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みんなのお手洗い:ガラス容器編 


 小さな部屋には、しきりに腰をよじり膝をすり合わせ、落ち着きなく悶える少女達の姿があった。
 その数は総勢8人。部屋は十分に広かったが、それでもそわそわと歩き回り、じっとしていることのできない少女たちにとっては、やや手狭にも思える広さである。
 室内にはほとんど家具もなく、四隅に手摺と、鍵のかかった大きなドア、そしてテーブルが置かれているのみの簡素なもの。壁紙や照明の装飾も最小限に抑えられ、窓もなくどこか息苦しい。板張りの床は丁寧にワックスが掛けられて、鏡のように光を反射している。
 そんな床板の上を、こつこつと小刻みに足踏みの音が響く。
 スカートの前をはしたなく押さえながら、少女達は前かがみになっては小さく息をこぼし、強い尿意を堪え続けていた。
 この部屋には、トイレがない。
 少女達の我慢は、そろそろ限界に達しつつあった。





 ――トイレがない、と言ったが、正確にはこの部屋の中に、少女たちがオシッコを済ませるための設備がないわけではない。少女達が熱い視線を重ね、じっと見つめる部屋の中央、小さな樫のテーブルの上には、光を反射してきらきらと輝くひとつの製品が安置してあった。
 これこそが、この部屋にある唯一の、オシッコのための設備である。
 しかし――なによりも機能的に少女のオシッコのために作られておきながら、部屋にいる少女達の誰もが、それを使うと呼ぶことに激しい抵抗を覚えていた。
 少女達の尿意が軽いものではないのは、傍目にも明らかである。が、それでもなお彼女達は、みっともない姿を晒しながらもおしりを揺すり、小さく飛び跳ねてすらオシッコを我慢している。
 その理由は、テーブルに置かれた器具の正体にある。
 透明なガラス細工で作られ、女の子の脚の付け根の、ふっくらとしたゆるやかなカーブにぴったりと沿うようにデザインされた入れ物は、曇りひとつなく磨き抜かれ、美しいまでもの芸術性を兼ね備えていた。
 未発達な少女の身体の中心部に秘められた放水孔をぴったりと受け止め、ひっそりと合わせられた割れ目からほとばしるおしっこを、外にこぼすことなくきちんと注ぎ込めるようにされた機能美、それはまさに、排泄のための設備としては理想の形状を保持している。機会による大量生産などではなく、名のある名工の作であるに違いなかった。

 テーブルの上に安置されたそのガラス器具――いわゆる『シビン』を前に、少女達は苦悩と逡巡を続けているのだった。

 確かにテーブルの上の透明容器は、少女たちがオシッコをするために作られ、それ以外にはおよそ役割を持たない器具である。使用した経験がなくとも、その用途は容易く想像できるだろう。
 むしろ、室内の少女達は皆我慢の限界に近いレベルで尿意と激しい戦いを続けており、部屋の床を汚さずに排泄を済ませることができるなら、ある程度の妥協はする覚悟を決めていた。
 たとえその本来の用途ではない方法であったとしても、何がしかの『入れ物』――バケツなり、なんなりがあれば、それを使って下腹部でたぷたぷと揺れるオシッコが噴出すのを受け止め、切実な排泄欲を十分に満たすことをためらわなかっただろう。
 だが、この状況――身を隠す場所など何一つない部屋の中、同じような多くの少女達の視線を感じながらでは、その行為の難易度は桁違いだ。
 まして、テーブルの上にあるのはことさらにはっきりと、『オシッコをするための』容器なのである。たとえその意思がなくとも、実に感覚的に尿意を刺激する形状のガラス容器を見せつけられていれば、それを使ってオシッコをすることでの羞恥心はいや増した。





 たしかに、このガラス細工はそれは十分以上に少女達の排泄欲を満たす役割を果たすだろう。
 が、このガラス容器は、少女達が求めている理想のトイレ――清潔に保たれ、個室という空間で他者の目を遮ってプライバシーを守り、音消しの機能を備えて恥ずかしい行為を隠蔽するための設備とはまるでちがう。ただ、オシッコを受け止めるだけの最低限の機能しかないのである。
 なかでも最大の問題は、この器具を使って排泄したオシッコはどこにもいかず、じっとそこに残ったままだということだ。
 たとえ羞恥を乗り越えこのガラス容器を使用してオシッコを済ませたとしても、彼女たちが腰を揺すりスカートの前を押さえ、膝を寄せ合わせて我慢し続けたオシッコは、膀胱を膨らませていた時とのママに、残らず全て透明な容器の中を満たして、白日の下にさらけ出されてしまう。
 部屋の中には他になにひとつ、彼女たちが我慢している恥ずかしい液体を受け止める設備はなく、視線を遮る物陰すらもない。オシッコをしている瞬間の物音や、容器の中にぶつかる音。その時の自分の格好までも皆に見られてしまうのだ。
 そして挙句、色や、匂いや、勢いや、泡立ちかたですら――愛する相手にすら見せるコトは許されないであろう、羞恥の熱湯の様子を素通にして、他の少女達の目の前にさらけ出してしまうのだ。
 自分がいったいどれほどオシッコを我慢し続けていたか、それをつまびらかにされてしまうのはある意味、オモラシよりも辛いことであると言えた。
 そしてまた、この容器には別の問題もある。これはある種、1番目の問題とも関わりのある事だが、――つまりは、容器の中にオシッコが残ったまま、ということは、一人の少女がオシッコを済ませたからといって、次々に少女達がその後に続くことができない点にある。
 無論、まったく知らない仲ではないとは言え、他人のオシッコが満たされている場所に、そのまま自分のオシッコを注ぎ込むことには羞恥以上の激しい抵抗があるだろう。
 だが、それに加えて問題となるのは、もっと物理的――数学的な問題である。
 単純な、少女達の我慢し続けているオシッコの総量と、ガラス容器の容量――そのふたつは、明らかに不釣合い、不等号で結ばれるべきものだ。
 これを使用するのがたとえまだ身体の発育の整っていない少女たちだとしても、彼女たちがその小さなおなかの中をぱんぱんにして、精一杯我慢し続けたオシッコが、実に8人分。それに比べてしまえば、ガラス容器の大きさはあまりにも頼りなく、とてもではないが全員分を注ぐことができるとは思えないのだった。





 故に少女たちは苦悩する。たったひとつの小さな容器を、確かにオシッコをするための器具を目の前にしながら、誰一人それに手を伸ばすことができない。
 少女達は、ガラス細工よりも繊細な下腹部に、おしっこを満たしたまま――言葉もなく、切なげに実を揺するのだった。


 (初出:書き下ろし)
[ 2008/11/16 22:23 ] 小ネタ | トラックバック(-) | コメント(-)
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