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テストのお話・3 

 
(ほーんと、ちゃんと全部飲んでるなんて、馬鹿ねぇサツキってば)
 立ち尽くしていたところを教師に注意され、のろのろと自分の席に戻るサツキの背中を見ながら、チエリはほくそ笑む。
 あんなにごくごく飲んだら、あっというまにおなかの中はたぷたぷだろう。年頃の少女にとって、コーヒーの利尿作用は半端のないものだ。ただでさえ活発な新陳代謝をさらに加速させる猛烈な利尿成分は、場合によっては十数分で効き始め、その後はまるで体中の水分を搾り取られるみたいに、猛烈に尿意の波がやってくる。
(ホントだね。あれじゃ、テストどころじゃないよね、きっと)
(さっきもずうっとモジモジしてて、あれ相当ガマンしてたよ? 今度はマジで漏らしちゃうんじゃない?)
 ユミとアキが声を抑えて囁きあう。
 実のところ、チエリはレモンティまで飲ませるつもりはなかった。いくらなんでもあんなにしつこく勧めればサツキだって怪しいと思うだろうし、場の空気の読めないサツキのことだ、とっとと跳ね除けてトイレに急ぐかもしれないと予想していた。
(ま、それならそれで文句つけるのも簡単だしぃ、いくらでもやりようはあったけどさー)
 それが、あんな青い顔をしながら懸命にレモンティを飲み続けるとは、チエリにはまったく予想外だった。
 200mlのコーヒー飲料に加え、更なる追加の200ml、冷たい冷たいレモンティは、ほどなくサツキの身体中を駆け抜けて、熱く悩ましい羞恥のホットレモンティとなって、サツキの『おんなのこ』に注ぎ込まれるに違いないのだ。
 容易に逃げることのできない期末試験の教室という閉鎖空間のなか、その切なくももどかしい誘惑に、どこまでサツキが耐えられるか――その瞬間の訪れと、そのときの少女の姿を暗い悦びの感情で思い描きながら、チエリはくすくすと小さく笑った。





「ふぅ……っ、ぅ」
 何度目になるか、小さな唇からこぼれた熱き吐息が、かすかに机上の問題用紙を動かす。
(と、トイレ……っ、トイレ行きたい……っ)
 先刻から、増しに増して高まる排泄欲求に、少女の腰は繰り返し左右に揺すられていた。サツキは限界を訴える『おんなのこ』を庇うように、おヘソの裏の空気を吐き出すようにして、ぐっと下腹に力を篭める。
 つまり、女の子はオシッコの出口と膀胱の距離が近いからちょっとしたことでチビりそうになってしまうわけで、できるだけその距離を伸ばしてやればいい。実際にそうなっているのかどうかは別として、そんなふうに考えればいくらか我慢が持ちそうだと考える。
「う、くぅ……」
 しかし、悩ましげな吐息はそんなことでは収まらない。ぎゅうっとシャーペンを握る指に力が篭り、中空で震えるペン先が、問1の計算スペースのすぐ隣で揺れる。
 こんなことしてる場合じゃない、早くしなきゃと心ばかりは焦るものの、椅子の上、太腿の下にぎゅっと巻き込まれたスカートの中、熱気の篭った布地の内側で、『出口』はいまもヒクヒクと震えている。
 恥骨上のダムを見張る監視塔からは、異常を察知し発せられる警戒警報が弱まるどころか激しくなる一方で鳴り響いている。増し続けるダムの水かさは危険水位を突破し、なおも弱まる様子がないことから、サツキの『おんなのこ』ダム管理システムはいますぐ水門を押し開き、即刻放水をするように再三命令を繰り返していた。
 はたして、こんな状態で50分にも及ぶテストを乗り切れるのだろうか。サツキの脳裏を不安がよぎる。
(……ど、どうしよう……やっぱり先生に言って、トイレに行かせてもらうとか……)
 それは、至極常識的な判断といえた。――試験開始3分でそんなことをすることが許されるのならば、だが。
 試験と試験の間に与えられた休み時間は十分なものであり、その間にトイレに行っていなかったことは、どう控えめに見ても試験を軽んじ、怠慢だと批判されかねない。
 ただでさえ2年生の3学期、進路にも関わる大切な期末試験だ。まして数学はサツキの苦手分野。時間一杯まで使ってやっと答案を八割埋められるかどうかというところなのだ。急いでトイレに向かったとしても、5分以上のロスは避けられない。とても途中で席を立っている余裕はないのである。
(だ、だいじょうぶ……たった50分よ。さっきだって平気だったもの、こんども我慢できるに決まってるわ……!!)
