐息がかすかに漏れ聞こえる。
 右から左、左から右、体重を預ける脚を数秒に一度のペースで変えて、理沙はジャージの上着の裾をぎゅっと握り締めた。
(んぁっ……でちゃう……)
 背筋を怖気が走り、スポーツバッグの中に残ったスポーツ飲料をちゃぽん、と揺らした。閉じ込められて容器にぶつかり揺れる水音は、たったいま理沙のおなかの中で繰り広げられている光景をそのまま象徴しているかのようだった。
 空色のジャージと紺のスパッツの奥。穢れを知らない少女の肢体を襲う下品な衝動は、理沙の苦悶を楽しむかのようにじわじわと勢力を増していた。
 もはや、人前で平静を取り繕う余裕もない。さすがに股間を握り締めるような真似はできないが、そろそろと下腹部に伸びてゆく手を止めることができない。ジャージの上から、おしっこげぱんぱんに張った下腹部をそっと撫でる。できるだけさりげなく、なんでもない風を装って。

 ――ちゃぷん、じゃぽっ、

(うぁっ……ふぅうっ……したい、したいよぉ、おしっこしたいいっ!!)
 だが、理沙のそんな必死の努力もむなしく。
 彼女がぎゅうっと寄せた膝の奥でおしっこを我慢し、こみ上げてくる尿意を必死に堪えていることなど、不自然に力の入った股間やせわしなく擦り合わされる膝を見れば一目瞭然であった。
 交差点の反対側の学生から、通りすぎる自転車の上の少年たちから、隣に並び信号を待つ会社員から、何気ない視線が寄せられている。
 うっすらと日焼けしたうなじがじっとりと汗ばみ、ほつれた襟足を張りつかせている。俯きがちな少女が尿意を堪えているのは、もはや誰の目にも明らかだった。
(やだっ、見ないでっ・……なんでも、なんでもないんだからねっ!? ……は、早く、はやくっ……おトイレ、トイレ行っておしっこしないと……おしっこ、でちゃううっ……漏れちゃうよぉっ……)
 激しく収縮する膀胱に、理沙はぁぅっ、と切なげなため息をこぼす。元気いっぱいの陸上少女が普段見せもしない艶かしい声だ。
 おなかを圧迫するおしっこによって、早朝から強いられ続けてきた我慢劇は、理沙に普段馴染まない“おんなのこ”な振る舞いを強制してくる。
(やだっ……なんで、わたし、こんなにっ……)
 横断歩道のすぐ手前、交差点に並ぶ人達の先頭で身体を小さく縮めて震えるジャージ姿の少女。それは恐らく、好機の視線の対象となるに十分な存在であることは、理沙にもおぼろげながら理解できている。
 集まる視線がちくちくと羞恥心を刺激し、それはますます理沙の尿意を強めていった。

 ひくんっ、びくっ!!

「んふうぅっ……うあっ……」
 ひときわ強い尿意に理沙が身体を硬直させた瞬間、信号がちかりと切り替わる。
(あ……だ、だめっ、まだダメえっ……!!)
 一斉に進み始める人ごみに急かされるように、理沙は反射的に脚を進めてしまっていた。途端、ぎりぎりのところで押しとどめられていたダムの水門にヒビが入る。

 ひく、しゅ、しゅるるっ……じぅうっ……

(やだ、っでちゃうでちゃうでちゃうううぅーーーーっ!!!)
 すんでの所で悲鳴だけは胸中に飲み込み、理沙はジャージの間に両手を突っ込んだ。こんな所でおもらしだなんて、中学生の女の子には絶対に許されない。決壊を防ぐため括約筋に渾身の力をこめて抵抗する理沙。
 しかし、がくがくと震える膝が言うことを聞かない。じわぁ、と下着に広がったおしっこがジャージの上まで染みだして、股間を握り締めた理沙の手のひらを汚す。そうしてとうとう、理沙は横断歩道の真ん中ででしゃがみ込んでしまった。
(ダメっ、こんなところでおしっこなんか……ダメなのにっ……ここ、トイレじゃないのにっ……おもらし、おもらししちゃううっ……おしっこ、おしっこしたいっ……おしっこでる、でちゃうよぉおっ……!!)
 横断歩道のなかで膝を抱え震える少女を、通りすぎる人々は不審げな視線で見詰める。たった今自分がおしっこをチビらせながら、全部でしまいそうな恥ずかしい熱湯が吹き出すのを必死に先延ばしにしているのを知られてしまった理沙の顔から火が出る。
「ふ、ぐうっううっ……」
 意地、だった。
 こんなところで、あんな大勢のヒトのいる往来で失敗だけはできない。動けば我慢できない、と解っていながら、理沙は強引に立ちあがり無理矢理駆け出していた。