 改めて考えてみれば、試験時間50分はいつもの授業と変わらない長さなのだ。普段の授業中、それくらい我慢した事はこれまでにだって何度でもある。これくらいのレベルまでトイレに行きたかったことは――まあ経験があったかどうかは微妙だが、ともかくサツキはそう自分に言い聞かせ、問題用紙に向かった。
 改めてシャーペンを意識すると、知らず開いている左手が脚の間に向かってしまう。皆が答案に集中しているのをいいことに、サツキはそっと制服のスカートの上から脚の付け根をおさえていた。
 そっと撫でるだけで、手のひらには石のように固い感触が跳ね返ってきた。
 おなかの内側をじんじんと痺れさせるように、“そこ”には液体よりももっと重く熱いものがずしんと詰め込まれているようだった。サツキの『おんなのこ』は内側から圧迫され、いまにも脆くも突き破られてしまいそう。
 きつく張り詰めた下腹部が切に尿意を訴え続け、椅子に座っている姿勢でも辛く、じっとしているのはさらに厳しい。
(えっと、x=3で……yを、代入して、だ、だから、えっと……)
 そんな身体の求めを無視して、必死に問題に取り組もうとするサツキだが、少女の頭の中は半分ほどがオシッコのことで占められていて、簡単なはずの式が超難問に化けてしまう。震えるペン先ががりっと答案用紙をえぐり、小さな穴を開けてしまった。
 はぁ、と短く息をついてオシッコの波をやりすごそうとするサツキだが、絶え間なく恥骨を弱火であぶられるかのような排泄欲求はおさまる気配がない。
 それどころか、サツキの下腹部は無慈悲にも、ここがトイレではないにも関わらずに少女の身体に排泄を命じてくるのだ。サツキの脚の付け根では『おんなのこ』の部分がそれを大歓迎で受け入れ、勝手に水門を開く準備を始めるのだ。
(っ……や、やだ、来ちゃう……っ!!)
 容赦なく、怒涛の尿意が襲い来るその気配に、サツキは全身を硬直させた。身構えの余裕すらなく、少女の下腹部に溜まりに溜まった黄色い濁流が、堰を破らんばかりに『出口』へと押し寄せてくる。
 もしここがトイレで、サツキがいままさに、施錠した個室の中で下着を下ろして、便座に腰かけた瞬間であれば何の問題もなかっただろう。
(や、ぁぁ、あっ、く、ぁあう……)
 いまだ1問目の計算問題の途中で、少女のシャープペンシルの先がぴたり、止まった。
 痛いほどの静寂の中を、ペンの走る音だけが埋めてゆく。時折挟まるのは問題用紙をめくる音。黙々と試験に取り組むクラスメイト達はまさに真剣そのもの。

 ぎしっ……きし、ぎぃっ……

 そんな中を、かすかな異音が響く。
(ぅあ……くぅんっ……)
 誰もが試験に集中する沈黙の中で、サツキは一人、孤独に崩壊せんばかりのダムの堰を必死に押さえ止めていた。
 敵の物量は圧倒的で、抗する戦力はごくわずかの、あまりにも絶望的な戦い。それでも必死に机にしがみ付き、サツキは柔らかな股布に包まれた『おんなのこ』の暴走を押さえ込もうとする。
 右手はいまだ辛うじてシャープペンシルを掴んでいるものの、取り落とさずにいるのが精一杯。左手はスカートの股間を握りつぶすように閉じ合わせた膝の間に潜り込み、太腿はそれを動かないようぎゅうっと挟む込むようにして固定し、『おんなのこ』の外側を塞いでいた。
 そのあまりにも不審な姿に、周囲の数名がちらりとサツキの様子を窺う。けれど試験中ゆえにそれ以上の追求はなく、サツキに助けの声を掛けるものはいないのだ。
(っふ……あっ……)
 少女が全身を使って尿意を必死に塞き止める中、力なくさまようシャーペンが、ミミズの張ったような筆跡で問1(3)までの回答欄を埋めていく。
(ぅ、く、が、……がまん、我慢しなきゃ…ぁっ……!!)
 まだ数学のテストが始まっていくらも経っていない。残り時間は実に40分以上。解放の時は遥か遠く、乗り越えねばならない苦しみはあまりに多い。少しでも別の事をして気をまぎらわせてその事実から目を背けていないと、心が折れてしまいそうだった。
 回答欄から大きくはみ出した筆跡の端が大きく折れ曲がり、左右にくねくねと揺れる。残された痕跡は、うねる波濤の強烈さの証。
 サツキの答案はまるで群発地震を測定する震度計の針のように、次々押し寄せてくる尿意の大波の痕跡を刻んでいた。
(……っふ、ふぁうぅっ……)
 寄せては返す尿意のさざ波は恥骨に響き、背筋を伝って少女の背中を震わせる。
 きつく力を篭められたペン先が再び停止する。他の事を考えられないほどの尿意の大波だ。この強烈な尿意は、一度始まると数分は続くことを、サツキの『おんなのこ』は経験上知っている。
 これの感覚がどんどん狭まり、やがて最後には本当の限界がやってくる。ちょうど陣痛と同じようなものだった。もっとも、“そこ”まで我慢した経験は、サツキにもほとんどない。
 必要に迫られてのものとは言え、我慢せずに済むならそのほうがよっぽどいい。だから常日頃、少しでも尿意を感じたらちゃんとトイレに行っておくのがサツキのやり方だった。
 けれど、今は違う。度重なる水分の摂取と、利尿作用のもたらす相乗効果。下腹部を膨らませているオシッコの量は比ではない。もはやサツキのダムが抱え込んでいる貯水量は、牛乳パックを超えて500mlペットボトルすら大きく凌駕しつつある。
 そんな中、いまにもコントロールを離れそうな『おんなのこ』を抱えながら、サキはテストとオシッコ我慢、その両方を見事にやり遂げなくてはならなかった。
(っ、こ、これさえ、乗り切っちゃえば……しばらく……っ)
 息を詰めながらぐっとお尻の孔にも力を篭め、そろそろ訪れる次の“波”がこの尿意の頂点だと見極めたサツキは、身体を硬直させてオシッコの波が和らぐのを待つ。
 けれど、そうして見切りをつけたはいいものの、いつもとは違ってなかなか尿意が引いてくれない。ちりちりと脚の付け根を焦がすむず痒いような、もどかしい衝動は執拗に少女を責め弄る。
(っ、あ、っく、ぅ……)
 サツキのペン先はもう5分も前から動かず、回答欄の隅に意味のない象形文字をなぞるばかりだった。
 腰を椅子の上にねじり付けるようにしてくねらせ、息を詰めて膝を閉じあわせ、溢れそうになる熱い雫を押し留める。『おんなのこ』の部分をきつく押さえる指先が前後するたび、少女の下着はよじれて大きく皺を寄せていた。
 まるで――そこに別の生き物の意志すらも感じてしまうようだった。
(お、おねがい、おとなしく、しててよ……っ、あ、あと、ちょっとだけなんだから……っ)
 下腹部をさする手にそっと力を込め、そんなふうに呼びかけすらして。そして長い長い時間を掛け、緩やかに波が引いてゆく。ようやく厳しかった下腹部の痺れが、わずかに鈍り、穏やかなものとなった。
(っ……はぁ……)
 わずかな安定期のおとずれを感じ、すこしでも身体が楽になったことに安堵しながら、サツキはちらりと教卓上の時計に目をやった。
(あ、あと……)
 文字盤に記された時刻は、テスト開始から10分を数えていた。
 もう10分。けれど、たった10分。
「……っ」
 とてつもなく長い時間に感じられた我慢の綱引きは、ほんの数分にも満たないわずかの間のことでしかなかったのだ。それは、テストを迎える学生としては安堵すべきことではあったが、同時にオシッコをガマンし続ける少女としては、途方もない絶望でもあった。
 時計の針はゴールまでまだ5分の4以上を残している。