 限界はすぐにやってきた。手近な路地に飛びこんだのは、近道でもなんでもなく、もう本当に我慢ができなかったから。
 ひんやりとした日陰の空気をかき乱し、荒い息をつきながら理沙は路地の隅っこに再びしゃがみ込んでしまう。
 しゅ、ぷしゅる……じゅっ……
「ダメぇ……でないで、でないでよぉ……」
 腰を揺らしての懇願もむなしく、既に辛抱をなくした少女の排泄孔はだらしなく緩み、湿った下着の中にさらにおしっこを追加する。普通にまっすぐ立っていることも苦痛だった。もう中腰かしゃがんだような姿勢を保つことでしか、理沙はこみ上げてくる尿意に耐えられない。
 じんっ、と恥骨に響く刺激に追い立てられ、理沙は必死に周囲を見回す。
(おしっこ……おしっこ、する、しちゃううっ……)
 その思考はもはや、少女としてのプライドを棄てたものだった。薄暗い路地裏に、理沙は排泄の為にもっとも適した場所を捜す。もちろん、こんな場所に用を足すべくして作られた本来の設備があるはずはない。
 切羽詰った理沙は、屋外で放尿しても一番人目のつかない場所を捜しているだけだった。
(うくっ……ヤバっ……また、さっきっみたいのがきちゃいそう……っ)
 膀胱の内部で圧迫されたおしっこが、出口を求めて渦を巻く。きゅんっ、と収縮の予兆を見せる下腹部が、理沙の羞恥心を激しく煽った。
 だが、どれだけ辺りを見回してもそこは道の真ん中で、地面は側溝すら見当たらない堅固なコンクリートだ。水を吸いこんでくれる可能性など万に一つもない。しゃがみ込んだ理沙の大切なところから勢い良く吹き出したおしっこは、そのままコンクリートを黒く染めて、川みたいに流れて広がってしまうだろう。
 いくら路地裏でも人通りはある。ここから出入りする人だっているだろう。そのとき、隅っこに雨も降っていないのに大きな大きな水溜りができてしまっていれば。ここで誰かが我慢できずにおしっこをしてしまったことなどすぐに知れる。
 そして、理沙がおしっこを必死に我慢しているのは、この辺り一帯を歩いていた人達にしっかり見られてしまっているのだ。
 きゅうんっ、きゅうううんっ……
 恥骨に衝撃が走る。むず痒さを数十倍したような尿意の塊が、少女の胎内から排泄孔までを駆け巡る。
(あぅぅっ……ダメ、ダメえっ……来ないで、来ないでえっ…、今は来ちゃったらっ、ホントにっ……ダメえええっ)
 さっきですら路上の真ん中で恥も外聞もなくしゃがみ込み、ジャージの股間に染みを作ってしまったほどだ。次の波がきた時、それに対抗できる自信などない。理沙は迫り来る尿意に腰をよじりながら、股間に突っ込んだ指をせわしなく前後させる。
 きつく閉じ合わせたジャージの股間をきゅぅ、と押さえ、理沙は身体を竦ませた。くねくねと落ち着きのないスパッツの下で我慢に震えるおんなのこの排泄孔は、下腹部のティーポットいっぱいに注ぎ込まれたおしっこで溢れそうだ。
(おしっこ、おしっこできるところっ……おしっこ出してもだいじょうぶなところっ……)
 しくん、しくんと高まり続ける尿意を堪えながら、理沙は必死に辺りを見回す。だが隙間なく敷設された区画には排水溝どころか土の見える地面すらない。膀胱一杯に詰まっているおしっこができる場所など見つからなかった。
(や、やだぁっ、おしっこ、でちゃぅ、でちゃううっ……おもらししちゃううっ……)
 寄せては返す尿意の大波。少女の幼い身体の中で、恥ずかしいおしっこがざぱりざぱりと揺れている。細く引き絞られた括約筋の隙間から、少しずつじわりじわりと滲み出していた。
 おしっこのできるところ。おしっこをこぼさずにいられる入れ物。
 今にも訪れるかもしれない大失敗の危機。尿意を堪えることだけで一杯になって、理沙の少女としての理性と羞恥心は麻痺し、思考は一種のパニック状態になっていた。
 普段の理沙ならば死んでもしないであろう、はしたない行動に出たのだった。
(っ……そうだっ……)
 理沙はスポーツバッグの中に手を突っ込んで、ペットボトルを引っ張り出した。少し泡だった半透明のスポーツ飲料がちゃぽん、と揺れる。この状況で揺れる水面を目にし、水音を耳にするのは理沙にとって耐えがたい苦痛ではあったが、完全に沸騰した理沙の理性はそれを無視する。
 耐久度、容量、防水性、どれも問題はない。
 そう、これなら――
(はやく、はやくっ……っ!!!)
 嫌悪感も羞恥心もどこかに消え失せていた。このペットボトルがあればおしっこができる。今も自分を苦しめている恥ずかしい熱湯を外に出してしまえるなら、理沙にはもう何だってよかった。
 理沙はペットボトルのキャップをもぎ取るように外し、口を付けた。半分以上残っている中身を一気に喉の奥へと流しこむ。
「うううっ……ぷはぁっ……えほっ……」
 喉が震えて、上手く飲み込むことができない。おしっこを我慢しながら、冷たいスポーツ飲料を飲むのはまさに、地獄のような苦しみだった。飲んだものがすぐおしっこに代わるわけではないが、今の理沙にとってこの行為は、もう縁ぎりぎりまで水の溜まったコップにさらに蛇口からの水流を注ぎ足しているのと同じ行為だ。
 ジュースを地面にこぼすのは簡単なことだったけれど、ここで理沙が“なにもしなかった”ことにするには、ひとつも証拠を残すわけにはいかない。味なんて解りもしないまま、理沙はペットボトルを空にする。
「うくぅっ……」
 そうしてすぐさま理沙はジャージを膝まで引き下ろし、スパッツと一緒にインナーも脱いで、おんなのこの大切な場所をあらわにする。冷たい風がひやりとお尻を撫でていく。
 理沙は路地裏の真ん中でしゃがみ込み、恥ずかしいおしっこのポーズをとった。どきどきと跳ねあがりそうになる鼓動を抑え、今にも誰かが通りがかるかもしれない、という想像を振り払う。爆発的にゆり戻されてくる羞恥心。それでもおしっこはもう我慢の限界で、いまから『やっぱりやめるっ!!』は通りそうにない。
 理沙は、小さな飲み口に、小さく震える排泄孔を近付けた。
 口をつける場所に、おしっこをするトコロを押しつけて。さっきしたことの正反対の事をしようとしている。
(うぅぅっ……)
 心臓がばくばく鳴って、顔に血を送りこんでくる。理沙の頭は羞恥で沸騰してしまいそうだった。
 だが、身体のほうはもうとっくに限界を迎えていて――