 その事実に再び沸き立ちはじめる尿意を必死に抑え付け、サツキは唇を噛んで消しゴムを掴んだ。歪んだ答案用紙に残る判別不能の文字をねじつけるように消してゆく。そうすることで、一緒に押し寄せる尿意すらも消し去ってしまわんとするかのようだった。
(余計なこと考えちゃダメよ……しゅ、集中しないと……っ)
 なおも激しい尿意の予兆に、小さく下半身が震え出す。サツキは唇を噛み、その痛みで集中を保ちながら、クラスメイトからずいぶん遅れて問2の回答に取りかかった。





(あ、あと……じゅ、10分……っ!!)
 血を吐くような思いで、その事実を飲み込む。
 いったい何十回、いや何百回見上げたことだろう。遅々として進まない黒板上の時計の針は、長い長い時間をかけてゴールの手前までやってきていた。
 サツキの尿意はいまだその頂のただ中にある。最初の頃は10分以上間隔の開いていた尿意の大波が、いまや5分と経たずにやってくる。おまけに一回一回の潮位も高く、長く続くようになっていた。
 もはやサツキの“そこ”ダムではなく、防波堤だった。しかも、大地震に伴う津波にはとうてい耐え切れない貧弱なもので、すでに何度か、押し寄せる波の一部は、わずかながら外にあふれ出してしまっている。
 股間にじっとりと感じる湿り気を、けれど汗のせいだと決め付けて。サツキは椅子の上、不自然に浮かせた太腿と膝をぎゅうっと重ね合わせる。
(もうちょっと、あとほんのちょっとよ……!!)
 無限にも思えた長い長い時間の終わりが見えたことで、焦りはますます激しくなっている。本当なら今にも席を立ってトイレに全力疾走したい。
 しかし、試験中に数え切れないくらいの大波を乗り越えようとしたため、サツキの解答欄は惨憺たる有様だ。実質的な試験時間は半分どころか3分の1もなく、さらに頭の中はほとんどが『おしっこしたい』『トイレ行きたい』の文字で埋まっている。
 震えるペン先を押さえるのに精一杯で、計算途中の式は途中で何度もくしゃりと歪み、意味のない折れ線を刻むばかり。辛うじて文字が記されたものも、半分もない。この分ならテスト開始と共に席を立ち、トイレですっきりオシッコを済ませてからテストに取り組んだ方がよほどいい結果が出せただろう。
 だが、それも後の祭り。いまはただ、少しでも早く残りの時間が過ぎ去るのを待つばかりだった。
(もう、あとほんの10分だけ……あとちょっとよ……)
 あと10分。その残り時間の短さに錯覚し、またもサツキは自分の判断が誤っていることに気付けない。なまじ優等生であることや、これまでの40分をどうにか我慢しきってきた経験が、かえって仇となり、今わざわざトイレに行くくらいなら、あと10分待ってテストが終わってから――という思考こそが、命取りだということに思い至らないのだ。
 それら全てが、今も小さく笑みを浮かべながらサツキの様子を冷静に観察しているチエリの思惑どおりだった。
 また、仮にここでサツキがトイレに立とうとしたときにはそれを封殺する手も、きちんとチエリは用意していた。だが、チエリがなおも陰湿な策謀をめぐらせていることなど、サツキには知る由もない。
「っ、はぁ……っ」
 重く暑苦しい溜息を吐き出す。すこしでも身体の中にスペースの余裕を作り出そうとする涙ぐましいほどの努力だが、その効果は芳しくない。
 残り10分。いつもならなんて事のない、ちょっとしたお喋りで消えてしまうような些細な時間。けれど、その10分が、600秒がとてつもなく遠い。
 ちらちらと文字盤を覗き見るサツキのまえで、進む秒針はじれったいほどに遅い。
(はやく……っ!!)