 ぷしゅるっ、じょろろっ、じゅごぉおおおおーーーっ。

「ああああああっ……やだ、やだあっ……」
 吹き出した水流が飲み口の中からペットボトルの底を直撃した。透明な容器の中で渦を巻いたおしっこは、水面を激しく波立たせ、泡を立てながら容器の中に収まってゆく。
(ぁううっ……わたし、すっごくヘンなことしてるっ……やだよ、やだよぉ……ヘンタイみたいっ……)
 静まりかえった路地裏では、容器に水流がぶつかる音がひどく大きく聞こえるようだった。理沙は羞恥に耳までを真っ赤に染め、おなかに力を篭めてしまう。すると一段とおしっこの勢いが強まって、じゃぼじゃぼとペットボトルに溜まった水面を乱す。
 トイレですらない場所、視界を遮るものもない路地の片隅で、さっきまで飲み物の入っていた入れ物におしっこをしている――そんなコトは、少女の常識からも、決してしてはならない行為のはずだった。

 きゅうぅうんっ、きゅうぅうっ。

「んぅうっ……く、ふぅうっ……」
 少女の膀胱は切なげに収縮を繰り返し、理沙の下腹部はさらにおしっこを搾り出そうとしてくる。それに伴って括約筋も甘く緩み、水門を全開にしようとむず痒さに似た感覚で理沙を誘惑する。それでも、細い飲み口におしっこをこぼさず流しこむためには、慎重に排泄孔を調節しおしっこの勢いを制御するしかない。それは必然的に排泄の時間を長引かせてしまうのだ。
(はやくっ……はやく終わってっ……)
 容量の限界に達した理沙のおしっこはいつまで経っても勢いを弱めようとしなかった。次々注ぎ込まれる水流に揺れるほの黄色い液体の水面は、ペットボトルの胴を超えて八分目よりも上に達しようとしている。
 自分の身体がこんなにたくさんのおしっこが溜めておけるなんて、知らなかった。
「ふぅ…ふぅ……ふううーーっ……」
 痺れるほどの解放感が背筋を走る。耐えに耐えた後の排泄で、理沙は快感にも近い感覚を覚えていた。その事実はさらに少女の羞恥をかきたてて、排泄孔をひくんと収縮させた。

 じゃぼっ、じゅるるじゅじゅじゅっ、じょぼぼぼぼ……

(……まだでてるっ……ぜんぜん止まんないよぉ……)
 おしりの方に回って飲み口に入りきらなかった分のおしっこが、ぽた、ぽた、とこぼれてペットボトルを伝ってゆく。容器を握り締める指にかかるおしっこの温かさに、理沙の胸はぎゅうっと締め付けられる。
 そして、なおも数十秒。
 長い長い時間を掛けて、ようやく理沙の排泄は終わりを告げた。まだ完全に膀胱を空にすることができなかったのか、下腹部にはじんっとした尿意の残滓が残っていたが、理沙はかろうじてペットボトルが一杯になる前におしっこを止めることができた。
「……うぅぅ、恥ずかしいよぉ……」
 中身がこぼれないように、ぎゅっ、と硬く蓋を締める。
 透明なペットボトルの中で、薄黄色の液体の表面が小さく泡立って揺れた。
 昨夜のうちに摂取した水分とさっき口にしたスポーツ飲料が、理沙の体でろ過されて作られた、世界でもっとも恥ずかしい液体。500mlの容器を楽に埋めてしまったその量が、理沙が羞恥の果てに耐え抜いた結果である。
「でも、こんなに……」
 一体どうやってこんな量を我慢できていたのか、理沙自身信じられなかった。
 実際に外に出した分を確認して、理沙は楽になった下腹部を撫でる。今までの我慢の残滓と、路地裏で排尿に及ぶという異常な状況にまだいくらか理沙の膀胱はトイレを要求していたが、今すぐ駆け込まなければならないほど切迫してはいない。
「……助かった…んだよね……」
 憂鬱な思考を納得させるため、理沙は汚れていた手の雫を振り払った。
 たとえ、用を足せたのが寒々しい路地裏で、場所がトイレでもなんでもない飲み物を入れる容器にだったとしても。街中でおもらしなどという大失敗にくらべればいくらかはマシだ。理沙はなおもこみ上げてくる羞恥心を押さえつけるため、自分にそう言い聞かせる。
 湿ったままの下着をジャージごとはき直し、汚れた手をティッシュで念入りに拭い清めて、理沙は大きく息をついた。
「どーしよ、これ……」
 改めて、それを眺める。
 清涼飲料水のラベルの下、薄黄色のおしっこをいっぱいに詰め込んで、まるで新発売の製品のようになっている簡易トイレ――ついさっきまで、理沙の膀胱が強いられていた状況と全く同じことを強いられているペットボトルを見下して理沙は頭を悩ませた。たとえ自分の身体からでてきたものだとは言っても、おしっこの入った入れ物なんて触りたくもない。
 だが、このまま置いていける訳もないのだ。誰も真実に気付かなかったとしても、自分のおしっこがいっぱいに詰まったペットボトルが見られるなんて死んだ方がマシだ。
「学校……行って、もう一度トイレに……しか、ないよね」
 口に出して、思い切るための準備をする。
(……うん。そうしよ。まだ本当にすっきりしたわけじゃないし……)
 言葉に出さなかった後半の理由もあって、理沙は決心を固めた。
 ペットボトルを手に取り、何度も何度も蓋が閉じているか確認して、スポーツバッグの中に慎重に詰め込む。中身を汚されでもしたらやっていられないが、剥き出しで持っていくなんてそれこそ問題外。ヘンタイのすることだ。
 理沙はきょろきょろとあたりを確認し、できるだけ人目に触れないよう早足でこっそりと、人気のない路地裏を後にした。





 日曜の朝だというのに、校庭は賑やかだった。ソフトボール部かなにかの練習試合なのだろうか。集まった観客から試合の行なわれているグラウンドに歓声が飛ぶ。
 平穏に活動している校庭が恨めしい。
 理沙はこんなにも苦しくて恥ずかしい目に遭っているのに、あの子達は楽しそうに笑っている。理不尽な現実に少女の気持ちは激しく落ち込んでいた。
「最悪だよ……」
 まさか。今日家を出る時には、こんな恥ずかしい思いをする羽目になるなどと思ってもみなかった。いつも通り朝の自主トレを終えて、気持ちよくごはんを食べて楽しい日曜日を迎えるはずだったのだ。
 それが、路地裏でおしりを丸出しにしておしっこ。しかもその場所はトイレでもなんでもなく、さっきまでスポーツドリンクの入っていたペットボトルの中だ。まさしく悪夢以外の何者でもない。さらに最悪なことに、理沙はそのおしっこをまだスポーツバッグの中にもっているのだから。
 どんよりと沈む気分で足を引きずって、塀の向こうに見える正門を目指す。
 いまは早くトイレに行ってバッグの中のおしっこを処分し、ついでにまだちょこっとだけ残っているおしっこも済ませてしまいたい。
「うー……」
 そっと髪を払いのけた理沙の下半身が、無意識のうちに震える。
 それは、更なる悲劇の序章だった。





 校門をくぐった理沙は、まっすぐ体育館に向かう。今日は休日であり、授業はないために校舎には鍵が掛かっていて、中に入ることは出来ないのだ。部活動のためには体育館のトイレが解放されており、生徒達はそこを使うように指示されていた。
 理沙はジャージの下腹部をそっと押さえながら、体育館横のトイレに急ぐ。利用人数に対してトイレの絶対数が少ないため、トイレは混雑する。理沙は少し遠回りになることを承知で、人気のない表のトイレを選んだのだった。
(見られるのやだし……しょうがないよね)
 本日何度目の妥協だろう。
 この季節、理沙の目指す体育館横のトイレは立て付けが悪いために隙間風が酷い。さらに掃除もあまりされていないため、中のトイレに比べて利用する者は少ない。万が一でもおしっこ入りのペットボトルを見られるわけには行かないため、どうしても理沙はその選択をしなければならなかったのだ。
 だが。
 遠回りの道のりは、理沙をそれだけ長く冬の大気に晒し続ける。
(んっ……)
 いつしか、吹きつける寒風に理沙の尿意がちりちりと煽りたてられていた。膀胱に掛かる重みじわじわと増し、さっきも感じていた痺れがぶり返してくる。
 他人の視線がないのをいいことに、理沙はぎゅうっと股間に手を沿えていた。
 ぶるっ、と背中が震える。
 小刻みになった歩幅は、少女が脚の付け根に抱えた熱い液体のせい。もどかしく思う理沙の意に反して、もうすぐだと思っていたトイレまでの距離は遠く、歩みは遅々として進まない。
 ひく、ひくんっ、きゅうううんっ。
「はうっ……!!」
 走り抜けるひときわ強い感覚に、理沙は身体を竦ませる。
(やだっ……また、来ちゃった……)
 それはもはや、明らかな尿意だった。時間を追うごとに高まりだす下腹部の圧迫感に理沙はふうぅっと溜め息を漏らす。少女の膀胱は再び切なげに収縮し、しくんしくんと疼いて中に溜まったおしっこがその存在感をアピールし始めていた。
(おしっこ……またしたくなってきちゃったっ……なんでっ? さっき、あんなにいっぱいしたじゃないっ……)
 前触れもなく訪れた強烈な自然の摂理に、理沙は心の中で悲鳴を上げる。スポーツバッグの中には、さっき理沙がしたばっかりのほかほかのおしっこが500mlペットボトルいっぱいに詰まっているのに。
 水分補給に優れたスポーツ飲料は、運動で水分を消耗していた利者の体内にたちまちのうちに吸収され、少女の身体を余さず循環して、老廃物を体外に出すためにふたたび理沙の膀胱を満たし始めていたのだ。
 ほんのわずかな時間に立て続けに摂取された1リットルのスポーツ飲料と、冬の寒い気候。それらの相乗作用によって、今、理沙を襲う尿意は、どんどんとその勢力を増しつつあった。
 そろそろと体重をかけないよう慎重に、できる限りの早足。それでもおしっこをぱんぱんに溜めこんだ膀胱は、そのずっしりとした重みで理沙の我慢を圧迫する。
 不安定な足音が、そのまま少女の限界が近いことを伝えていた。
(ぅう、あとちょっと、もう少しでトイレだからっ)
 自分を奮い立たせる理沙の背中、スポーツバッグの中でじゃぼっ、と揺れる中身。
 さっきと同じ水音が、理沙の理性を責め苛む。そして今度のそれは、飲み物のスポーツ飲料ではなく、本物の理沙のおしっこが立てている音なのだ。
 たった数時間の間に、トータルで1リットル以上。理沙の身体は呆れるほどの恥ずかしいおしっこを作りだしている。それがとんでもなく恥ずかしいことに思えて、理沙は真っ赤になって俯いた。





 ばん、といきおい良くドアを押し開ける。
 予想通り体育館横のトイレには人影が無く、しんとした気配に包まれていた。どうやら過去に遡ってもこの数時間、だれもここを訪れてはいないらしい。これから自分のする事に思い悩んでいた理沙は、その事実にほんの少しだけほっとする。
 細く空いた換気用の窓から、校庭の喧騒がわずかに聞こえてくる。
 3つある個室のうち、二つが故障中の張り紙で塞がれていた。もともとそんなに使われていない場所だけに、それ程手入れが行き届いているわけではない。床は少し黒ずんで埃も積もっていたが、それでも立派なトイレには違いない。いまの理沙にとっては、長い間渇望を続けた場所だった。
「……ホントに最悪だったなぁ」
 理沙はたった一つだけ残った一番箸の個室に入る。和式の白い便器が出迎えてくれた小さな部屋にしっかりと鍵をかけ、スポーツバッグを傍らの荷物起きに載せた。
 その間にも少女の脚はそわそわと落ち着き無く揺れていた。
 だが、さっきに比べればまだ十分我慢できる。
 理沙はそれよりも先に済まさなければならない最優先懸案事項のために、ひとまずおなかの中で駄々をこねるおしっこのことを頭の隅にどけた。
「…………せー、のっ!!」
 理沙は意を決してスポーツバッグの中からペットボトルを取り出した。薄黄色のおしっこでいっぱいになった透明な容器は、まだほんのりと温かい。それはまぎれもなく、ペットボトルの中身が理沙の身体の中で作られた証拠なのだ。
 今更ながらに路地裏の排泄のことが思い出されて、理沙は羞恥にぐっ、と唇を噛み締める。中学生にもなって、学校までトイレを我慢できなかった証拠――そんなとんでもなく恥ずかしいもの持ち歩いてここまできたのだ。一刻も早く、記憶と一緒に消し去ってしまいたかった。
「これで、やっと」
 理沙は覚悟を決めて、ペットボトルの蓋を空けた。プラスチックの容器の中から、揺れる水面が顔を覗かせる。
 理沙は慎重にペットボトルの口を傾け、いまもなお温かいその中身をトイレの中へとこぼしてゆく。丸い飲み口のふちに盛り上がった水面がくずれ、ぽちゃ、ぽちゃとトイレの中に吸い込まれてゆく。
(はぁっ、ふぅううっ……)