 テストの最中に願うのなら、問題が解き終わらないときに心の中で叫ぶ『あと5分』であるべきだった。しかしそれとはまったく正反対に、サツキはとにかく、ひたすら、ただただ速くこの地獄の時間が過ぎ去ってくれることだけを願い続ける。
 それはもはや、この数学の試験を放棄するに近い感情だ。
 ぞわり、もうすっかりお馴染みになった前触れをともなって、またもオシッコの波がやってくる。『おんなのこ』の危機を察知し、身体を意志のように硬くして、サツキはそれを受け止めた。
(……ん、ッ……ま、また……だ、大丈夫、……ガマン、できる……っ)
 自己暗示をかけながら、やってくる尿意の波に無駄に逆らわず、じっと身を竦めて過ぎ去るのを待つ。何度か大波を経験しながら、サツキは次第にうまくオシッコの波を乗りこなすコツを掴んでいた。
 尿意の波は一定ではない。だが、いくら利尿作用があるとは言え、ほんの5分や10分過ぎた程度で、そんなにも急に膀胱の中のオシッコが増えているわけではないのだ。そもそも本当に本当の限界容量までは、まだほんのわずかだが余裕もある。
 さっきもガマンできたのだから、次はそれに加えてもうほんの少しだけガマンすればいいだけだ。
(んうっ……だ、だいじょうぶ、へいきなんだから……さ、さっきと、同じ……っ)
 確かに一時は厳しいが、逆に言えばその瞬間さえ乗り切ってしまえば、しばらく安定期が続くことも、サツキは身体で覚えていた。その間に問題を解き、疲弊した括約筋をすこしでも休める。ただひたすらにその繰り返しだ。
(……ふぅっ……はぁっ……、お、おさまった……)
 尿意のうねりを腰全体で飲み込むかのように、サツキの膀胱はさらに高まるオシッコの水圧を押さえ込む。これでまたしばらく楽になる。ガマンによってほんの少しだけできた余裕のぶんだけ、さらに膀胱がオシッコを受け入れられるようになるのだ。
 いわば、ほんの少しずつ、おなかの内側にオシッコをしているようなもの。たぷたぷと揺れる水風船がどんどんと膨らんで行くのを感じながら、サツキは崩壊の瞬間をすこしでも遠くへと引き伸ばしていた。
「よし、あと5分」
 残り時間を告げる教師の声が響く。教室のあちこちでかすかにざわめきがあがった。どうやら、サツキと違ってまともなコンディションで試験を受けているクラスメイトたちも、答案の出来はよろしくないらしい。
(よ、よかった、結構なんとかなるかも……)
 待ち焦がれていた宣誓に、オシッコ我慢とテストの成績、二つの意味で安堵しながら、サツキはこっそりと胸を撫で下ろす。
 おそらく数学のテストは惨憺たる結果になってしまうだろう。普段のサツキにの成績に比べれば、大きな失態だが――それ以上にいまは、“あと5分”に迫った休憩時間が待ち遠しかった。
 休憩時間でならば、もう誰に気兼ねするでもなくトイレに行けるし、それでやっと我慢から解放されるのだ。そうすれば、次のテストからは準備万端で望める。そこで取り返せばいい。
 尿意からの解放にまたもざわつき始める下腹部をそっと庇いながら、サツキは慌てて首を振り、虫食い状態の答案を少しでも埋めようとペンを動かしはじめた。



 (初出:書き下ろし)
[ 2009/04/04 22:25 ] 小説 | トラックバック(-) | コメント(-)
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