 ちょぽぽぽ……じょろろろ……じょぼぼぼぼぼぼ……

 途切れ途切れの細い雫はすぐに水流になって、トイレの中の水面にぶつかって波紋を描き、飛沫を立てる。
 それは、理沙にとってとんでもなく辛いことだった。
(んぁぅっ……くぅっ!! や、やああっ……)
 水音を立てて、白い便器の中に吸い込まれてゆく黄色い水流。
 勢い良く水面にぶつかった薄黄色の流れは、飛沫を飛ばしてはぱしゃぱしゃと音を立て、わずかに泡を立てて広がってゆく。

 じょぼぼぼぼぼぼ・……じょろろろろろ……

 さっき、きちんと済ますことのできなかったおしっこが、ようやく正しい場所に解き放たれてゆく。我慢できなくなった理沙の苦しみを肩代わりしてくれていたペットボトルはその中身を思う存分に外にぶちまけていた。
(やだっ……こんなのっ……なんでぇっ……)
 ペットボトルはどんどんと空になってゆく。それにつれて、流れ落ちるおしっこも激しさを増していた。

 じゃぼぼぼぼぼぼぼ……じゃぼぼっぼぼぼっ……

 目の前でトイレに流れてゆく自分自身のおしっこを目にして、少女の膀胱は激しく動揺する。ただでさえ水音というのは尿意を誘うものだ。まして今、それを発しているのはお腹の中をたっぷんたっぷんにしている理沙のおしっこそのものである。
 つまり今、理沙は自分の排泄を目の前に見せ付けられているのと同じ状況にあった。
(こんなの、ずるいよっ……おしっこ、トイレにしてるのにっ……)
 こんな皮肉なことがあるのだろうか。ここは待望のトイレの個室で、今まさに理沙のおしっこがすごい勢いで便器の中の水面へと注いでいるのに。すっきりできるのはペットボトルの方だけで、理沙の尿意は少しも収まってくれないのだ。
 500mlのペットボトルをいっぱいにしても、まだ収まりきらなかった理沙のおしっこ。路地裏で済ませた排泄をそっくりそのままなぞるように、ペットボトルの膀胱がトイレでおしっこをしていた。
「ど、どうしてっ……あううっ」

 きゅうううううううんっ。

 時間差で見せ付けられる排泄が少女の羞恥を刺激し、それに連動するように膀胱が激しく身悶えして暴れ出す。
 あれから1時間も経っていないというのに、理沙を襲う尿意は、先刻のペットボトルに用を足した時に勝るとも劣らないレベルまで達していた。

 ちょろろ……ぴちょん。ぴちょ……

 理沙のおしっこが全部トイレの中に流れ、ようやく空になったペットボトルを見る頃には、もう我慢は限界になっていた。こんなものを散々見せ付けられて、これ以上おしっこをおなかの中に入れておくのは無理だと、膀胱が必死に訴えている。
「……くぅうんっ……」
 切なげにお尻をモジつかせ、吐息をこぼして足をくねらせる。
 隙間風は風がいっそう理沙の尿意を煽り立て、膀胱に掛かる重みは増す一方だ。
 理沙はいつの間にか、開いている方の手でぎゅうっと股間を握り締めていた。おしっこをぱんぱんに溜めこんだ膀胱は、そのずっしりとした重みで理沙の我慢を圧迫する。
 もう限界だった。
「ふ……くぅっ」
 きゅうんっ、と収縮する膀胱の内圧に耐え、理沙は小さくうめきを漏らした。ジャージの股間に押しこまれた指に力が掛かり、少女の下半身を覆う空色の布地がぎゅうぎゅうとよじれる。
 排泄孔に湧き上がる違和感が、じくりとオモラシの気配を覗かせる。大きな波の予兆がざわざわと少女の我慢に襲い掛かっていた。中腰になって股間を握り締め、理沙は迫り来る尿意とのせめぎ合いのなか、わずかな隙を突いてジャージに手を掛ける。 
(も、ダメっ……出しちゃわないとっ)
 少しぐらい汚れても構わない。理沙は尿意の波を乗り越えるのを諦め、便器をまたいだ。思いきって一気にジャージと一緒にスパッツを引きずり下ろす。拘束から解き放たれ、剥き出しになった少女の大切なところがひんやりとした外気に触れる。
 ちゅるぅう、ちゃぽぽぽっ、
 すっかり腰を下ろしきる前に、我慢をなくしたおしっこが理沙の股間から迸り、トイレの水面を叩く。
 だが。次の瞬間。理沙は、目の前の光景に絶句した。
「紙……ない、のっ?!」
 伸ばした指の先で、無常にもからからと空転するロールホルダ。
 出しかけたおしっこに緊急停止命令を出したまま、おしりを丸出しにして理沙は個室を見回す。
 だが、芯だけを空しく回すロールホルダのほかには、トイレットペーパーのロールは愚か、ちり紙ひとつ見当たらない。
 そしてその上には無常にも、

『節約のため、紙は外してあります』

 の張り紙。
「う、うそぉ……っ!! ひどいよおっ!!」
 ぎゅうっ、と膝を擦り合わせ、理沙は当惑の視線を投げ下ろす。
 タイルの床には、白い和式便器がペットボトルに入っていた分のおしっこを受け止めて、なお準備万端で待ちうけている。まだかすかに揺れる水面が理沙を誘惑しているようだった。
 おしっこをするための場所がすぐそこにある。
 それなのに――おしっこができないなんて!!
「なんでっ、なんで……あぅううっ!!」
 こみ上げてくる熱い衝動を押さえこんでぴょこぴょこと小さく飛び跳ねる理沙。もうそうでもして気を紛らわせていないと、勝手に排泄が始まってしまいそうだった。
 だが、もしそうしてしまったら――恐らく今まで経験したこともないようものすごい勢いで吹き出すおしっこでびしょびしょに汚れた股間とお尻を綺麗にできるものはどこにもないのだ。
「うううっ、ふぁああああっ、でちゃう、でちゃううっ」
 うめき声を上げる理沙。しっかりと閉じられた鍵が目に入る。これから鍵を明けて外に出て、他の個室に入って鍵を掛けてしゃがみ込むまで、おしっこをこぼざずにいられる自信がない。トイレットペーパーを探して戻るなんて不可能だった。
 理沙は知らないことだったが、このトイレは悪ふざけに興じる一部生徒の格好の悪戯場所になっており、トイレットペーパーが水浸しになるという事態が続出していた。この状況もそれを重く見た教師の苦肉の策だったのだが――今現在の理沙にとっては悪魔の所業に均しい行為だった。
「なんか、なんかないのっ……お願い、ティッシュとか……っ」
 懇願にも近い調子でスポーツバッグを引っ掻きまわす。
 だが、理沙の願いも空しく、そこからはポケットティッシュの一枚も見つかることはなかった。さっきの路地裏で手を拭いたとき、必要以上に念入りになりすぎたせいで全部使ってしまったのだ。ゴミ箱なんかで処分してしまったことを悔やむ理沙だが、既に後の祭り。
 お気に入りのスポーツタオルが手に触れる。スポーツドリンクの懸賞で当てたそれは、理沙のお気に入りで自慢の品だった。
「ダメ――でちゃううううっ!!」
 だが、背に腹は換えられない。今は緊急も緊急、最大の非常事態なのだ。
 もう洗濯したからと言って今みたいに使うことはできないかもしれない。それを覚悟しながら理沙はタオルを掴み、ぎゅっと握り締めた。徹底して禁じてきた股間の力を一気に抜く。
 ちゅるっ、しゅるるるるるるっ……
 我慢に弄ばれ、堪えに堪えてきたおしっこが、理沙の排泄孔から噴き出して水面を叩こうとしたその瞬間。

 バタン、ガチャガチャガチャっ!! ゴボ、ゴボジャァアアーーーーーッ!!

 隣の個室が乱暴に閉められ、音消しの水が盛大に流される。
 同時、
 どんどんどんどんどんっっ!!
 すごい勢いで理沙の個室も、ドアがノックされだした。
「ちょっと、ねえ、お願い居るのよね? 開けてあげてっ」
「え……」
「ぅ……く、ふぁうっ……」
 切羽詰った、悲鳴のようなうめき声。急かすかのようにもう一度、激しくノックが繰り返される。有無を言わせぬ語調とドアが軋んでしまいそうな激しノックに、理沙は反射的に腰を浮かしてしまう。
「ねえ、お願いっ、開けてあげてよっ!!!」
「あ、あの、ちょっと待って」
「そんな事言わないでっ、お願いだからっっ!!!」
 その凄まじい剣幕は、とても扉越しの言葉では納得してもらえるものではなく、理沙はジャージのズボンを上げざるを得なかった。つい数秒前まで、次にズボンを履くときにはすっかりおしっこを済ませて、心の底からすっきりできているはずだったのに。
 ひとまずは引っ込んでくれたものの今もなおちりちりと激しく暴れる膀胱をなだめ、ズボンをぐいぐいと引っぱって股間を持ち上げながら、理沙は鍵を外す。
 がちゃりと開いたドアの向こうには、青ざめた顔でぎゅぅっとお腹を押さえている小学校低学年くらいの女の子が、数名の少女達に付き添われて立っていた。
「良かった――」
「ねえ、お願い。妹がちょっと悪いもの食べちゃったみたいで――もう限界なの、だから、お願いっ!! 校舎の方鍵かかっちゃってるし、このトイレしか使えないし、もう他のところに行ってる余裕もなくて――」
 付き添いの少女達が詰め寄ってくる。その向こうで悲痛な声があがる。
「おねえ、ちゃんっ……でちゃうっ……」
「ほら、もう大丈夫だから……あとほんのちょっとだから我慢してっ!! ――ねえ、お願い、変わってあげてっ!!」
「え……」
 理沙の手を掴んで揺さぶりながら、付き添いの少女が懇願を繰り返す。そのあまりの勢いに、理沙は個室から半ば引っ張り出されるようにして外へ出てしまっていた。
 理沙にとっては不幸なことに、少女達にとっては幸運な事に。それが、彼女たちには了承の合図に見えてしまったのだった。
「ありがとうっ!! ほら、速くしてっ――」
「え、あ、ちょ」
 何かを言う余裕すらなく、理沙はドアの外へと押しのけられてしまう。
 突き飛ばされた身体のバランスを保とうと、理沙の脚がぐいと伸びてタイルの上にぶつかる。同時、靴底から突き上げてきた強烈な尿意が理沙の下腹部を直撃した。
(うあううっ!!)
 声にならない悲鳴を上げる理沙の額に、脂汗がびっしりと浮かぶ。もう限界を超えたさらにその上の我慢を強いられているのだ。全力で括約筋を引き絞っていなければならず、他になにもできない。
 だが、理沙の絶体絶命の状況に気付いてやれる者は、その場にはいなかった。理沙が声を立てる余裕もなくぎゅうぎゅうと股間を抑え、ダムに流れ込む尿意の大洪水を必死に抑えている間に、付き添いの少女は青ざめた妹を個室に押しこんだ。
「ねえ、紙!! 紙とってあげてっ」
「あ、うんっ」
「ちょ、ちょっと、待ってっ……」
 抗議をする理沙だが、爆発寸前の膀胱を抱えたままではか細い悲鳴すら上げる事はできなかった。慌しくトイレを駆け回る少女達が理沙を隅に追いやって、彼女に気付くことなく通りすぎてゆく。
「ごめんね――あとでお礼、するからっ、今はお願いっ」
 少女の一人が理沙をトイレの外へと押しやった。じわりっ、じわりっと排泄孔から漏れ出すおしっこに精一杯の理沙は、それに抵抗することもできず、女子トイレのマークが記されたドアの前に放り出されてしまった。
(そんなぁっ……うそ、嘘っ……だって、わたし、まだ、おしっこっ……)
 突如訪れた修羅場の光景に、今にも爆発しそうな下腹部を抱えたまま理沙は腰を落として背中を丸める。きつく閉じ合わせた足の間に両手を突っ込んで破裂寸前の膀胱を押さえつける。
(まだ、おしっこできてないのにっ……まだおしっこしてないのにぃっ……!!)
 トイレの中は時ならぬ戦場と化しているようだった。どう考えても10分や20分で済みそうな気配はない。
 ……つまり、もうこのトイレには入れない。
(……やだっ、やだやだやだぁっ!! ……あ、ああっ、でちゃうっ、でちゃううっ)
「だ、だめっ、わたしもっ、わたしもトイレぇっ……トイレいかせてよぉっ……」
 力なく握られたこぶしが弱々しく壁を叩く。
 理沙の悲痛な声が、人の居なくなった廊下に響き渡る。


 きゅううううんっ、じわぁっ……しゅるるっ。
 がくがくと震える少女の腰が、尿意に激しくよじられる。既に理沙の括約筋は長い長い我慢のために痺れ始めて、完全にはおしっこを塞き止められなくなっていた。尿意が爆発するたびにじわっ、じわっと股間の先端から吹き出す熱い雫が、スパッツを染み透ってジャージにまで黒い染みを広げてゆく。
「やだっ、おしっこ漏れちゃう、おしっこがっ、おしっこがあぁっ」
 中学生の女の子として決して発してはいけない、恥ずかしい言葉を口にしながら、理沙はふるふると股間を揺すり、お尻をモジつかせた。
 ここは既にトイレの敷地の中ですらない。部活の声がこだまするグラウンドは運動をする場所で、おしっこをしたり尿意を我慢したりする場所ではなかった。
 そしてここには個室や便器やトイレットペーパーどころか、スポーツバッグもタオルもあのペットボトルすらない。理沙がおしっこをするための手段は完全に失われてしまったのだ。

 じゅじゅじゅ……じゅわあっ……

 温かいものが理沙の下着にこぼれ、広がってゆく。だがその感覚すら理沙には感じ取る余裕がなかった。
(また……さっきみたいの来ちゃうっ……おしっこ、またいっぱいでちゃううっ……)
 おしっこをするための設備の一切を取り上げられてしまった理沙は、がちがちと震える歯をとめることも出来ずくねくねと腰をよじり、足踏みを繰り返す。この一時間で少女の身体は1リットル以上のおしっこを作り出しているのだ。
 学校は相変わらずざわざわと喧騒に揺れ、平穏な休日を続けている。たった一人絶望的な戦いを続けている理沙の事などお構い無しだった。
 いつも颯爽と地面を蹴って軽やかに走るほっそりとした脚も、ぱんぱんに詰まったおしっこを塞き止めるのにはなんの役にも立たない。
 むしろ、陸上で鍛えられた活発な新陳代謝は、理沙をますます苦しめるばかりだった。全身の水分が絞り上げられ、老廃物と一緒に下腹部に集まり、ろ過されておしっこを作り出してゆく。昨晩の分は既に出してしまったとは言え、理沙はついさっきまでに500mlペットボトル二本分、合計1リットルもの水分を口にしているのだ。
「おしっこぉ、おしっこでるううっ……おしっこ、いっぱいぃいっ」
 ぎりぎりと尿意が高まってゆく。これ以上ないほどに引き伸ばされた理沙のおなかの中の水風船に、さらに大量のおしっこが注ぎ込まれる。今度こそ逃れられない猛烈な排泄欲求が少女を陵辱し、余すところ無く責め苛んでいた。
(おしっこしたい、おしっこくるぅっ、くるよぉ、おしっこきちゃううっ、はやくおしっこおしっこ、おしっこでちゃうだしちゃううっ!!)
 トイレ、おしっこ、繰り返される二つの単語で理沙の頭の中はいっぱいに埋まる。
 限界まで膨らんだ膀胱が嵐のような尿意を訴え、絞り上げられるように収縮する。ずぅん、と内臓を圧迫する膨大なおしっこに少女の括約筋が悲鳴を上げ、足の付け根に痺れが伝播する。
 せっかくここまで我慢し続けてきたのに、ここで失敗なんてできるはずがなかった。
 理沙は体育館横の茂みにむかってふらふらと歩みを進める。

 ぷしゅっ、ぷしゅるるるるううう……

 容赦なく理沙のおなかの中でおしっこが暴れまわり、少女の身体を内側から蹂躙してゆく。恥ずかしい液体を溢れ出させようとする下品な欲求が、理沙の心を千々に引き裂いていた。ジャージの股間を固く握り締めた指の隙間からこぼれるおしっこがぽたぽたとスニーカーを汚し、地面に黒い染み跡を残してゆく。
(おしっこしたいおしっこおしっこしたいしたいしたいするしちゃうでちゃうおしっこでちゃううぅぅっ!!!)
 がに股になって悲鳴を上げ、、理沙は草むらに突撃していた。グラウンドの生徒達の数人が何事かと理沙の方を振り返る。
 他者の視線をわずかに隠すことすら叶わないの草むらですら、崩壊寸前のおしっこを抱えた理沙の目には魅力的な排泄場所に映っていた。そんな場所で女の子がお尻を丸出しににしてしゃがみこんでいれば、何をしているのかなんて一目瞭然だというのに。

 しゅるしゅるしゅしゅしゅっ、しょしょしょおぉおおーっ

 いっそ爽快なくらいに軽い音が、少女の股間で響く。吹き出した水流が下着にぶつかり、くぐもったぶじゅじゅじゅっという音を立てて零れ落ち、地面に水たまりをつくる。
 理沙の身体でこの1時間の間につくられた新鮮なおしっこが、剥きだしの地面に降り注いでゆく。

 じゅじゅじゅっ、じゅううっ、じゅるるるっぷしゅうううっ

「ぅうああっ……でる、でる、でるぅうっ!!」
 膀胱が千切れそうだった。限界を超えて高まる尿意はまるで脈動のように下腹部で繰り返され、理沙の少女に相応しい理性や恥じらいを削り落としてゆく。
 今の理沙は、おしっこを我慢することで精一杯で、それ以外の何も考えることができない。ほとんど引き裂くようにしてジャージと下着をずらした理沙は、グラウンドからの視線に気付かないまま腰をかがめる。
 同時、排泄孔から恥丘に掛けて走る激しく鈍い痺れと、強烈な尿意。
「あ、ああっ」
(でないで、出ないでええっ……おしっこもうすぐだから、もうすぐ出ていいから、あとほんのちょっとだけおとなしくしててっ、お願いいいいいいいいっ!!!)
 辛抱を無くした排泄孔がこぼすおしっこの先走りがもたらした、あまりにも甘美な解放感に必死に抗いながら、足にまとわりつくズボンと下着を掴んで懇願する理沙だったが、
 その願いが届くには、ほんの一瞬だけ、遅すぎた。

 じゅじゅじゅうっ!! じゅばあああああああ!!

 膝に引っかかったズボンとスパッツめがけ、ついに本当の勢いで吹き出したおしっこが激突する。白い下着に直撃した水流は一瞬で布地をびしょびしょに濡らし、じゃぽじゃぼと辺りに響くほどの大きな音を立てた。
「いや、いやぁっ……」
 理沙の恥ずかしい所から吹き出した水流はすぐさま奔流に変わり、真っ白な飛沫を上げて地面に叩きつけられた。激しく下品な音が当たりに響く。じょぼじょぼとはしたない音を立てて、水面がぐしゃぐしゃと崩れてゆく。
 噴き出した水流は強烈な勢いで黒土をえぐり、泥に深い穴を穿った。少女の排泄孔からとめどなく溢れるおしっこは水面にぶつかっ理沙の足元を撹拌し、わずかに黄色身がかった泡を立ててゆく。
 限界ぎりぎりのリミットまで溜めこまれていたおしっこは、理沙の下腹部を押し上げるほどに膀胱を圧迫している。そこから放出される排泄の勢いは普段の比ではない。まるでホースの先端を潰して水をぶちまけている時のようだった。
「あ、はぁあ……」
 ばじゃぱじゃと音と飛沫を立て、野外、露天の臨時特設理沙専用仮設トイレに放たれる理沙のおしっこ。
 14歳にもなって。幼稚園の子のようにおしっこを我慢できなくなった理沙のために用意された、一番恥ずかしい排泄を強要されるトイレ。まして、ここは本物のトイレのすぐ側なのだ。それなのに、理沙のおしっこは弱まるどころか激しく土をえぐり、止まる気配を見せない。それどころか強まってすらいた。
(うううぅっ……!! やっちゃったっ……失敗しちゃったぁっ……)
 耳まで真っ赤になりながら、理沙はおなか一杯、たっぷんたっぷんに詰まっていたおしっこを排泄する。水たまりを直撃する水流とは別に、剥き出しの理沙のスリットから、お尻のほうにおしっこが伝ってぽたぽたと流れ落ちてゆく。
 台無しに濡れてしまった下着とスパッツからも、ぽたぽたと雫が垂れ落ちて、理沙の足元に大きく広がった水たまりをどんどんと広げている。
(まだでる、でちゃうよおっ……もう、すっごくいっぱいおしっこしてるのに……まだ止まんないっ……やだ、こんなのやだよぉ……)
 いつも排泄の感覚とは桁が違っていた。少女の体の中に、いったいどうすればこんな量のおしっこが蓄えられていたと言うのか。泡立った水面は理沙の足元から大きな川をつくり、水たまりを広げてゆく。

 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼっぼ、じょじょろろろ……

「……ね、ねえっ」
「っ、や、いやああっ!!」
 不意に掛けられた声に、理沙は排泄の恍惚から引き戻された。動揺に揺れる理沙の腰の下でおしっこが複雑な放物線を描き、じゃぼぼっと激しく足元の水たまりを攪拌する。
「やだっ、見ないでっ、見ないでえええっ!!」
 中学生にもなって、おしっこをしている所を、オモラシをしている所を、ぱんつをおしっこでびしゃびしゃに濡らしてしまっているまさにその最中を、同級生や先輩や後輩に見られてしまい、理沙は絶叫する。
 それでもおしっこは止まりはしない。水たまりは一回りほど大きくなったのに、まだ理沙の膀胱には半分以上おしっこが残っているのだった。
(はやく、はやく終わってっ、終わってよぅっ………)
 べそをかきながら願う心とは裏腹に、排泄は一向に終わらない。
 理沙の足元では深く抉れた黒土が顔を覗かせ、水たまりはたっぷりの泡と濁った泥色に澱んでいる。下着もスパッツもジャージも、下半身どころか上半身まで跳ねたおしっこ混ざりの泥水でどろどろによごれていた。その原因は全て、理沙のおなかの中に収まっていたおしっこなのだ。
「やあああっ、いやああっ……」
 だから理沙は唇を噛み締めて、少しでも早くおしっこを出し切ろうとお腹に力を入れるしかない。それがますますおしっこの勢いを早め、激しい音を立てる。
 空の下、最も恥ずかしい屋外露天の臨時仮設トイレで、理沙のおしっこはまだまだ続いていく。



(初出:おもらし千夜一夜 833-848 2005/06/09)

 
[ 2007/10/13 09:24 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
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